自動運転推進派の政治家・議員・知事一覧(2024年最新版)

国会議員から地方自治体、政党の方針も



出典:地方創生図鑑・内閣府 地方創生推進室(CC BY 4.0 DEED)/首相官邸/flickr / G20 Argentina (CC BY 2.0)/愛知県/首相官邸

国内でも実用化がスタートしている自動運転サービス。米国・中国と比較すると内容に差はあるものの、着実に前進していることは間違いない。

こうした前進をリードするのは、開発企業だけではない。施策の方向性を定める政治家や、受け入れ先となる自治体などの存在も大きい。国会議員や地方自治体の首長のリーダーシップがあってこそ事業が前に進んでいくのだ。


この記事では、自動運転に関する発言が目立つ政治家や先進的な取り組みを行っている自治体の長などにスポットを当て、考え方や発言などを紹介していく。

■国会議員

河野太郎氏:デジタル大臣としての辣腕に期待

河野太郎大臣=出典:flickr / G20 Argentina (CC BY 2.0)

デジタル大臣をはじめ、デジタル田園都市国家構想担当、行政改革担当、規制改革を担う内閣府特命担当大臣などを兼務する河野氏は、与党を代表する自動運転の旗振り役と言える。

自動運転やライドシェアに関する発言は年々勢いを増している感を受けるが、国家公安委員長を務めていた2015年時点ですでに自動運転に触れている。

当時、ホンダのレジェンドをベースに自動運転機能を搭載した自動車で、首都高湾岸線の豊洲~葛西間で自律走行を体験したという。


もちろん、セーフティドライバーが運転席に乗った状態で、実質レベル2の走行と思われるが、公式ブログで「2020年の東京五輪で自動運転を実現するという目標は、技術的には可能だという想いを強くした」と語っている。条約改正問題や道路交通法などにも言及している。

2020年末に開催された規制改革推進会議の投資等ワーキング・グループでも力強い発言で場をリードしたようだ。規制改革に関わる内閣府特命担当大臣として出席した河野氏は、「つまらぬ規制が沢山あるというのが現実」とし、「警察庁、国土交通省には、日本が世界をリードする自動運転を作り上げることがどれだけ重要なのかということを常に考え、スピード感を持って対応してもらうようにお願いしたい」と意識改革を促している。

2023年に入ってからも、デジタル先進国のエストニアなどを訪問し、自動配送ロボットを見学する様子や、テレビの報道番組で自動運転やライドシェア導入に言及する場面などが見られる。10月には、日経新聞の取材で「規制があってとても商業的に利益がでる状況になっていない」旨発言したようだ。

デジタル大臣として、また規制改革担当として、政治や国を動かしていく手腕に期待したい。


【参考】規制改革推進会議での発言については「自動運転で河野大臣「つまらぬ規制が沢山」 警察庁に「頭切り換えて」」も参照。

【参考】河野大臣の動向については「自動運転、河野大臣が「24時間自由化」示唆 米国に先越され危機感」も参照。

菅義偉氏:デジタル庁発足、自動運転施策を継続

出典:首相官邸

総理大臣を務めた菅氏は、在任中のデジタル庁発足の功績が光る。安倍晋三氏からバトンを受け継ぎ、その方向性を引き継ぎつつも新たな枠組みで自動運転実用化を推進している。

デジタル庁では現在、官民ITS構想・ロードマップに続く新たな「モビリティ・ロードマップ」の策定が進められている。自動運転技術をはじめとしたイノベーションで道路交通をどのように変えていくか、要注目だ。

【参考】モビリティ・ロードマップについては「自動運転を含む日本の新「モビリティロードマップ」策定へ」も参照。

小泉進次郎氏:次代のリーダーシップに期待

出典:首相官邸

若手注目株の小泉進次郎氏も、早くから自動運転技術に触れている。2015年に日産本社を訪問し、自動運転車に試乗した。

その際、SNSで「内閣府政務官として実現に向け取り組んでいる近未来技術実証特区で自動運転車の導入を加速するための検討をしており、そのための視察」としている。

また同時期、プロ野球の試合で始球式を務めた際、ロボットタクシー株式会社の自動運転車で入場するパフォーマンスも行っている。SNSでは、「近未来的技術実証特区の取り組みとして、神奈川県、仙台市、名古屋市でドライバーがいない完全自動走行の実現に向けた実証プロジェクトをスタートさせる予定」と発表している。

近年は役職的にこの分野から遠ざかっている印象が強いが、変化や批判を恐れずしっかりと主張していくスタイルを貫き、次代の変革を担っていってほしい。

■政党は?

