中国インターネット検索大手の百度(バイドゥ)が2021年3月9日に、香港証券取引所への上場が承認されたことが明らかになった。百度はすでに米ナスダック市場で株式公開をしている。香港での上場はそれに次ぐ形となる。
米メディアの報道などによると、3月下旬から香港証券取引所での株式取引が開始される見込みで、新規株式公開(IPO)を実施を通じて最大50億ドル(約5,400億円)を調達し、自動車やAI(人工知能)分野にさらに力を入れていく方針という。
百度はAI事業において自動運転関連の取り組みに力を入れており、「バイドゥ・アポロ」として展開している自動運転タクシーの台数を増やしていく方針のようだ。
■「完全無人」でのサービス提供もそう遠くない時期に
百度の自動運転タクシーは、すでに北京や長沙、広州、重慶、滄州などの各都市で一般市民向けに無料で提供されている。
基本的にはセーフティドライバーが運転席に同乗する形で運行されているが、2020年に北京と長沙で「運転席無人」での公道走行許可を取得しており、遠隔監視付きの完全無人でのサービス提供もそう遠くない時期から始まるものとみられる。
ちなみに百度に関しては、「ロボバス」という名称の自動運転バスについても、2020年9月に重慶において完全無人で公道走行をさせたことが話題となっている。
そして百度はこうした自動運転タクシーや自動運転バスなどを「自動運転MaaSプラットフォーム」として統合し、2021年2月に広州で大々的に発表している。
■ライバル多き中国市場、今後の取り組みに要注目
このように自動運転関連事業を順調に拡大させている百度だが、中国国内にはAutoXやDiDiなどのライバルがおり、決してこの分野で独走できているわけではない。
たとえばAutoXは上海と深圳で自動運転タクシーサービスを提供しており、深圳では「完全無人」で運行している。ライドシェア大手のDidi Chuxing(滴滴出行)も上海で自動運転タクシーを運行している。
そのほか、自動運転開発スタートアップのWeRideが広州での完全無人運転の実証実験をスタートしたり、トヨタが出資したPony.aiが北京で自動運転のテストライセンスを取得するなど、多くの企業が本格的な自動運転時代に向けた取り組みを繰り広げている。
そんな中での百度の重複上場による資金確保は、同社が開発競争を優位に進めるための打ち手と言える。2021年3月以降、百度が他社をリードすべくどのような取り組みを展開していくのか、要注目だ。
【参考】関連記事としては「中国・百度が自動運転で大注目!2カ月で株価2倍、投資判断も引き上げ」も参照。