中国で開通した「自動運転できる高速道」はカメラだらけ!?全長56キロと発表

改修工事によりレベル4に対応



中国でこのほど、自動運転レベル4(高度運転自動化)向けに設計された全長56キロのスマート高速道路の運用が開始された。レベル4は、特定域内において人間の介入を一切必要としない自動運転の水準を指す。

現地メディアによると、この高速道路は中国東部の江蘇省蘇州市近郊にあり、蘇州市と台州市、上海市と宜興市を結ぶ2つの従来からある高速道路をベースに、スマート化されたものだという。


ちなみにスマート高速道路において、実際にレベル4の自動運転走行ができるのは、6.5キロの区間のようだ。


■高速道路の6.5キロ区間で無人走行可能に

この高速道路は2023年7〜9月に改修工事を行い、55カ所にミリ波レーダーやカメラ、アンテナといった感知装置270セットが設置された。蘇州市の交通局によると、6.5キロの区間においてはドライバーレスの自動運転車が走行可能になっているという。

運用をスタートするのに先立ち、実証実験を完了している。49トンの自動運転トラックが無人で走行し、障害物や他の車などを検知、高速道路の「ランプ」に進入したり、車線変更や追い越しなどを行ったりという内容であった。

56キロの高速道路のうち、6.5キロの区間がレベル4自動運転に対応しているということだが、その区間に入ったらどのようにドライバーレスの自動運転に切り替えるのかなど、詳細は不明だ。今後続報があればまた取り上げたい。

■日本でも進みつつある各種プロジェクト

自動運転連用道や専用レーンについては、日本でも開発が行われている。


経済産業省が主導する「デジタルライフライン全国総合整備計画」では、アーリーハーベストプロジェクトに「自動運転支援道」が盛り込まれ、高速道路と一般道それぞれで先行して取り組むエリアが選定された。

高速道路では、新東名高速の駿河湾沼津SA〜浜松SA間と、東北自動車道の6車線区間の一部が選ばれている。また一般道については、2024年度に茨城県日立市のJR大甕(おおみか)駅から日立製作所の工場までの数キロメートルにおいて、自動運転バスを走行させることが2023年9月に発表された。

そのほか、私有地としての扱いになるが、トヨタが静岡県裾野市に建設中の実証都市「Woven City」にも自動運転専用道路が設けられる予定だ。完全自動運転車かつゼロエミッション車用の道、歩行者とスピードが遅いパーソナルモビリティが共存する道、歩行者用専用の道の3種類の道路が造成されるという。

【参考】Woven Cityにおける取り組みについては「自動運転専用レーンをトヨタが計画!静岡で「日本初」濃厚」も参照。

また青森県と北海道をつなぐ青函トンネルの次期構想として、自動運転専用道路を設置するという案が浮上しているようだ。日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)が発表したもので、自動運転車専用道路と鉄道貨物を併用したトンネルを新たに作る構想となっている。

【参考】第二青函トンネルについては「第二青函トンネル、「自動運転専用道」が実現か」も参照。

■スイスでは地下に専用道を建設するプロジェクト

海外においては、スイスで総延長500キロに及ぶ地下トンネルを設置し、物流専用道として自動運転カートを走行させるプロジェクト「CST(Cargo Sous Terrain)」が進行中のようだ。

貨物交通量が大幅に増加することを見越した計画で、地下20~100メートルほどの深さに貨物専用トンネルを敷き、自動運転専用カートを24時間体制で運行させることで、地上の道路交通に影響を与えることなく、安定した物流網を構築する予定だという。

そしてこのほど、中国においてスマート高速道路の運用が開始されたわけだが、アメリカにおいても自動運転車専用レーンの開発プロジェクトがミシガン州で進められており、こうした流れは海外・国内において今後も途切れることなく続いていきそうだ。

【参考】関連記事としては「自動運転専用道路・レーン導入の最新動向(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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