メルカリ元幹部、自動運転タクシー事業に着手!「自動車メーカー勢」と対決へ

newmoが軽井沢エリアに新拠点



出典:newmoプレスリリース

タクシー・ライドシェア事業を手掛ける国内スタートアップのnewmoが、長野県内に新会社「newmo軽井沢御代田」を設立すると発表した。

newmoはメルカリ元幹部らが今年1月に創業したばかりのベンチャー企業。タクシー事業を新天地に拡大するほか、将来的な自動運転タクシーを見据えた研究開発拠点としても活用していく予定という。


ホンダなどの自動車メーカーが自動運転タクシー参入を表明する中、新進気鋭のスタートアップはどう立ち向かうのか。newmoの最新動向に迫る。

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■newmoの動向

軽井沢・御代田エリアでタクシーサービスに着手、自動運転タクシーも視野に

newmoは長野県内に新会社「newmo軽井沢御代田」を設立し、大阪に続く第二の拠点として軽井沢・御代田エリアで事業展開する。御代田町にタクシー営業所を開設し、2025年夏から軽井沢・御代田エリアでタクシー営業を開始する計画だ。

新会社では、利用者からニーズの高い車両の導入や独自の運行管理システムを活用し、便利で快適なタクシーサービスの提供を目指す。20台規模を予定している。

軽井沢エリアは避暑地・観光地として人気が高く、国内外からの観光客増加により観光シーズンにおける観光客・地元住民双方の移動手段の不足が課題となっている。


軽井沢町(佐久交通圏)は日本版ライドシェア事業実施に向け早くに手を挙げており、2024年4月から同事業を開始している。4月にタクシー事業者4社が参加し、運行回数は4月64回、5月82回、6月223回、7月350回超と順調に伸びているようだ。

newmoは、この地でタクシー事業に着手するとともに、将来的な自動運転タクシー運行を見据えた研究開発の拠点として、実証をはじめとしたさまざまな取り組みを検討していくという。担い手不足が深刻な地方における活用事例創出を目指す構えだ。

出典:newmoプレスリリース

タクシー事業とライドシェア事業が事業の柱

newmoはサスティナブルな地域交通の実現を目指すスタートアップとして、以下を念頭に事業展開している。

  • 移動手段の不安を取り除き、日常の移動をより楽しく、便利に、安全に
  • 多様なモビリティ手段の提供を通じて、地域の観光、産業を豊かに
  • テクノロジーを活用し、多くの方が安全に、柔軟に働くことができる環境を提供

同社が現在推し進めているのはタクシー事業とライドシェア事業だ。2024年1月の起業以来、3月に大阪エリアの岸和田交通グループの岸交への資本参加、7月には同エリアの未来都を買収したことをそれぞれ発表している。


タクシー事業に正式参加するとともに、2024年秋から大阪府内でライドシェア事業を開始する計画としていた。日本全国のタクシー事業者との資本参加・提携を通じ、タクシー・ライドシェアのハイブリッドモデルで供給を拡大していくとしている。

なお、大阪では岸交とともに7月に大阪市域交通圏における日本版ライドシェア(自家用車活用事業)の正式運行を開始している。計画は前倒しされたようだ。

8月には、FinTech関連の新事業を担う子会社「ライドシェアリース」を立ち上げ、ドライバー向けのカーリース事業を今秋に開始することも発表している。

同社の本質はテクノロジーサービスにあり

純粋にタクシー・ライドシェア事業の展開・拡大を図っているフェーズだが、同社の本質はテクノロジーだ。独自アプリの開発や運行管理システムの構築などで業務の効率化・DX化を図り、業界全体に通じるようなイノベーションを起こしていくことが念頭にあるものと思われる。

このフェーズを迎えつつ、全国の事業者との提携を推し進めていくのだろう。同社は、2025年度末までに全国20数カ所の主要地域での事業展開、タクシー車両数3,000台、ドライバー数1万人を目指す目標を掲げている。

参考までに、DX化にいち早く力を入れ国内トップを争う日本交通グループのタクシー台数は、連結会社4,775台、業務提携会社3,307台の計8,000台規模だ(2024年5月時点)。newmoは、創業わずか2年あまりで一大グループ形成を目指しているのだ。

ライドシェア事業を多角化!newmo、運転手に「カーリース」 初期費用はゼロ

自動運転タクシー事業も視野に?

そして、その先に見据えているのが自動運転タクシー事業のようだ。自動運転タクシーは、バスやタクシー業界で顕著となっているドライバー不足や、地方における不採算性を一気に解消するポテンシャルを有する。

米国・中国の自動運転業界では、WaymoやBaiduに代表されるように自動運転タクシーの開発が軸となっている。一定条件下で一定エリア内を自由に自律走行可能な技術により、誰もが安全な移動を享受することができる。

日本では、ホンダが2026年初頭に東京都内で自動運転タクシーサービスを開始する計画を明かしている。パートナーシップを結ぶGM・Cruiseと協力し、お台場エリアを皮切りに中央区や港区、千代田区へと対象エリアを拡大し、500台規模のフリートを構築する計画だ。

日産は、数十台規模のドライバーレス自動運転モビリティサービスを、2027年度を目途に地方を含む3~4市町村において実現する目標を掲げている。自動運転タクシーではなくオンデマンドシャトルサービスとなる見込みで、エリア内に複数の乗降ポイントを設定し自由に移動できる仕組みのようだ。