河野氏のように、自動運転にたびたび言及し、積極的に情報発信している国会議員は少ない。大きな権限を有する要職に就いている場合や特別な思い入れがない限り、ライトに言及する程度にとどまるのは致し方ないところだ。

では、政党としてはどうなのか。マニュフェストなどをもとに、各党のスタンスにも軽く触れておこう。

自民党が国策を主導

政権与党の自由民主党は、国策として自動運転実現を推進してきた立場にある。故・安倍晋三氏が総理大臣を務めていた時期(2014年)に官民ITS構想・ロードマップが初めて策定され、以後、自動運転開発・研究が大きく進むこととなる。

この流れは、前出の菅義偉内閣、そして現職の岸田文雄内閣でも引き継がれている。菅氏はデジタル庁を発足し、岸田首相はデジタル田園都市国家構想で自動運転実現を推進している。

岸田首相は第211回国会の施政方針演説で、「2025年をめどに全都道府県で自動運転の社会実験の実施を目指す」と意欲を示しており、地方創世の観点から導入を推進していくものと思われる。

【参考】岸田首相の施政方針演説については「自動運転で岸田首相「2025年めどに全都道府県で社会実験」」も参照。

各党の方針は?

公明党は、2022年のマニュフェストにおいて、「デジタル基盤の整備促進とイノベーションの創出」に向け自動運転を推進していくことを掲げている。物流や移動手段の確保などの観点のほか、除雪車の自動運転化にも言及している。

野党第一党の立憲民主党も2022年の政策集の中で、完全自動運転に向けた環境整備を行い、レベル4レベル5を世界に先駆けて社会実装するため、研究・開発の支援と道路交通法をはじめとする法整備を総合的に進めると明言している。

日本維新の会は、維新八策2022の中で、運輸・交通に関する成長戦略として自動運転の国内技術発展を支援し、レベル5の公道実験の推進などにより早期実用化を図るとしている。

国民民主党は、地方選挙政策3本柱の中で、完全自動運転EVの巡回バスや乗用車の実用化、地域公共交通システムを構築するスタートアップ企業の優遇や、レベル4を可能な限り早期実現するよう取り組む方針を示している。

日本共産党は、2019年可決のレベル3要件を満たす改正道路交通法の審議で唯一反対した。安全確保に向けた策が不足しており、時期尚早といった主張だ。

■都道府県知事

大村秀章氏(愛知県知事)

出典:愛知県

愛知県は、全国に先駆け2016年度から自動運転実証を行っている。初年度は、県内15カ所の実証エリアで高精度3次元地図を作成したという。実証の総延長は約4キロ、総実走距離は約2,800キロに及ぶ。

2017年度には「あいち自動運転推進コンソーシアム」や「あいち自動運転ワンストップセンター」を設置し、実証をさらに加速させている。

2023年度は、中部国際空港の連絡道路を含むルートで一般客を乗せた定期運行を2カ月間行うほか、愛・地球博記念公園(モリコロパーク)で将来の無人自動運転を想定した検証、名古屋市内で都心の道路環境に対応したスムーズな自動運転検証をそれぞれ行うなど、さまざまなシチュエーションで実用化に向けた取り組みを進めている。

自動運転関連では、ティアフォーや先進モビリティ、アイサンテクノロジー、モービルアイジャパンなどが関わっている。名古屋市内ではWILLER×モービルアイの自動運転車が実証を進めているようだ。

【参考】愛知県の取り組みについては「自動運転バス、愛知県「再現できるビジネスモデル」確立へ」も参照。

川勝平太氏(静岡県知事)

出典:地方創生図鑑/内閣府 地方創生推進室(CC BY 4.0 DEED)

近年はリニアモーターカー(中央新幹線)やコシヒカリ発言などで話題になることが多いが、川勝平太知事が旗を振る静岡県はいち早くCASEに着目し、「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」を実施するなど独自施策が目立つ。

運転手不足や過疎地域等高齢者の移動支援、公共交通ICT化などへの対応を目的に2018年度にプロジェクトを立ち上げて以来、松崎町や下田市、沼津市、袋井市、掛川市など県内各地で自動運転実証を行っている。名古屋大学やアイサンテクノロジー、ソフトバンクなどと提携しているようだ。

