最近、自動運転業界で韓国勢の存在感が高まりつつある。
韓国最大手の自動車メーカーである現代自動車(ヒョンデ)や、自動運転技術を開発するスタートアップの42dot、ADAS向けの画像処理AI技術を展開するStradVision(ストラドビジョン)などが積極的な動きを見せている。
■ヒョンデ、米国で無人タクシー開始計画も
ヒョンデは2022年中に自動運転レベル3搭載の市販車を、市場投入する計画を明かしている。2023年にはレベル4搭載車両を公道デビューさせ、2026年までに無人航空機を使った離島向け無人デリバリーサービスの実現などの計画もある。
さらに、2030年までには世界のEV(電気自動車)市場で7%のシェアを得る目標も明かしており、自動運転ソフトウェア技術やEV事業へ日本円にして約790億円を投資することも発表している。
2020年3月に米自動車部品大手のAptivとの合弁会社「Motional」を設立し、米国で2023年に自動運転タクシーサービスを始める計画もあるようだ。2022年8月には42dotの買収または出資比率を高めることを検討している旨が韓国メディアにより報道された。6月に42dotへ打診済みだという。少なくとも3億600万ドル(約408億円)を投資する予定のようだ。
【参考】関連記事としては「韓国・現代、ベンチャー買収で自動運転事業加速か」も参照。
■ネイバーCTOが設立した42dot
42dotは2019年に韓国ネット大手NAVER(ネイバー)のCTOだったソン・チャンヒョン氏により設立された。同社は「aTaaS(autonomous Transportation-as-a-Service)」=自動運転交通サービス=というミッションのもと、人とモノの移動すべてを自動運転化することを目指している。
2021年12月に韓国ソウルで有料の自動運転タクシーサービスをスタートさせ、2022年8月のヒョンデによる買収検討の報道により、韓国の自動運転業界で存在感を高めている。
■累計171億円を調達したストラドビジョン
ストラドビジョンは、8,800万ドル(約117億円)のシリーズCラウンド資金調達ラウンドを実施したことを2022年8月10日に発表した。これまで米Aptivやヒョンデ、現代モービス、LG電子、日本のアイシン、独自動車部品大手のZFなどから資金を調達し、累計調達額は1億2,900万ドル(約172億円)となったようだ。
ストラドビジョンはドイツや米国、中国、日本にも拠点を持っている。2022年6月には従業員数が昨年比で69.2%増の308人となったという。今回の資金調達によりグローバルビジネスの拡大をさらに加速させていくだろう。
2021年12月には、韓国企業のLGエレクトロニクスと提携し、AR(拡張現実)技術を活用した自動車のコックピットプラットフォーム開発をしていくことを発表した。
■【まとめ】アジア圏での日本のライバル
自動運転タクシーサービスが始まっていながら、米国や中国などに比べてこれまであまり目立っていなかった韓国勢。これから猛追が始まるのだろうか、今後の動向に引き続き注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転と韓国(2022年最新版)」も参照。