GM、自動運転の「夜間一律5ドルタクシー」を展開!顧客獲得へ独自PR戦略

米国4都市目、利用者の不安払拭なるか



出典:GM公式X動画

米GM(ゼネラルモーターズ)傘下のCruiseは2023年10月18日までに、米テキサス州ヒューストンでドライバーレスの自動運転タクシーサービスを開始した。

このサービスは、期間限定ながら全区間一律5ドル(約750円)の乗車運賃で提供される。同社によると、これは顧客獲得のための施策だという。Cruiseはこれまで米国内の3つの都市で自動運転タクシーを実用化しており、ヒューストンは4番目の都市になる。



■自動運転タクシー展開は4都市目

Cruiseによるドライバーレスの自動運転タクシーサービスは、2022年2月にカリフォルニア州サンフランシスコで一般市民を対象に開始したのを皮切りに、同年9月にはアリゾナ州フェニックスとテキサス州オースティンでもサービスを開始することを発表し、その後、運行がスタートしている。

そのほかの10都市でも走行テストを行っているようだが、ヒューストンでやっとテスト走行にこぎつけたのは2023年9月だったようだ。そのため約1カ月で、ヒューストンでの商用化を実現したことになる。

ヒューストンで5ドルという運賃でサービスを開始する背景には、市民の信頼を獲得するという狙いがある。なお他のエリアでの運賃は、基本料金5ドルに走行距離などにより料金が加算されていくといった仕組みになっている様子だ。Uberなど有人運転の配車サービスと同額もしくは少し安くなるといった価格帯のようだ。

ヒューストンでの自動運転タクシーは、毎日午後9時から午前6時までの夜間のみ走行する。また展開エリアは、ダウンタウンやイーストダウンタウン、ミッドタウン、モントローズ、ハイドパーク、リバーオークスに限定されるという。


■たびたびトラブルが起きているが…

Cruiseと同様、米国ではGoogle系Waymoもドライバーレスの自動運転タクシーサービスを展開している。両社の自動運転車は、走行中に一時停止し交通を遮断するなど、たびたびトラブルを起こしている。

2023年7月にはサンフランシスコで、歩行者の安全や公共交通機関の利用を提唱する米団体「Safe Street Rebels」がWaymoとCruiseの自動運転車のボンネットに「三角コーン」を設置し、走行を阻害した。自動運転タクシーサービス拡大に対して抗議する活動であったという。また同年9月に同じくサンフランシスコで、Cruiseの自動運転車が破壊されるという事件があった。

自動運転反対派による活動や攻撃が続いているほか、たびたび起きているトラブルにより、アメリカ国内で自動運転タクシーに対して不安を感じる人も一定数増えたと言える。そんな中でのCruiseの5ドルタクシーの展開は、料金の安さで利用者を獲得するための戦略だ。

Cruiseの自動運転タクシーは、ヒューストンでどう受け入れられていくのか、注目が集まりそうだ。

▼Cruise公式サイト
https://getcruise.com/

【参考】関連記事としては「GM Cruiseの自動運転戦略(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事