自動運転技術を使うサービス、主な提供企業は「テック企業」?

世界31カ国の自動車業界幹部が未来予測



出典:KPMG

「どのような企業が自動運転技術を活用したサービスを提供する?」。こうした質問を自動車業界の幹部などに投げかけた調査の結果が、2021年12月23日までに発表された。国際会計事務所KPMGが実施した「KPMGグローバル自動車業界調査2021」の結果だ。

調査は、2021年8月に世界31カ国の自動車業界・周辺業界のエグゼクティブ1,118人に対してインターネットを通じて行い、自動車業界の現状と将来の展望を分析した。調査は今回で22回目だ。


この調査の結果から、自動運転市場やEV(電気自動車)市場の今後を読み解いていきたい。

■自動運転技術を活用したサービスの提供企業は?

「どのような企業が自動運転技術を活用したサービスを提供するか」という質問に対し、最も多かった回答は「テクノロジー企業」で、回答数は220。テクノロジー企業に続くのが、「レンタカー会社」(回答数211)、「配送業者」(回答数161)だった。

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すでにGoogle系Waymo自動運転タクシーサービスをアメリカ国内で商用展開しているほか、中国のネット大手・百度やロシアのネット大手Yandexなども取り組みを進めていることが、回答結果に反映したと言えそうだ。

ちなみに日本のエグゼクティブの回答だけに絞ると、「自動車メーカー」が上位という結果になった。一方、世界全体では「自動車メーカー」は4位だ。世界と日本では自動運転技術を使ったサービスの提供企業に関する予想に差が出ている。


また、「自動運転技術によるライドシェアや配送サービス」の市場参入時期については、「2030年まで」が大半を占めた。

■2030年の新車販売に占めるEVの割合は?

EV市場については、「2030年までにEVは各市場の新車販売のうちどの程度の割合を占めるか(ハイブリッドは除く)」という質問をしている。回答の平均値は日本・中国・米国がいずれも「52%」。「西欧」は49%、「ブラジル」は41%、「インド」は39%だった。

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「消費者が外出時に充電する際に許容できる所要時間(80%まで充電する場合)」に関するアンケート調査も興味深い。回答者の77%が「30分以下」と答えている。一方、日本の回答にだけ限定すると、84%が「30分以内」、55%が「20分以内」だった。

■次回2022年版でどう数字が変わるかにも注目

KPMGグローバル自動車業界調査2021ではこのほか、自動車業界におけるサプライチェーンの課題に対する対応や、自動車購入のオンライン化などについても聞いている。詳しい内容は以下のURLから確認できる。


▼「KPMGグローバル自動車業界調査2021」を発表
https://home.kpmg/jp/ja/home/media/press-releases/2021/12/global-automotive-executive-survey-2021.html

次回の2022年版の調査では2021年版の数字がどのように変わっているのか、注目したいところだ。

【参考】関連記事としては「自動運転指数、なぜ車産業がないシンガポールが1位なのか」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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