ロボティクスや自動運転の技術を活かし、数々のプロダクト・サービスを開発・提供している株式会社ZMP。2018年7月18日から7月20日の3日間をかけて行われた「ZMPフォーラム 2018」では自動運転技術を応用した台車型の支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」の体験会も実施された。連載最終回は自動運転ラボの記者の体験会潜入記です。
■会議室を優雅に動き回るCarriRo
CarriRoの体験会は大きめの会議室を使用して行われていた。実際にその会議室に行ってみると、会議室内を優雅に動き回っている台車が見えた。「あっ、これがキャリロだ!」。事前にZMPの担当者から話を聞いたり、資料に目を通していたりいたので、一見してすぐ分かった。
しかし何も分からずにこの会議室に来て、もし止まった状態のCarriRoが置いてあったら、それが自動走行する能力を持っていることは誰も気が付かないはずだ。一見するだけではCarriRoは普通の台車とその形状は大きく変わらないからだ。
■ランドマークがCarriRoの「羅針盤」
CarriRoは人間の手を借りずに、会議室内を左周りに人の歩調くらいの速度でゆっくり回っていた。
会場である担当者は「線ではなく、ランドマークというポイントで走行経路が設定しているので、ルート設定にかかる手間も大幅に軽減できるんです」と、床に貼られた横長のランドマークを指さして説明していた。
そのランドマークを触ってみると、とても薄いシールのようなもので驚いた。自動車用の初心者マークくらいの薄さだった。
ランドマークは交通標識のような役割を果たすという。床のランドマークには進行方向を示した矢印や一時停止を示すマークなどが描かれていた。このランドマークが「羅針盤」の役割を果たし、CarriRoの自動走行が制御されていくということになる。
■カルガモ親子のように追従するCarriRo
CarriRoには「カルガモモード」がある。カルガモモードに設定すると、CarriRoはビーコンと呼ばれる小さなコントローラーを持った作業者や親機となるCarriRoに追従する。担当者が実演している様子を見ると、本当のカルガモの親子のように可愛らしかった。
また台車の取っ手の部分には「ジョイスティック」と呼ばれる操作部があり、これで操作すると前後左右にCarriRoが走行してくれる。そのためカルガモモードを使ったときを含めて、女性でも荷物の運搬などを楽々こなすことができる。
CarriRoは物流センターなどで特に需要が高い。作業者の負荷軽減や時間の短縮に役立ち、企業にとっては人が関与する工程を少なくできるので、省人化を進めることにつながる。充電性能も高く、ほぼ1日稼動させることができるというのも魅力だ。
■プロダクト実用化の裏にあるもの
全6回にわたってZMPフォーラムの取材内容を基に、自動運転技術とロボティクス技術を活用したZMPの取り組みを紹介してきた。一般の人たちが自動運転技術の素晴らしさを享受するまでには、こうした経営者のビジョンや技術者たちの努力の積み重ねがある。
ZMPは2018年どうさらに進化するのか。さらに5年後、10年後にはどんなプロダクトを世に送り出すのか。わくわくしながらZMPの今後に注目していきたい。(おわり)
(※編注:CarriRoはZMPの登録商標です)