Uberの韓国製自動運転タクシー、物理的に「炎上」する懸念

ベース車両IONIQ 5が事故後相次ぎ燃える



出典:Uberプレスリリース

韓国最大手の自動車メーカー現代自動車(ヒョンデ)のEV(電気自動車)「IONIQ 5」が、事故後に炎上する騒動が波紋を広げている。

IONIQ 5は、米ライドシェア最大手Uber Technologiesの自動運転タクシーのベース車両に選ばれている。自動運転タクシーには乗務員がおらず、無人になることが想定されているため、乗客にとってこういった物理的なリスクはより重大性が高くなる。


■衝突から数秒後に大炎上し、ドライバーが死亡

2022年12月5日に、韓国の慶尚北道・栄州市において、IONIQ 5が事故を起こした。タクシー車両として利用されていた自動車が、坂道を暴走後に建物の外壁に衝突し、瞬く間に火の手が上がった。鎮火には2時間ほどかかったという。運転手は車内で死亡した。

同様の事故は釜山でも起きていた。同年6月に高速道路の料金所を走行していたIONIQ 5が、料金所の近くにある衝撃吸収体に正面衝突し、全焼して車内にいた2名が死亡したという。車の衝突から車両全体へ火が燃え広がるまで3秒しかかからず、消火には約7時間かかったようだ。

■日本の自動車メーカーに目が向く?

Uber Technologiesは米ネバダ州ラスベガスにおいて、完全無人の自動運転タクシーサービスの展開を2023年に目指している。その後、ロサンゼルスへの拡大も検討しているようだ。同社は自動運転タクシーサービスをMotionalとともに展開していく。Motionalは、自動車部品大手の米Aptivと現代自動車の合弁企業だ。

Uber Technologiesの自動運転タクシーのベースとして、現代自動車のIONIQ 5が選ばれた際、Aptivの商用化担当バイスプレジデントのAkshay Jaising氏は、「Motionalは、一般客のためにUberネットワーク上で完全電動の自動運転を展開する最初に企業となった」と述べ、自信をにじませていた。


Google系Waymoの自動運転タクシー用の新型自動運転車の製造は、中国の浙江吉利控股集団(Geely)に委託されている。自動運転タクシーを展開するにあたり、非自動車メーカーであるUber TechnologieやWaymoは、自動車製造能力のある自動車メーカーとタッグを組まねばならない。

こうした背景がある中、今回のような炎上騒動が今後も続くと、安全面や性能面で別の自動車メーカー、たとえば日本の自動車メーカーにも目が向くかもしれない。

【参考】関連記事としては「Uberの自動運転タクシー、選ばれたのは「韓国製」車両」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)





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