こうした大手自動車メーカーの取り組みに挑むのが、自動運転開発スタートアップのティアフォーだ。東京都内のお台場エリアでサービス実証を行い、2024年11月から交通事業者と共同で自動運転タクシー事業化を目指す方針だ。その後、段階的に区画や拠点数を拡張し、2025年に東京都内3カ所、2027年には都内全域を対象とし、既存の交通事業と共存可能な自動運転タクシー事業を推進するという。

【参考】自動運転タクシーの開発状況については「自動運転タクシーとは?アメリカ・日本・中国の開発状況は?(2024年最新版)」も参照。

自動運転タクシーとは?アメリカ・日本・中国の開発状況は?(2024年最新版)

newmoは配車や運行管理面で活躍?

newmoもティアフォーのように自動車メーカー勢に真っ向から勝負を挑むのか注目が集まるところだが、恐らく同社は路線が異なるものと思われる。

プレスリリースに詳細が記されていないため憶測となるが、配車アプリや運行管理システムなどが事業軸となるのではないだろうか。後発組として一から自動運転システム開発を手掛けるのはさすがにメリットが薄く、現実的ではない。

タクシーやライドシェアで培った知見を生かしつつ、自動運転タクシー特有の性質を盛り込んだ配車アプリや運行管理システムの開発を進める可能性が高いのではないか。

つまり、BOLDLYやGOに近い立ち位置だ。BOLDLYは自動運転モビリティの運行管理システム、GOはタクシー配車アプリを核に事業展開している。

BOLDLYは自ら自動運転開発を行いものの、他社製自動運転システムと協調可能な運行管理システムを構築し、実証を重ねることで運行ノウハウを蓄積している。運行管理のスペシャリストとして開発企業や自治体と緊密に連携し、自動運転モビリティの実用化を加速しているのだ。

一方、GOは日本発のタクシー配車アプリとして国内で圧倒的シェアを誇る。海外で隆盛を誇る米Uber Technologiesや中国DiDiなどの配車アプリも日本進出を果たしているが、日本人向けのUI・UXで他を寄せ付けない人気を誇るようだ。

ライドシェア主体で成長を遂げてきた配車サービス大手のUber TechnologiesやDiDi、米Lyftは、いずれも自ら自動運転開発を手掛けていた。Uber TechnologiesはAurora Innovationに、Lyftはトヨタ系のウーブン・プラネット・ホールディングス(現ウーブン・バイ・トヨタ)にそれぞれ開発部門を売却したが、Uber TechnologiesはAurora InnovationやWaymo、LyftはMotionalなどの自動運転車を自社プラットフォームで利用可能にする計画だ。

すでにUber Technologiesはアリゾナ州でWaymoの自動運転タクシーを利用可能にするなど、サービス面での統合を進めている。自動運転タクシーも一般タクシーと同様に扱うイメージだ。

こうした前例を踏まえると、GOもいずれは自動運転タクシーを自社プラットフォームに取り込むはずだ。将来、自動運転タクシーがスタンダードな存在になり得ることを想定すれば、必然の動きとなる。

newmoがどういった路線を歩むかはまだ不明だが、MaaS系テクノロジー企業にとって自動運転モビリティが欠かせない存在となることは間違いない。

今後、他社との差別化をどのように図り、存在感を増していくのか。要注目だ。

改めてMaaSに注目

可能性が高そうなのは、自動運転開発各社とのパートナーシップのもと、自動運転タクシーサービスを効果的に実装していくビジネスだ。

ティアフォーやホンダなどの開発陣営がサービス実装する際、必須となるのが配車アプリだが、今のところ各社固有の汎用的なアプリは見当たらない。サービス実装前だから当然ではあるが、各社はこうした面にも力を入れなければならない。

特に意識しなければならないのが、MaaSの観点だ。サービス開始直後は「自動運転タクシー」というサービス単体の配車アプリで対応可能だが、サービスが深まるにつれ、同エリアの他のモビリティサービスとの連携も欠かせなくなる。

地域のMaaSアプリに組み込まれ、競合するさまざまな選択肢とともにシームレスな移動を可能にしてこそ移動の効率性や利便性を高めることができる。

この点は各社・各地域共通の課題だ。MaaSブームの到来で各地域にMaaSアプリが誕生したが、その後、地道にバージョンアップを重ねている地域もあれば、放置状態の地域もある。総体として話題に上ることが明らかに減少しており、進捗が不明なものが多いように感じる。

自動運転同様、MaaSもブラッシュアップを重ね、新たな発想をどん欲に取り入れてこそ進化していくものだ。アプリを開発して終わりではない。この領域も、まだまだ未知の伸びしろがある。

こうした領域にnewmoの活躍の場が眠っているのではないだろうか。自動運転をはじめとした新たなモビリティサービスと既存サービスをいかに協調・融合し、利便性を高めていくか。

MaaSの観点から改めてnewmoの躍進に期待したい。

■【まとめ】MaaS領域で存在感?

newmoの自動運転タクシー分野への参入は非常に興味深いところで、恐らくMaaS領域で存在感を示す形になるのではないかと思われる。

自動運転バスの運行管理でBOLDLYが大きな存在感を発揮するように、この分野はまだまだ未完の面が多い。

果たして、newmoはどのような絵を描いているのか。今後の動向に引き続き注目だ。

【参考】関連記事としては「MaaS(マース)とは?移動手段を一元化、次世代交通の象徴」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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