日本の研究開発費トップ10、全企業がAI自動運転に関与 日経調査

ソニー、日立、他業種の参入も盛ん



日本経済新聞社がまとめた2018年度の「研究開発活動に関する調査」で、主要企業の43.9%が過去最高の研究開発費を計上していることが分かった。とりわけ上位10社全てがAI(人工知能)や自動運転の開発に携わっており、製造業における研究開発の中心が次世代技術をはじめとする新産業分野に移行していることが顕著に表れている。


ランキングは1位トヨタ自動車(1兆800億円)、2位ホンダ(7900億円)、3位日産自動車(5400億円)、4位デンソー(4950億円)、5位パナソニック(4900億円)、6位ソニー(4700億円)、7位日立製作所(3500億円)、8位キヤノン(3400億円)、9位三菱電機(2250億円)、10位NTT(2200億円)となっている。

1〜4位は自動車産業の企業が占めている。5位のパナソニックはAI(人工知能)に精通した人材を1000人まで増員する計画を打ち出しており、AI技術の活用によって「自動車」「住宅家電」「電池」の3事業を強化する方針。車載電池のほか画像センサーの開発に力を入れている。

■ソニーは画像処理センサー開発などに3年で1兆円

6位のソニーは2018年の定時株主総会で自動運転分野を2020年代における柱とする考えを示しており、画像処理センサー開発などの設備投資に3カ年で1兆円を充てる方針を表明している。7位の日立製作所は2008年に製品化したステレオカメラがSUBARUのEyeSightに採用されるなど早い時期から自動運転に携わっており、コネクテッドサービスをはじめとした自動運転分野で活用できるIoTプラットフォーム「Lumada」も開発している。

【参考】ソニーの経営方針については「1兆円戦略の真実…ソニーが自動車会社に!? 「自動運転で社会貢献」と吉田社長|自動運転ラボ 」も参照。


■キャノンは車載カメラモジュール事業で自動運転市場に参入

8位のキヤノンは2018年中に車載カメラモジュール事業に参入する方針を明らかにしており、2020年までの中期計画で自動車分野における自動運転やデジタル化への投資を拡大することとしている。9位の三菱電機は、自動運転向けマップや位置情報特定技術に関するビジネス分野で事業展開を加速させており、人工衛星などを活用した新技術の確立を目指している。

10位のNTTは通信技術を生かしてコネクテッドカーの研究開発でトヨタ自動車と協業しているほか、各地で行われているバスの自動運転実証実験などでシステム構築に携わっている。

自動車メーカーらはもとより、他業種メーカーも自動運転分野でいかに自社の強みを生かすかが大きな鍵になっているようだ。

 


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