
日本を含む世界各国で開発競争が繰り広げられている「自動運転」技術。自動運転の技術水準を示す「自動運転レベル」は、アメリカの自動車技術会(SAE)の基準が世界標準になっていることもあり、日本のニュースでも英語で技術用語やキーワードが伝えられることも多い。
この記事では、「自動運転」「自動運転車」「自動運転タクシー」の英語での呼び方を紹介した上で、主な技術用語・キーワードの英語表記についても触れる。
・2026年3月8日:主要ワードを大幅に追記
・2025年8月27日:関連記事を追加
・2022年2月24日:記事初稿を公開
記事の目次
- ■自動運転車:autonomous car, self-driving car
- ■自動運転に関連する主要ワード
- 自動運転タクシー:robotaxi、self-driving taxi
- 自動配送ロボット:Delivery Robot
- 経路最適化:Route Optimization、Route Planning
- 遠隔監視制御システム:remote monitoring control system
- 高精度3次元地図:High-Definition 3D Map(HD map)
- 運行設計領域:Operational Design Domain(ODD)
- ヒューマンマシンインターフェース:Human-Machine Interface(HMI)
- LiDAR:Light Detection and Ranging
- フィジカルAI:Physical AI
- ルールベースとエンドツーエンド:Rule Base & End to End
- 位置特定技術:localization, mapping
- 認識技術:perception
- 予測技術:prediction
- センシング:sensing
- アクチュエータ:actuator
- 先進運転支援システム:Advanced driver-assistance systems(ADAS)
- ■重要表現は最低限覚えておこう
■自動運転車:autonomous car, self-driving car
自動運転車は「autonomous car(オートノマスカー)」「self-driving car(セルフドライビングカー)」「driverless car(ドライバーレスカー)」「robotic car(ロボティック・カー)」などの英語で呼ばれることが多い。ワードの最後に複数形の「s」がつくこともある。
【参考】関連記事としては「米国で「自動運転車」と検索すると「テスラ」が独占状態」も参照。
googleやYahoo!などの検索サイトで比較してみると、最もヒットする英語が「driverless car」で、「self-driving car」「autonomous car」「robotic car」と続く。だが英語版Wikipediaの英語版は「autonomous car」をタイトルに使っている。一方で最近の英語ニュースなどで使われるワードとしては、「robotic car」以外の3種類をほぼ同じ頻度で見掛ける。
「car」の代わりに「vehicle」という英語を使っている場合は、自動運転車を指していることもあるが、「vehicle」という英語自体が広義の「乗り物」という意味なので、広い意味での自動運転技術を活用した乗り物を指すのが一般的だ。
また、自動運転車は将来的にコネクテッドカーの機能も搭載していくことになることから、「自動運転車」と「コネクテッドカー」の両方の意味を備えた「コネクテッド自動運転車」という単語も英語圏では既に頻繁に使われるようになっている。英語では「Connected Autonomous Vehicle(コネクテッド・オートノマス・ビークル)」と書き、略称は「CAV」となる。
【参考】関連記事としては「CAVとは? 何の略? 意味は「コネクテッド自動運転車」 AVは?CVは?」も参照。
■自動運転に関連する主要ワード
自動運転タクシー:robotaxi、self-driving taxi
自動運転技術を活用した代表的なサービスの一つだ。特定ルートを走行する自動運転バスと異なり、一定エリア内で柔軟な走行を実現するのが特徴だ。既存の乗用車をベースに自動運転改造したモデルが多いが、オリジナル車両を導入する動きも出てきた。
正確には「self-driving taxi」や「autonomous taxi」となるが、近年、開発企業の多くが「robotaxi」と称するようになった。米テスラが「robotaxi」の商標登録を試みたが、一般的過ぎることを理由に米特許商標庁に拒絶された話も有名だ。
テスラのほか、Zooxや百度、Pony.ai、WeRide、Motionalなどはrobotaxiの呼称を使用する一方、Waymoは基本的に「autonomous ride-hailing service」「Waymo Driver」などと称し、「Taxi」という用語を使用しない。
【参考】関連記事「テスラ、「ロボタクシー」の商標登録に失敗 米特許庁「一般的すぎ」」も参照。
自動配送ロボット:Delivery Robot
