アメリカや中国では、夢のような乗り物とも言える「自動運転タクシー」がすでに商用展開されていることをご存じだろうか。
自動運転タクシーとは、運転席にドライバーがいなくても自動運転で走行するタクシーのことで、「ロボタクシー」などとも呼ばれている。
■「自動運転タクシー」のポテンシャル
自動運転タクシーはドライバー不在で走行可能であるため、人件費が抑えられる分、将来的には安価にタクシーサービスを提供できると考えられている。運行コストが10分の1以下になるという調査結果もある。
またAI(人工知能)が運転することから、脇見運転や安全不確認、速度違反といった、ヒューマンエラーや交通違反から生じる事故が起きないことも期待されている。
■商用化の先陣を切ったのはGoogle系企業
自動運転タクシーの商用化の先陣を切ったのは、Google系の自動運転開発企業であるWaymoだ。2018年12月、世界初の自動運転タクシー商用サービス「Waymo One」をアリゾナ州フェニックス郊外で開始した。今から4年以上前の話だ。
当初はセーフティドライバー同乗のもとサービスを提供していたが、2019年末ごろに一部ユーザーを対象にドライバーレスのサービスを導入し、2020年10月ごろには対象を一般ユーザーに拡大している。
2021年8月には、カリフォルニア州サンフランシスコで限定された利用者向けにサービスを開始した。同州ロサンゼルスでも走行テストを開始することを2023年2月に発表しており、いずれ商用化するものと思われる。
米GM傘下のCruiseも、2022年6月からサンフランシスコで有償サービスを開始している。また同年12月には、フェニックスと米テキサス州オースティンでもサービスをスタートさせている。Cruiseはこのほか、ドバイでも2023年中に自動運転タクシーを運行させる予定だ。
なお中国でも、IT大手の百度(Baidu)や自動運転スタートアップのPony.ai(小馬智行)が、自動運転タクシーの有料サービスを開始している。
【参考】関連記事としては「Waymoの自動運転戦略(2023年最新版)」も参照。
Waymoの自動運転戦略(2023年最新版) https://t.co/wIcuAEfgzb @jidountenlab #Waymo #自動運転
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) March 2, 2023
■日本では現在、実証段階
日本では、自動運転タクシーは実証段階にある。
日産自動車はDeNAとの協業のもと、無人運転車両を活用した新しい交通サービス「Easy Ride」の実証実験を2018年から継続的に行っている。
またGMやCruiseと協業しているホンダが、帝都自動車交通と国際自動車との協業のもと、東京都心部での自動運転モビリティサービスの提供開始に向けた検討を開始することを2022年4月に発表した。2020年代半ばの実現を目標に掲げているという。
「自動運転タクシー」とは表現していないが、新しいオンデマンド型無人移動サービスの提供に向けタクシー事業者と手を組んだことから、実質的には自動運転タクシーになると言えるだろう。
MKタクシーを運行する東京エムケイ(東京MK)は、ドライバーの疲労軽減のため、2025年までにレベル3~4の自動運転機能を搭載した車両を導入することを目指していると、2022年12月に明かしている。ただし「ドライバーの疲労軽減」「レベル3~4の自動運転機能」といった説明から、完全無人での自動運転タクシー導入は少し先になるのかもしれない。
【参考】関連記事としては「トヨタより先?自動運転タクシー、日本初は「東京MK」濃厚か」も参照。
トヨタより先?自動運転タクシー、日本初は「東京MK」濃厚か https://t.co/jLrac3LNsv @jidountenlab #自動運転 #トヨタ #MKタクシー
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) January 8, 2023
■我が国日本での「第1号」はどの企業?
アメリカでは、WaymoやCruiseの自動運転タクシーがときどきトラブルを起こしている。トライ&エラーを重ねて両社の自動運転システムはどんどん改良されており、この分野でしばらく業界をリードしていくことは確実だ。
一方、我が国日本で最初の自動運転タクシーの商用化はどの企業になるのか。ウォッチしていきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転タクシーとは?(2023年最新版)」も参照。