自動運転特許、「安全性」出願が断トツ 中国からの出願数、日本凌ぐ

日本の自動運転・運転支援技術は?


日本の特許庁は2018年5月14日、平成29年度特許出願技術動向調査を発表した。自動運転の分野では日本国籍の出願が多数を占めるなか、安全性に関する項目では中国が日本をしのいでおり、中国勢の躍進がうかがえる結果となった。







以下、同調査の概要と、さまざまな特許技術の結晶である日本の自動車メーカーの自動運転支援システムをいくつか紹介する。

■特許出願技術動向調査の概要

平成29年度特許出願技術動向調査は、最先端分野である「有機EL装置」や「リチウム二次電池」、「自動走行システムの運転制御」など12の技術テーマについて、大量の特許・論文情報を調査・分析した報告書だ。

日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国、韓国において2010~2015年を出願年とするものを対象に、出願国と出願人国籍、省エネルギーや走行安定性などの技術区分別における出願数などがまとめられている。

自動走行システムの運転制御に関する総出願件数は1万5631件で、このうち日本国籍から出願されたものは6973件と全体の44%を占めた。

一方、出願先の国別でみると、日本での出願は4259件で全体の27%にとどまり、このうち92%にあたる3911件が日本国籍によるもの。外国から日本への出願が極端に少ない状況だ。

【参考】平成29年度特許出願技術動向調査の詳しい内容は「経済産業省発表『特許出願技術動向調査を取りまとめました』」を参照。
■項目別の特許出願件数は、安全性がダントツ

項目(技術区分)は「快適性向上」「省エネルギー」「インフラ不要化」「低コスト」「走行安全性」「安全性」「省人化」「交通制約者対応1・2」「初心者」「運転負荷低減」「交通流の改善」「緊急避難」「その他」の14項目に分けられており、総出願件数2946件のうち安全性が1281件(全体の43%)と他を抜きんでて多い。

安全性について出願年別にみると、2010年から順に79件、155件、173件、295件、335件、244件と増加傾向にある。また安全性1281件のうち、中国国籍からの出願が444件と日本国籍の423件を上回った。

技術区分(課題)別の特許出願件数。左は出願件数推移、右は出願⼈国籍別出願件数 (⽇⽶欧独中韓への出願、出願年=優先権主張年=2010〜2015年)=出典:平成29年度特許出願技術動向調査(特許庁総務部企画調査課)

中国国内においては、インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)が2014年に自動運転車の開発計画を打ち出したのを皮切りに、開発競争が激化した。同社は2017年には米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)と提携するなど勢いを加速している。

また、産業育成を進める中国当局の方針のもと、車載半導体を手掛ける地平線机器人(ホライズン・ロボティクス)などの新興企業も続々と台頭しており、今後もこの勢いは続きそうだ。

【参考】中国は自動運転走行テストのガイドラインを発表するなど、開発環境や普及に向けた取り組みを進めている。詳細は「中国、自動運転走行テストのガイドライン発表 非公共ゾーンでの事前試走義務付け|自動運転ラボ」を参照。
■日本メーカーの取り組み:トヨタ(レクサス)「Lexus CoDrive」

特許をはじめとしたさまざまなアイディアや安全運転支援技術の結晶が、自動車そのものや自動運転の進化となって表れている。

トヨタは高度運転支援「Lexus CoDrive」の採用を拡大した「Lexus Safety System+ 第2世代」を2018年から順次導入。Lexus CoDriveは「レーダークルーズコントロール」や「レーントレーシングアシスト」の基本機能に、レーンチェンジアシストを加えた3機能を連携させ、高速道路や自動車専用道においてドライバーの運転意図と調和した操舵支援や車線変更の運転支援を実現可能としている。

また、大型ヘッドアップディスプレイやマルチインフォメーションディスプレイなどと連携し、ドライバーに支援状況を分かりやすく通知する機能も有している。

【参考】レクサスの「Lexus CoDrive」に関する詳しい内容は公式サイト内の「特設ページ」を参照。
■日本メーカーの取り組み:日産「プロパイロット」

プロパイロットは、先行車を検出して自動で加減速や停車をおこなう「インテリジェントクルーズコントロール」と、車線中央付近を走行するようにステアリングを制御し、運転者のハンドル操作を支援ハンドル支援をおこなう。2018年中には複数車線の変更を自動でおこなう技術の実用化を目指している。

【参考】日産のプロパイロットに関する詳しい情報は公式サイトの「特設ページ」を参照。
■日本メーカーの取り組み:ホンダ「Honda SENSING(ホンダセンシング)」

ホンダセンシングは、ミリ波レーダーと単眼カメラとコントロールユニットで構成されたシステム。2種類のセンサーを組み合わせることで前方の状況をより高い精度で認識でき、衝突などのリスクがある場合はコントロールユニットを介してブレーキやステアリングを制御する。

衝突軽減ブレーキ (CMBS)や車線維持支援システム (LKAS)をはじめ、一定の速度域で前走車との車間を保ちつつ走行車線をキープするようアクセル・ブレーキ・ステアリングの操作をおこなう「トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)」などの機能を搭載している。

【参考】ホンダセンシングに関する詳しい情報は公式サイト内の「特設ページ」を参照。
■日本メーカーの取り組み:スバル「EyeSight(アイサイト)」

スバルのアイサイトは、人の目と同じように左右2つのカメラで立体的に環境を把握し、車だけでなく歩行者や自転車なども識別し、対象との距離や形状、移動速度を正確に認識する。

衝突の危険がある場合はドライバーに注意喚起し、回避操作がない場合はブレーキ制御をおこない自動的に減速または停止する。高速道路で走行車線両側の区画線を認識してステアリング操作のアシストをおこない、車線内中央付近の維持や車線逸脱抑制をおこなう「アクティブレーンキープ」などの機能を搭載している。

【参考】アイサイトの詳しい内容についてはスバル公式サイト内の「特設ページ」を参照。

以上、国内4メーカーの今後の自動運転実現につながる安全運転支援システムを紹介したが、システム名に「ver1.0」などといったバージョン名が付いているのをよく目にすることからも分かるように、各システムは常に進化を遂げている。その裏で、エンジニアたちが開発したさまざまな特許技術が活かされていることも忘れてはならない。







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