モノの近距離輸送に特化した自動運転車は、主に自動配送ロボットと称される。「Autonomous Delivery Robot」または「Delivery Robot」だ。
大半は歩道を走行する小型・低速のモビリティで、日本では時速6キロまでなど規格化されている。飲食店やコンビニ、スーパーなど、近隣への即時配達用途が多い印象だ。
また、車道を走行する中型・中速のモビリティもロボット扱いされることが多い。車道を走行するものの人間の乗車スペースはなく、モノの輸送に特化した仕様となっているためだ。
乗用車ベースの自動運転車でデリバリーを行う例もあるが、この場合はロボットと言わないようだ。WaymoとUber Technologiesの提携によるデリバリーサービスは「Autonomous Deliveries」と称されている。
【参考】関連記事「自律走行ロボットの種類解説 機能面や車両タイプから分類」も参照。
経路最適化:Route Optimization、Route Planning
自動運転車の運行における中核技術の一つに数えられる経路最適化は「Route Optimization」「Route Planning」と呼ばれる。最適化されることを前提に、単純に「ルートプランニング」と呼ぶことも多い。
コンピュータがドライバーを代替する自動運転においては、走行ルートの選定も当然コンピュータが担う。正確かつ効率的な無人走行を実現するには、カーナビレベルではなくリアルタイム情報をもとに車線レベルで経路を最適化していく必要がある。
また、無人配送などにおいて行き先が複数ある場合、どういったルートで回れば効果的かつ効率的かを考えるのも重要となる。
遠隔監視制御システム:remote monitoring control system
自動運転に必須の遠隔監視制御システムは「remote monitoring control system」と呼ばれる。遠隔監視システムとして「remote monitoring system」と呼ぶものもあるが、多くの場合一定の制御機能も備えている。
自律走行が可能な自動運転車だが、どれだけ精度が向上しても、万が一の事態に備えるため遠隔監視システムは欠かせない。もらい事故を含め、道路交通に不測の事態は付きものであるためだ。
自動運転システムの能力が向上すれば常時監視は必要なく、1人のオペレーターが複数台を管理できるようになる。1人で数十台を管理できるようになれば、大幅なコスト削減が可能となる。
「遠隔」とあるように、遠隔監視・制御はサービス展開エリアから遠い地でも行うことができる。Waymoは遠隔オペレーション拠点をフィリピンにも設けているようだ。
高精度3次元地図:High-Definition 3D Map(HD map)
自動運転を補助し、安全性・正確性を向上させる役割を担う高精度3次元地図は、「High-Definition (3D) Map」と呼ばれ、「HD map」と略されることが多い。この高精度3次元地図に信号現示情報など動的・静的情報を付加したものはダイナミックマップ(Dynamic Map)と呼ばれる。
従来の自動運転においては必須と言えるほど導入されている。道路環境をLiDARで3Dデータ化し、仮想線などを加えつつ精密にマップ化したもので、自車位置推定などに役立つ。
日本や米国などでは高速道路を中心にマップ化が進んでおり、レベル4だけでなくレベル3やレベル2+でも導入されている。
一方、現在開発の目玉となっているエンドツーエンドモデルの自動運転においては、高精度3次元地図は不要とされている。今しばらくは要素技術として重宝されるが、将来性に疑問が生じ始めたのも確かだ。あえてE2Eでも使用し、冗長性・確実性を高める方向にもっていくか、レベル2+~3の主力技術として成長させるか。新たな成長戦略が必要となりそうだ。
【参考】関連記事「ダイナミックマップとは?自動運転向け動的・静的地図(マップ)データ」も参照。
運行設計領域:Operational Design Domain(ODD)
自動運転可能な条件を指す運行設計領域は、「Operational Design Domain(ODD)」と呼ばれる。各社が開発する自動運転システムは、それぞれ走行するエリアや道路、速度、天候、時間帯など、自律走行可能な条件があらかじめ付されており、これをODDと呼ぶ。
レベル2+やレベル3においても、「高速道路で~」「時速~キロで走行中」などといった文言が見られるが、これもODDとなる。自動運転可能な条件を示すODDは、各自動運転システムの性能を表すと言っても良い。
一方、近年開発が盛んなエンドツーエンドモデルの自動運転システムは、こうした条件にとらわれることなく、人間が運転可能な環境であればいつでもどこでも自律走行を可能にする。
【参考】関連記事「自動運転のODD(運行設計領域)とは?」も参照。
ヒューマンマシンインターフェース:Human-Machine Interface(HMI)
ヒューマンマシンインターフェースは、そのまま「Human-Machine Interface」となり、HMIと略されることが多い。
HMIは、人間と機械・コンピュータが情報をやり取りする仕組みやシステムなどを総称するもので、コンピュータが制御を担う自動運転車においては必須要素となる。