計画では2024年度に自動運転移動サービスを実現するとしており、2023年度は松崎町と沼津市、掛川市でレベル4を想定した公道実証を行う予定だ。

また、全国に先駆けて3次元点群データをオープンデータとして公開する「静岡県3次元データ保管管理システム(PCDB)」を2016年度に構築し、試験運用している点もポイントだ。

県が管理する道路1,00キロ以上の点群データをオープンデータ化し、県有データから高精度3次元地図の生成や自動運転活用に成功している。

【参考】しずおか自動運転ShowCASEプロジェクトについては「自動運転に力を入れる静岡、「ShowCASEプロジェクト」とは?」も参照。

■市町村長

橋本正裕氏(茨城県境町長)

2014年に町長就任以来、県内最低水準だった財政状況の改善を図りながら、多様な施策でまちづくりを進めている。中でも自動運転は目玉施策の1つで、国内初の自動運転車を使用した定常運行を実現するなど先進的な取り組みが際立っている。

橋本氏は2019年11月、ネット記事で自動運転バスに注目し、翌12月にSBドライブ(現BOLDLY)の佐治友基社長と面会。2020年1月には、自動運転実証・実用化に向け議会で予算承認を得たほか、市民試乗会を実施するなどものすごいスピード感で事業を推し進めてきた。

2020年11月に定常運行を開始し、その後もルートやバス停増設などを重ね、町民らの利用促進を図っている。国補助金やふるさと納税を有効活用し、また移動促進による経済効果や観光効果、宣伝効果などをまちの活性化につなげる境町モデルを構築している。

なお、BOLDLYが手掛ける定常運行は北海道上士幌町、愛知県日進市でも実現しており、まだまだ拡大していくことが予想される。

河合永充氏(福井県永平寺町長)

国内初のレベル4移動サービスを実現した永平寺町も、町長自らが迅速に動いた功績が大きいようだ。日経新聞の取材によると、県の担当者から経産省の自動運転実証の話を受け、次の週にはさっそく東京に出向き誘致活動を進めたという。

廃線跡地を活用した歩行者・自転車道によるレベル4だが、同所でレベル3運行を重ねてきた自動運転システム「ZEN drive Pilot」が2023年3月にレベル4として自動運行装置の認可を受け、同年5月には特定自動運行の許可も取得した。いずれも国内初だ。

国の事業であり、かつ限定条件が多いレベル4ではあるものの、第1号としてしっかりモノにした功績は大きい。今後、まちづくりにどのように生かしていくのか注目だ。

【参考】永平寺町の取り組みについては「自動運転、日本でのレベル4初認可は「誘導型」 米中勢に遅れ」も参照。

西山猛氏(北海道更別村長)

「更別スーパービレッジ構想」を掲げる更別村の取り組みも注目に値する。人口3,000人規模の同村は、20~30年後の豊かで持続可能な村の実現に向け、安倍内閣時のスーパーシティ型国家戦略特区に申し込むも選定されず、特区化は実現しなかった。

しかし、そこで諦めず岸田内閣のデジタル田園都市国家構想において「更別スーパービレッジ構想」を提案し、新たな道を切り開いた。

別途、総務省のデータ連携基盤整備事業で都市OS(データ連携基盤)の構築や、国交省のスマートシティプロジェクトによる全村3Dマップの作成事業なども進めており、行政のDX化やサテライトオフィス建設に伴う企業進出など一定の効果がすでに出ているそうだ。

まち全体のデジタル化に合わせ、自動運転車による移動サービスや自動配送ロボット導入に向けた取り組みも進めている。

人口減少時代を迎え、人口の一極集中になかなか歯止めが利かない中、一地方の自治体はどのような取り組みを進めていくべきか。同村の取り組みは試金石となる貴重な事例と言える。

■【まとめ】地方自治体は取り組みが実績に直結

国会議員は、特別な役職にない限り特別に自動運転に着目し情報発信を進めていくことはそうそうなさそうだ。ただ、課題解決に向け水面下で施策を詰めていく政治家ならではの活動も多いものと思われる。

一方、地方自治体の首長は、実証や実用化の形で実績として残る場合が多い。境町の橋本町長はその好例と言える。

まだまだ黎明期が続く自動運転だが、将来、こうした先進的な取り組みがどのように評価され、歴史に残っていくのか。こうした観点にもしっかりと注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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