テスラのロボタクシー、「旅行アプリ部門」で全米1位獲得

Xフォロワーは14万人に



出典:App Store

EV大手の米テスラが、ロボタクシーアプリ「Tesla Robotaxi」の一般公開を開始した。App Storeでは、旅行カテゴリで早々に人気ナンバー1に輝くなど、注目度は非常に高いようだ。

野心的に攻勢を強めるテスラの最新動向に迫る。


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■テスラ・ロボタクシーの最新動向

ロボタクシーアプリを正式リリース

テスラのロボタクシー公式Xは2025年9月4日、「ロボタクシーアプリが誰でも利用可能になりました。ダウンロードして待機リストに登録しましょう。アクセスはすぐに拡大されます」とアナウンスした。正式にロボタクシーアプリの一般開放を開始したのだ。

▼Teslaのロボタクシーアプリ
https://apps.apple.com/us/app/tesla-robotaxi/id6744257048

これに先立ち、イーロン・マスク氏は2025年8月11日、Xに「It will be open access next month(来月からオープンアクセスになるだろう)」と投稿しており、有言実行された格好だ。

現状、テスラの配車サービスはテキサス州オースティンの一部エリアとカリフォルニア州の一部エリアに限られ、一部登録者を対象に限定的なサービスを提供している状況だ。カリフォルニア州では無人の自動運転許可などが下りていないため、有人ドライバーによる普通のタクシーサービスにとどまる。


まだまだ始まったばかりの実証レベルだが、まもなく対象者を拡大し、いわゆるアーリーアクセスプログラムからの脱却を進めていくということだろう。

どのタイミングで車内無人化を実現することができるのかは不明だが、おそらく利用者枠の拡大とともにフリートを拡大し、本格サービス化に向け動き出した――ということだ。

出典:App Store

新法に基づく認可を取得

なお、テスラはテキサス州におけるライドシェアのライセンスを正式に取得し、9月1日に発効したばかりの同州の新自動運転ライドシェア法に基づいてロボタクシー車両を運行するための規制認可を得たという。

こうした背景から、オースティンで一般向けに自動運転サービスを開始するための基盤を固め始めたものと思われる。


App Storeのランキングでライバル抑え1位に

アプリ「Tesla Robotaxi」の公開はiOS向けのみで、Androidはもう少し先になる見込みのようだが、App Storeのカテゴリ別人気ランキングでは、「Travel」の部においてUber TechnologiesやLyft、Airbnbを抑えいきなり1位に躍り出た。

「待ちに待った!!」という感じだろうか。すぐに利用できる人はごく一部に限られ、オースティン以外の人はいつ自分の生活圏でサービス展開されるかまったく未定であるにもかかわらず、ダウンロードする人が相次いでいるということだ。それだけ注目度や期待度が高いのだろう。

自動運転タクシーの台数で言えば、テスラはまだ20~30台規模で、北米各地で運行するWaymoの2,000台と比べ100分の1ほどのスケールに過ぎない。ライドシェア各社とは比較対象にもならないレベルだ。

しかし、Xのフォロワー数はTesla Robotaxiが14万5,000人で、すでにWaymoの12万2,400人を上回っている。注目度の高さはピカイチで、サービス展開次第では間違いなく台風の目となる存在だ。

▼テスラのロボタクシー公式Xアカウント
https://x.com/robotaxi

出典:X

なお、9月5日時点ですでに評価件数は641件に上り、5点満点中4.9の高評価を得ている。おそらくコアなテスラファンを中心にダウンロードが進んでいるものと思われ、サービス未体験状態で期待を込めてレビューしているものと思われる。

以下、レビューをいくつかピックアップしてみた。

最近ロボタクシーを試したが、間違いなく今までの配車サービスの中で最高の体験だった。これまで乗ったUberやLyftよりもはるかに清潔で、爽やかで快適な雰囲気だった。乗り心地も信じられないほどスムーズ。UberやLyftで経験した不安定な運転とは対照的に、ロボタクシーの自動運転システムは交通渋滞の中を的確に滑るように走行する。Waymoよりも明らかにスムーズで感心した。UberやLyft、Waymoよりも安いので、予算重視の乗客にとっては迷わず選べる。今後、私の地域で利用できる配車アプリはロボタクシーが頼りになる。安全でしかもお手頃価格。ぜひお試しください!