ハンドルなどの制御装置をはじめ、行き先の指示や車内の空調、音楽など、アナログな操作に依存せずいかに乗客らの意を汲み、車両を制御するか。車内における利便性・快適性を左右する重要要素なのだ。
レベル3以下では、主にドライバーとコンピュータ、レベル4以上では、乗客やオペレーターとコンピュータの意思疎通手段となる。
LiDAR:Light Detection and Ranging
自動運転車用のセンサーとして注目を集めるLiDARの正式名称は「Light Detection and Ranging」だ。発射したレーザー光が物体に反射して戻ってくるまでの時間を計測し、物体までの正確な距離を算出することができる。辺り一面にレーザー光を照射すれば、その反射状況をもとにどこにどのような物体があるかを点群で示すこともでき、3Dスキャナと呼ばれることもある。
従来の自動運転車には必須とされるセンサーで、高精度3次元地図の作製にも欠かせない。カメラなど他のセンサーと長所・短所を補い合うとことで総合的な認識技術を高めている。
フィジカルAI:Physical AI
カメラなどのセンサーを通じて現実世界の情報を認識し、その情報をもとにロボットなど物理的なボディを伴う物体を制御するAI・手法をフィジカルAIという。英語表記では「Physical AI」となる。
生成AIは、デジタル情報をもとにテキストや画像などデジタル空間内で新たなデジタルデータ・コンテンツを生み出すが、フィジカルAIは現実世界で実際に物体を動かすものを指す。
自動運転車も、センサーからリアルタイムで取得したデータをもとに自律制御を行えばフィジカルAIとなる。ヒューマノイドとともに、自動運転車がフィジカルAIの代表課と言えそうだ。
【参考】関連記事「自動運転と「フィジカルAI」の関係性は?実世界で物理的動作」も参照。
ルールベースとエンドツーエンド:Rule Base & End to End
自動運転の開発手法を指すルールベースとエンドツーエンドは「Rule Base」「End to End(E2E@)」と表記される。
ルールベースは、「赤信号は止まる」「制限速度を超えない」など、エンジニアが運転ルールを一つひとつコンピュータに学習させ、自律走行性能を高めていく手法だ。膨大な取扱説明書を自動運転車のために作成していくようなイメージだ。
一方、E2Eは最低限のルールを学ばせ、実際に走行させて正しい制御を行った際に報酬を与える。AIがこの報酬を最大化させるよう自ら改善を図っていく過程を通じて、自律走行性能を高めていく。
原則、一定エリア内などの制限を設けず、人間と同様の環境下であらゆるルールを学ばせるため、レベル5相当の自動運転を実現するアプローチとして注目を集めている。
【参考】関連記事「自動運転モデル「ルールベース」「E2Eモデル」とは?」も参照。
位置特定技術:localization, mapping
自動運転に必要な技術の一つとして挙げられるのが位置特定技術。こちらは「localization(ローカライゼーション)」や「mapping(マッピング)」と呼ばれる。
認識技術:perception
位置特定技術を同様に自動運転に必要な技術である「認識技術」は、英語では「perception(パーセプション)」と呼ばれる。英語を直訳すると「知覚・認知」などの意。認識技術は、障害物や歩行者などの存在を検知するときに必要となる。
予測技術:prediction
危険可能性や事故リスクなどを算出する「予測技術」は、英語では「prediction(プレディクション)」と呼ばれる。英語の「predict(プレディクト)」は「~を予測する」という他動詞で、predictionはこの名詞形だ。
センシング:sensing
車両に搭載した計測機器(センサー)を使って測定を行うことを、英語で「sensing(センシング)」を呼ぶ。自動運転技術においては、自動運転車を取り巻く環境をセンサーで観測することを「外部センシング技術」と呼ぶこともあり、頻繁にこのキーワードが登場する。
アクチュエータ:actuator
アクチュエータは英語で「actuator」と書き、電気信号を物理的な運動に変換するための要素・装置のことを呼ぶ。自動運転においては、システム側が出した指令が車輪の回転やブレーキやハンドルの制御に直結する。この役割の担うのがアクチュエータとなる。
先進運転支援システム:Advanced driver-assistance systems(ADAS)
自動ブレーキや危険に関する警報、車線逸脱防止などの機能を備えたシステムを、英語で「Advanced driver-assistance systems(ADAS)」と呼ぶ。ADASは人間の運転を支援することを前提に設計されたシステムであると言えるが、自動運転にも必要な技術が多数使われている。
■重要表現は最低限覚えておこう
自動運転に関する技術ワードやキーワードは英語を使って説明されることが多い。自動車関連企業も日本語ではなく、カタカナ英語で説明を行うことが多く、これらの技術用語やキーワードの英語表現は最低限覚えておきたい。
(初稿公開日:2018年4月21日/最終更新日:2026年3月8日)










