【ZMP特集#3】新たなる仲間、RoboCarにSUV デモは卒業、商業化へ—AI自動運転最前線・イノベーション・自動車革命

360度認識のRoboVision搭載


2018年7月18〜20日の3日間開催されたZMPフォーラム。その初日、株式会社ZMPは2009年に発表した自動運転車両「RoboCar」シリーズに、新たなラインナップとしてSUV(多目的スポーツ車)タイプの車両を導入したと発表した。連載3回目では、RoboCarの開発史や新SUVモデルの全貌を紐解く。







新タイプはトヨタの高級車ブランド「レクサス」のRXシリーズをベースにしたモデル。今までの「ミニバン」モデルや「HV/PHV」モデルに新たな仲間が加わった形だ

フォーラムではプラットフォーム事業部長の龍健太郎氏が、これまでZMPが発売してきたRoboCarシリーズの開発史と新発表のSUVモデルについて説明した。

■人もコンピュータも動かせるRoboCar

「外部コンピュータからの指令で操作できるようにした自動運転のベース車両です」

龍氏は冒頭、RoboCarシリーズについてこう説明した。人も運転でき、コンピュータでも操作できる。ZMPのこの看板プロダクトは、そんな両方の機能を兼ね備えているというわけだ。

RoboCarは、自動運転や先進運転支援システム(ADAS)向けのアルゴリズムやセンサーを開発している大手自動車部品メーカーなどへ供給され、自動運転を活用したサービスの実証実験でも活躍している。その実証実験の一つが福島県浪江町での取り組みだ。

会場内でお披露目された新モデルのRoboCar SUV=撮影:自動運転ラボ
■原発事故の余波残る浪江町で目指すもの

2011年の東日本大震災で発生した東京電力福島第1原発事故。その影響で浪江町ではその大部分で避難指示が出た。2017年4月から一部住民の帰還が始まっているが、公共交通がほぼその機能を失った街では「住民の足」に関する課題が大きく横たわっていた。

そんな街で、地元の人々の想いを乗せてRoboCarが走っている。浪江町の交通弱者を救う。そして街の復興に寄与する。RoboCarによる自動運転の実証実験の先にはそんなZMPの夢があり、刻一刻とそれは実現に近づいている。

浪江町以外でも実証実験は行われている。大手企業の拠点間シャトルサービスに関連する実証実験でもRoboCarが活用されており、龍氏は「自動運転サービスに必要な要素検証にも役立っている」と話す。

RoboCarは車両としての役割だけではなく、顧客に役立つサービスとしての利用も想定されて開発されている。そのためシャトルサービスの実証実験では、サービスとしてRoboCarを利用した際の利用者の反応が得られ、RoboCarのさらなる進化に大いに貢献しているようだ。

■SUV新タイプは360度認識、緊急ブレーキ搭載

SUVタイプには新技術として、自動運転の「目」として機能する「Surround RoboVision」システムが搭載されている。前方4個、後方2個、左右に2個ずつ設置した計10個のカメラで、車両の360度を全て完璧に認識することができる。

緊急ブレーキシステムも搭載されている。これは慎重に慎重を重ねるための装備であると言える。

RoboCarは自動運転の「脳」に相当する自動運転システム「IZAC」を二重化して、走行制御にトラブルが起きないよう備えている。しかし万が一ブレーキコントロールが効かなくなったときのために、人が踏むのと同じように物理的に機能するブレーキを実装したというわけだ。

■夜もショッピングも観光名所も下町も!

近年海外でも人気を博しており、富裕層にも愛用者が多いSUV。ZMPはそのレクサスの魅力あふれるスタイリングを活かし、新モデルを富裕層向けのサービス車両としても活用していきたい考えだ。SUVならではの走破性も強みととらえ、災害救援用の車両としての応用も視野に入れている。

多彩なラインナップが揃ったRoboCarについて説明する谷口社長=撮影:自動運転ラボ

「今回のSUVモデルを発表したことで、(従来のラインナップと)活用場所や利用者の棲み分けができるようになる」。ZMPの谷口社長はフォーラム中にそう嬉しそうに語った。

訪日外国人向けのサービス車両としてのさまざまな活用方法も見据える。「夜を楽しむのにも、ショッピングを楽しむのにも、観光名所を楽しむのにも、下町や名物フードを楽しむのにも、多彩なラインナップのRoboCarシリーズを」。谷口社長はそう笑顔で話した。

(※編注:RoboCar、RoboVision、IZACはZMPの登録商標です)

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