WHILL株式会社(本社:東京都品川区/代表取締役社長:杉江理)は2023年10月17日までに、関西国際空港で導入の「WHILL自動運転サービス」の利用回数が、導入から1年で1万回を突破したことを発表した。
「自動運転車いす」とも呼べそうなモビリティを用いたWHILL自動運転サービスとは、パーソナルモビリティ「WHILL」に自動運転・自動停止機能などを搭載した「WHILL自動運転モデル」を活用し、広い施設内の特定の目的地まで自動走行で移動できるサービスのことを指す。
■自動運転パーソナルモビリティで空港での移動が楽に
WHILL自動運転サービスは、2020年6月に羽田空港で導入されたのに続き、2022年10月から関西国際空港第1ターミナルビルの国内線エリアで正式導入された。2023年4月からは、成田空港でも正式導入されている。また2022年12月には、初の国外空港としてカナダのウィニペグ国際空港でも実用化された。
関西国際空港でのサービスは、普段は案内所などで車いすを借りる人や、長距離の歩行や体力に不安を持つ人、高齢者などを対象に提供されている。空港の利用者自身がタッチパネル操作を行い、自動運転パーソナルモビリティに乗って保安検査場を通り、目的の搭乗口まで移動することが可能となっている。
具体的には、国内線利用者を対象に、保安検査後のWHILLステーションから商業エリアまでと、商業エリアのWHILLステーションから特定の搭乗口までを自動運転で案内する。降車後は、無人運転で元の場所まで返却される。運行時間は5時30分から最終便出発までで、無料で利用できる。
空港ではスタッフによる車いす介助サービスも行われているが、将来的には人材不足が懸念されている。それをWHILL自動運転サービスが代替することで、スタッフの負担軽減のほか安定した移動サービスの提供を通じた顧客サービスの向上にも寄与していくという。
■近距離モビリティのエキスパート
2012年設立のWHILLは「すべての人の移動を楽しくスマートにする」をミッションに、近距離モビリティ製品の開発、生産、販売、関連サービスの提供や、近距離モビリティ製品を使用した移動サービスの提供を手掛けている企業だ。
同社が開発する製品には、歩道を走れるスクーター「WHILL Model S」や折り畳める軽量モビリティ「WHILL Model F」、次世代型電動車いす「WHILL Model C2」がある。各空港で採用されているのが、WHILL Model C2となっている。
WHILL本体と顧客情報を紐付け、購入履歴や点検内容などさまざまな情報を一元化することで、WHILLに付随するあらゆるサービスの利用をサポートする仕組み「WHILL ID」の提供も行っている。また空港やテーマパーク、公園、ショッピングモール、ホテル、病院など大型施設を運営する法人向けに移動環境を提供するサービス「WHILLモビリティサービス」を展開している。
■空港のほかテーマパークでの採用も
近距離モビリティWHILLを取り扱うディーラーは、2023年5月に100社を突破したという。また今年に入り、旅行大手のHISと協業し、HISがチャーターするクルーズ旅行でWHILLを船内で試乗やレンタルができるサービスを提供することを発表した。さらに栃木県の那須高原りんどう湖ファミリー牧場や那須ハイランドパーク、奈良県の国営平城宮跡歴史公園でWHILLが導入されるなど、利用できる場所を続々と増やしている。
WHILLは今後も、あらゆる人が快適な近距離移動を享受できる社会の実現に向けて、国内外の法人施設と連携しながらWHILLモビリティサービスの展開に注力するとしている。同社のパーソナルモビリティに出会う機会が今後ますます増えていきそうだ。
【参考】関連記事としては「病院内を「自動運転」で移動!WHILLの次世代クルマ椅子、帝人と実証」も参照。