テスラ・ロボタクシーアプリは、自動運転配車サービスの世界に革命をもたらし、UberやWaymoといった競合他社を圧倒する存在。おそらく、彼らはまだ時代遅れのビジネスモデルを踏襲しようとしている。アプリを開いた瞬間から、まるで未来に足を踏み入れたような感覚になる。乗りたいですか?タップするだけでピカピカのテスラ・ロボタクシーが「Uberって誰?」と声をかけるよりも早く、あなたの場所へと滑るように到着する。

インターフェースは傑作。すっきりとしたデザイン、リアルタイムトラッキング、そして革新性を体現する雰囲気。車の正確なルート、到着予定時刻、そしてバッテリー残量まで確認できる。走行自体はバターのように滑らかで、自動運転技術はWaymoのぎこちないアルゴリズムをまるで運転教習生のように思わせるほど。気まずい雑談も、五つ星評価を乞う必要もなく、まさに未来的な至福のひとときが味わえる。

Uberのドライバーは「気が進まない」という理由でキャンセルすることもあるし、Waymoの車はまるで混乱した鳩のように忙しくブロックを旋回するが、テスラのロボタクシーは常に正確な運行をおこなう。まるで専属の運転手がいるかのよう。テスラ・ロボタクシーは自動運転の新たなゴールドスタンダードと言える。UberやWaymoがまだ馬車に乗っているかのような、実に素晴らしいサービス。ぜひ今すぐチェックしてみて!

正直、「サクラ」を疑いたくなるほどのべた褒めレビューが並んでいるが、コアなテスラファンが押し寄せているのだろう。WaymoやUberには、ここまでの熱烈ファンはいないものと思われる。その意味でも、やはりテスラは特別な存在であり、注目に値する面があるのだろう。

■テスラ・ロボタクシーの概要

アプリ利用方法は他社と同等

出典:Tesla公式サイト

ダウンロードユーザーは、まず「WaitList」に登録し、テスラから案内されるまで順番待ちとなる。

こうしたWaitListの設定は、自動運転タクシーで先行するWaymoと同様だ。サービス提供側としては、ローンチ前に大まかな需要を把握することができ、無駄なく効率的な配車体制を整えることができる。また、いきなり全面一般開放すると、利用者が殺到してサービスの質が低下することも危惧される。コアなファンが多いテスラも、王道と言えるこの方式を採用したのだろう。

テスラのロボタクシーに乗車するには、まずアプリ「Tesla Robotaxi」をダウンロードする。その上でTeslaアカウントを取得し、認証情報を使ってサインインする必要がある。利用規約への同意と、ロボタクシーのプライバシーに関する通知確認、18歳以上であることを確認する必要がある。

サインイン後、アプリに表示されているサービスエリア内から目的地を入力し、乗車を確定すると、乗車料金の目安と乗車場所にロボタクシーが到着するまでの予想所要時間が表示される。

乗車場所にロボタクシーが到着したら、アプリで確認したナンバープレートの番号と車両番号を確認して乗車する。アプリで「開始」をタップすると、ロボタクシーが動き出す。

乗車中は、アプリと車両のタッチスクリーンにより、空調設定やシートの位置調整、音楽のストリーミング、乗車状況の確認、乗車中のサポート依頼などさまざまな操作を行うことができる。必要に応じて急な停車リクエストなども可能という。

目的地に到着したら、荷物を忘れずに車両を降り、すべてのドアを閉めればサービスが終了する。アプリで体験に関するフィードバックの提供も求められている。

オースティンのサービス提供エリアはWaymoの2倍近くまで拡大

サービス提供地域は、ライドシェアではなくロボタクシーに限るとオースティンの一部地域に設定されている。当初は18平方マイル(約47平方キロメートル)の範囲だったが徐々に拡大し、9月頭には173平方マイル(約450平方キロメートル)にまで広がっている。

参考までに、Waymoのオースティン市内におけるサービスエリアは88平方マイル(229平方キロメートル)という。オースティンに限っては、テスラはWaymoの2倍近いエリアを網羅しているのだ。高速道路における走行の準備も行われているという。

運賃は、今のところ走行距離にかかわらず一律4.20ドル(約610円)としている。シンプルで分かりやすい料金体系を目指しており、当面はサービス提供エリア内においてすべての乗車に対しシンプルで低価格な定額料金と該当する税金を請求するとしている。

【参考】テスラの自動運転技術については「テスラのロボタクシー、「急がば回れ」の典型例!人間的AIに固執」も参照。

テスラのロボタクシー、「急がば回れ」の典型例!人間的AIに固執

■テスラや業界の動向

ロボタクシーのFSDは自家用車版より6カ月分高度?

