欧州進出の中国系ロボタクシー、株主に「トヨタ」の社名

中国MomentaがUberとタッグ



出典:Flickr / DennisM2 (CC0 1.0 : Public Domain)

中国の自動運転スタートアップMomentaと米配車大手Uber Technologiesは、2026年にドイツレベル4自動運転車のテストを開始することをこのほど発表した。Momentaの自動運転タクシー(ロボタクシー)をUberのプラットフォームで展開することを視野に入れた取り組みで、将来的にはヨーロッパ各地にサービスを拡大していく計画だ。

Momentaは、トヨタが出資する有力スタートアップの1社として知られている。つまりMomentaの株主一覧にはトヨタの社名があるということだ。


Momentaは4年時点の時価総額は10億ドル(約1,470億円)でユニコーン企業に数えられている。そしてUberは米Google系の自動運転開発企業Waymoなどとタッグを組み、ロボタクシーサービスのプラットフォーマーとしての存在感を強めている。両社の提携によるヨーロッパでの早期のサービス実用化に期待がかかる。

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■欧州進出で最初の都市はミュンヘン

MomentaとUberは、2025年5月に最初の戦略的提携を発表している。これは、米国と中国以外の国際市場においてUberのプラットフォームに自動運転車を導入するためのものであった。

そして同年9月、共同でドイツでのレベル4自動運転車のテストを行うことを発表した。この協業では、Momentaの先進的なAI(人工知能)駆動型自動運転技術をUberのグローバルプラットフォームに統合し、ヨーロッパをはじめ世界各地で安全性・拡張性・効率性に優れたロボタクシーサービスの提供を目指すという。

まずはヨーロッパ各都市への展開を視野に、2026年にドイツのミュンヘンで自動運転車の走行テストを開始する。ジオフェンス(地理的制限)を設定し、そのエリア内でセーフティードライバーなしで運行可能なレベル4の自動運転車が使用される。そのためには、ドイツ政府からの認証および、運行が許可される「ジオフェンスゾーン」の承認を取得する必要がある。


Momentaによると、同社はすでにメルセデス・ベンツやBMWといったドイツの大手自動車メーカーとパートナー関係にあり、ミュンヘンがあるバイエルン州およびドイツの自動車業界において確固たる地位を示しているという。

▼Uber and Momenta Announce Testing to Begin in Munich in 2026
https://www.momenta.cn/en/article/316.html

出典:Momentaプレスリリース

■トヨタも出資するMomentaとは?

Momentaは2016年に北京で設立され、ディープラーニング(深層学習)技術を武器に自動運転関連ソフトウェアの製品化に取り組んでいる。特に画像認識・判断の領域で強みを持つ。

同社は自動運転レベル4を実現する自動運転ソリューション「MSD(Momenta Self Driving)」や、自家用車向けの大量生産に対応した自動運転レベル3のソフトウェア「Mpilot」、「車載器+クラウド+運行管理」のフリート向けソリューション「AutoRing」などを製品化している。


Momentaへの出資企業には、トヨタやGM、ボッシュ、上海汽車集団など大手自動車メーカーが名を連ねている。また2022年4月には、あいおいニッセイ同和損害保険の中国子会社である愛和誼日生同和財産保険有限公司(ADIC)と、戦略提携契約を締結したことを発表した。

2024年6月に、中国の証券監督当局により米国でのIPO(新規株式公開)が承認された。今後米国市場へ上場予定となっている。

左:MomentaのCEOであるXudong Cao氏/右:UberのCFOであるPrashanth Mahendra-Rajah氏=出典:Momentaプレスリリース

■配車を一手に引き受けるUber

Uberはかつて自社で自動運転開発に取り組んでいた。しかし計画は思うように進まず、2020年に自動運転開発部門「Advanced Technologies Group(ATG)」を米Aurora Innovationに売却し、自動運転事業を断念したという経緯がある。

現在は他社のロボタクシーの配車事業に力を入れている。Waymoのほか、トヨタも出資する自動運転ベンチャーの米May Mobilityや中国のWeRide(文遠知行)とも提携済みだ。

さらに2025年4月にはドイツの自動車メーカー大手フォルクスワーゲン(VW)とも組み、米国でロボタクシーサービスを提供していくことを明かしている。また同年7月に中国のIT大手Baidu(百度)も、Uberと複数年にわたる戦略的提携を行ったことを発表した。米国と中国本土以外の複数の世界市場において、Uberのプラットフォームを通しBaiduの自動運転タクシー(ロボタクシー)数千台を運行するためだ。

■ミュンヘンの次はどの都市に進出?

自動運転システム開発で注目される新進気鋭企業Momentaと、自動運転車のプラットフォーマーとして他者に抜きん出ているUberのタッグにより、両社のヨーロッパでのロボタクシー実装は順調に進むことが予想される。まずはミュンヘンでのテストの進捗と、次に進出予定の都市はどこかに注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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