自動運転の実証実験は、実施するだけでは意味を成さない。検証があって初めて実証実験を実施したことによる価値が生まれる。華々しく実施される実証実験には「裏方役」がいてこそ、自動運転技術は進化していく。連載5回目では、ZMPのサービスの一つである「RoboTest(ロボテスト)」について紹介する。
自動運転の研究開発や実証実験の裏方役を務めきるサービスが「RoboTest」。自動運転ベンチャーZMPが開発しているデータ取得ソリューションだ。2018年7月18〜20日に開催されたZMPフォーラムでは、プラットフォーム事業部の岩野紘昌氏がそのRoboTestの全貌を紹介した。
■「あらゆる課題を解決」信念に
RoboTestでは自動運転に関して豊富な知識を持ったエンジニアが、直接的に企業にサポートを提供することが特徴の一つだ。そのネーミングから「ロボットがテストをするの?」と思った人は誤り。血が通った人間、それもとびきり優秀な技術者が顧客企業の実証実験をサポートしていく。
例えば、1社単独で実証実験を実施することを想定してみよう。その場合、さまざまなデータ計測のための機材を購入・保有する必要があるのは当然で、企業側にとっては大きな負担となる。またいざ実証実験を実施しようとしても、データ計測に関する専門知識がない社内人材だけで走行させることは到底容易なことではない。
そこでRoboTest、つまりZMPのノウハウと人材が必要とされてくるわけだ。
欲しいデータを得るために必要な設備が分からなくても、ZMPのエンジニアが目的に即した最適なセンサーを包括的に提案する。ZMP側でそれらの機材を準備することも可能で、企業にとっては実証実験の初期負担を減らすことにもつながる。走行計画の策定やドライバーの手配・研修なども支援し、人材の手配まで請け負うこともできる。
自動運転エンジニアは日本でも世界でも不足しており、さらに実証実験全体を統括できる人材は一層限られてくる。ZMPはまだ「自動運転」という言葉自体があまり浸透していない時期から自動運転開発を続けてきた。そこにZMPの強みがあり、その強みを対外的に提供するサービスがRoboTestであると言える。
■ロギングからデータ分析までトータル支援も可能
「ロギング」という言葉を知っているだろうか。ロギングとは英語で「logging」と書き、「log(日誌)」、つまり起こった出来事を記録していくことを指す。
RoboTestのサービス前半で必要なセンサーやシステムの準備、人材育成や人員の手配を終えたあと、続いてこの「ロギング」に関するステップに実証実験のフェーズはいよいよ移行する。
各種装置を使いながらドライバーや車の走行データをロギングしても、企業によっては取得した生データをそのまま扱うことができないケースがある。企業側のシステムに読み込ませるためにはデータの変換などをする必要があり、RoboTestではその対応も請け負っている。取得したデータの解析とレポート作成にも対応する。
また、走行エリアについては日本国内の高速道路や市街地、郊外などの公道だけではなく、海外拠点における走行にも対応する。自動運転技術の開発にあたっては、世界の複数拠点で同時並行的に取り組んでいる企業も多い。そんな企業にとってはバッチリの対応であると言える。
■データ取得領域拡大で新たなビジネス領域へ
岩野氏は「データ取得の対象領域をより一層拡大する」と力を込める。例えば、データ取得ノウハウを活かして運転手の脳波や心電などのデータを車両情報と同期して取得することが可能であるため、ヘルスケア業界に対してもサービス展開が可能だ。ZMPは将来的に「自動運転」を軸に様々な領域でのソリューションを提供するようになっていく。
(※編注:RoboTestはZMPの登録商標です)