報道によると、ロボタクシーに搭載されている特別バージョンのFSDは、自家用車向けのものより約6カ月分技術が進んでいるという。マスク氏が明かしたそうだ。ロボタクシーバージョンにおける改良点は、近い将来自家用車向けにリリースしていくという。

ロボタクシーについて、マスク氏は安全要員となるオペレーターは最初の数カ月間助手席に待機しているだけで、年末までに車内からいなくなるはず――としている。計画通りいけば、2025年中に車内無人のロボタクシーが実現するようだ。

また、テスラはロボタクシーのローンチに合わせ、ニューラルネットワークパラメータを10倍に増やすなどの大幅な改良を含むメジャーアップデート「FSD V14」を、順調にいけば今秋にもリリースする可能性があるという。レアで複雑なシナリオにも対応し、ドライバーの介入が軽減されるとしている。

他都市展開を見据えた動きも

オースティンを拠点に本格サービス化を目指すテスラのロボタクシーだが、早くも他都市展開に向けた下準備が進められているようだ。

ニューヨーク州ブルックリン、テキサス州ヒューストンとファーマーズブランチ、アリゾナ州テンピ、ネバダ州ヘンダーソン、フロリダ州タンパ、クレルモン、マイアミ、カリフォルニア州パロアルト、イリノイ州シカゴの各都市で、安全オペレーターの求人を出していることが判明した。

各州当局からの許認可が後回しになっている可能性もあるが、マスク氏は2026年にも北米全域に拡大していく意向を示している。野心的で怖いもの知らずのスタンスで積極的に攻勢をかけることができるのがテスラの長所であり、短所でもある。

これが良い方向に向かえば、Waymoを猛追する条件が整う。しばらくの間、テスラの動向から目が離せない状況が続きそうだ。

【参考】オペレーターの求人については「テスラ、ロボタクシー試験の運転手に「時給5,000円」提示」も参照。

他社もまもなくローンチ予定

米国における自動運転タクシーは、Waymoが道を切り拓いてきた。同社は2018年にアリゾナ州フェニックスでサービスインして以来、カリフォルニア州サンフランシスコとロサンゼルス、テキサス州オースティン、ジョージア州アトランタでサービスを展開している。

2026年にフロリダ州マイアミとワシントン D.C.、テキサス州ダラスでもサービスを開始するほか、日本の東京都内でも走行実証を進めており、海外展開も視野に収めている。

アマゾン傘下のZooxは、ネバダ州ラスベガス、カリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリア、ロサンゼルス、ワシントン州シアトル、テキサス州オースティン、フロリダ州マイアミ、ジョージア州アトランタの7都市で走行実証を進めており、2025年後半にラスベガスとサンフランシスコで一般乗客へのサービス提供を開始する予定としている。

自動運転専用設計のオリジナル車両による自動運転タクシーサービスは、世界初となるかもしれない。

このほか、May Mobility、Motional、Avride、フォルクスワーゲン、丸紅×Mobileyeといった陣営も実用化を目指し着々と開発や実証を積み重ねている。

【参考】自動運転タクシーの動向については「自動運転タクシー、アメリカの最新動向!Googleやテスラの展開状況は?」も参照。

自動運転タクシー、アメリカの最新動向!Googleやテスラの展開状況は?

自動運転自家用車の分野にライバル出現?

FSDの自動運転化による自家用自動運転車の登場にも注目が集まるテスラだが、この分野ではTensor(旧AutoX)が動きを見せている。

Tensorは2025年、レベル4自家用車「ザ・クエイル」の販売を2026年にも開始すると発表した。「あなたが所有できる唯一のレベル4自動運転車」をキャッチフレーズに、世界初のパーソナルロボットカーを世に送り出すとしている。

走行可能エリアは設定されるようで、ODD外では運転席に座るか、アシスト運転に切り替えることで自動運転と手動制御のスムーズな切り替えが可能としている。レベル4走行時は、ハンドルやペダル類を収納することもできる。

ベトナムの自動車メーカービンファスト(VinFast)が車両の製造を行うとしている。価格や自動運転可能なODDなどは不明で、流動的な要素も多そうだが、こうした他社の動向にマスク氏が刺激され、大きく動き出す可能性もありそうだ。

■【まとめ】ブレイクスルーは着々と近付いてきている

走行を重ねるごとに進化していくのはテスラも他社も同様だが、E2Eモデルを採用するテスラは、ある一定水準を超えた段階でその加速度を大きく増していくことが予想される。その時がいつ訪れるかは不明だが、ブレイクスルーは着々と近付いてきている。

テスラのロボタクシーの本質的な評価が集まってくるのはこれからだ。車内無人を果たす頃、どのような立ち位置となっているか、改めて注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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