半導体ルネサスの自動運転事業史まとめ コネクテッド領域にも参入、LiDAR開発も

2013年〜2018年ニュース一覧


出典:ルネサスエレクトロニクス社メディアライブラリ

半導体大手のルネサスエレクトロニクス(本社:東京都江東区/代表取締役社長:呉文精)が、自動運転車やコネクテッドカー(つながるクルマ)領域へ傾倒している。自動運転での高速情報処理に対応する通信用半導体を開発する米インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)の買収を目前に控え、その姿勢はより鮮明になっている。

世界の半導体メーカーが社運を懸けて開発競争を繰り広げるこの分野で、ルネサスは一体どう勝機を見出していくのだろうか、という疑問を持つ人がいるかもしれないが、ルネサスは2002年11月設立以後、水面下で自動運転関連に力を入れ続けてきた。設立から現在までのルネサスの知られざる自動運転事業史を紐解く。







■2013年後半:株式マーケットに「自動運転銘柄」と認知される

このころからルネサスは株式マーケットにおいても「自動運転銘柄」として注目を集めるようになった。同社が手掛ける画像処理チップは自動運転車においてその能力を十分に発揮すると評価され、ルネサス株の急伸が続いた時期があった。

■2014年6月:自動運転やコネクテッド半導体へ注力、と常務がコメント

大村隆司執行役員常務が、自動運転やネットワークとの接続制御機能を有した半導体の開発に力を入れることなどを、メディアのインタビューで語っている。この当時、経営再建中のルネサスが産業革新機構から受けた出資金1500億円の使い道が焦点になっており、次世代カー分野への投資に充てるのではという見方も多かった。

■2014年8月:自動車周辺を3D画像化するLSI発表、自動運転への応用に期待

自動車の周辺全てを3次元(3D)画像化するLSIの開発を発表している。当時は周囲に人がいることをシステム側で認識した場合に警告を出す、という仕組みに留まっていたものの、この認識技術を自動ブレーキやハンドル制御などの自動運転技術につなげる、ということも視野に入れられていた。

■2014年9月:次世代の運転システム「統合コックピット」を開発

人間が身振りなどで自動車のエンジンなどをコントロールできる技術などを搭載した次世代運転システムを発表した。これは「統合コックピット」という運転システムで、その前月に発表したシステムLSIやルネサスの強みである画像認識技術をふんだんに活用して開発した。

■2015年2月:新メモリー開発、速度2倍・容量4倍でセンサー情報処理に期待

車載向けの最先端フラッシュメモリーを開発したことを発表した。書き込み速度が2倍、メモリー容量は4倍という高性能が特徴。こうした高性能化が自動運転車のコアセンサーが取得したデータの大量処理・高速処理に役立つという観点からも注目を集めた。当時は2〜3年後にサンプル完成の上で出荷を開始すると報じられていた。

■2015年7月:ドイツ自動車大手アウディの戦略的パートナーに選定される

現在、自動運転分野の開発レースで最前線にいる独アウディが、当時ルネサスを半導体部門で戦略的パートナーに選定した。協力関係を築く分野には自動運転車やコネクテッド化なども含まれ、ルネサスと自動運転という組み合わせを強烈に意識させたニュースとなった。

■2015年12月:自動運転車向けの画像処理メモリーを開発、収益改善に期待

自動運転車ではリアルタイムの画像処理が必要不可欠な技術となる。ルネサスがこの課題を解決すべく、自動運転車向けの画像処理メモリーを開発・発表した。株式マーケットもこの発表に高い関心を示し、売買が盛んとなり株価も前日比6.4%高を記録した。

■2016年4月:日産系部品メーカー出身の呉文精氏を社長に抜擢

日産自動車系列の部品メーカー「カルソニックカンセイ」の前社長である呉文精氏を社長に迎え入れることを発表した。その人事は親会社の産業革新機構の志賀俊之会長=元日産COO=が主導したと言われている。自動車業界とルネサスの近づきぶりが明らかになった形だ。

■2016年6月:米半導体大手インターシルを3200億円で買収すると発表

アメリカの同業他社である半導体大手インターシルを3200億円で買収すると発表した。インターシルの高性能半導体が自動運転車向け事業に大きく貢献するなどと判断。自動運転事業の規模拡大にもつなげることも目的とされていた。

■2017年1月:ルネサスが自社開発の半導体で自動運転車を試作・公開

無人型の自動運転車を試作して、アメリカの見本市で発表している。自社で開発した半導体を搭載させ、自動運転システムは欧米のソフトウェア会社から調達した。試作車の公開で自動運転開発を進めるメーカーなどからの受注もねらった営業戦略ととらえられた。

■2017年4月:ルネサス共同体「R-Carコンソーシアム」の加盟、200超え

ルネサスが組織してきた自動運転開発など向け共同体「R-Carコンソーシアム」のパートナー企業や研究機関が200を超えたことが明らかになった。共同体を拡大することで競合するインテルやクアルコムに対抗する姿勢を鮮明にした。

■2017年10月:トヨタ自動車に自動運転向け半導体を供給することを発表

トヨタ自動車が開発する自動運転レベル3(条件付き運転自動化)向けに、高性能半導体を供給することを発表した。ルネサスはこの時点で車両の制御に対応した複数の半導体商品を揃えている。

■2017年12月:LiDARの開発で仏ソフトベンチャーとの協業を発表

自動運転の「目」とも呼ばれる光センサー「LiDAR(ライダー)」の開発において、フランスのソフトベンチャー「ディボティクス」と協業することを発表している。LiDARは自動運転車のコアセンサーに位置付けられ、将来巨大市場に発展することが既にこの頃から業界では認識されていた。

■2018年8月:通信用半導体大手の米IDTの買収交渉を進めていることが明らかに

そして今回のニュース。買収額は60億ドル(約6600億円)規模とされており、日本国内の半導体企業が他社を買収する金額としては過去最高に上るとみられている。

■自動運転分野こそルネサスの勝負所

ルネサスの自動運転分野への傾倒はいまに始まったことではない。巨大市場を形成することが確実となっている自動運転分野は、経営再建を経てさらなる成長を目指すルネサスにとっても無視できない領域、いやまさに勝負所だ。今後のルネサスエレクトロニクスの自動運転戦略に一層の注目が集まっている。

【参考】自動運転業界における半導体開発企業などの勢力図は「【2018年夏 最新版】自動運転業界マップをリリース! 全138企業・大学・ファンドを掲載|自動運転ラボ 」も参照。







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