愛知県が実運行において「再現可能なビジネスモデル」の構築を目指し、2022年度は3つの地域で自動運転バスの実証実験を実施する。実施時期は、警察などとの調整を経て、改めて発表される。
愛知県は2016年度から自動運転の実証を積み重ねており、これまで遠隔監視などの自動走行技術をはじめ、商用5GやAR(拡張現実)などをかけ合わせたビジネスモデルの構築を進めてきた。今年で7年目の取り組みとなる。
■3地域で実施される実証実験
今年度の実証では自動運転車の社会実装をより意識し、交通事業者などが実現できるビジネルモデルを構築することを目指している。
実証実験は、常滑市(中部国際空港・りんくう町・常滑市街)、長久手市(モリコロパーク)、名古屋市(名駅南~栄南地区)の3地域で実施される。常滑市と名古屋市では公道を使った実証実験となる。
常滑市(中部国際空港・りんくう町・常滑市街)
中部国際空港・りんくう町・常滑市街における実証テーマは「磁気マーカシステム・ビッグデータを活用した安心・安全で利便性の高い運行」だ。
時期マーカーステム「GMPS」を使い、公道である中部国際空港連絡道路などを含んだルートを走行する。ビッグデータなどを用いて移動需要に合わせて配車するようだ。5GやAI(人工知能)映像解析技術なども活用し、危険な箇所も検出する。
実証にはGNSS(全球測位衛星システム)と磁気マーカシステムを活用する自動運転システムが搭載された小型バス車両1台と、ティアフォーの自動運転OS「Autoware」が搭載された大型バス車両1台が使用される。事業を統括するのはNTTドコモで、先進モビリティやアイサンテクノロジーなど計12社と、埼玉工業大学が参加する。
長久手市(モリコロパーク)
モリコロパークでの実証のテーマは「園内バスルートでの自動運転バスによる運行」で、閉鎖空間内において樹木や起伏のあるルート上を自動運転バスが走行する。センサーなどを活用してルート上にいる歩行者を検知したり、歩行者へ音声で車両が接近していることを伝えたりする。
実証には、Autowareを搭載した大型バス車両1台が使用される。事業統括はNTTドコモが担い、アイサンテクノロジーやティアフォーなど計7社と埼玉工業大学が参加する。
名古屋市(名駅南~栄南地区)
名古屋市内の実証テーマは「イノベーション創出に向けた自動運転車の活用」で、アプリを使った事前予約のオンデマンド運行を公道で実施する。窓ガラスを特殊フィルムでディスプレイ化して動く会議室のようにし、移動時間に付加価値を加える車室空間も検証する。
将来的には名古屋駅とスタートアップ支援拠点「STATION Ai」をつなぐ自動運転モビリティサービスの実現を目指す。
実証にはハンドルやアクセル、ブレーキペダルのない仏NAVYAの自動運転小型バス「ARMA(アルマ)」が使用される。3Dマップとの照合とGNSSで自己位置を把握し、障害物はセンサーが検知する。事業統括を担うのはWILLERで、WILLER EXPRESSや名鉄バスなど計7社と名古屋工業大学が参加する。
■ビジネルモデル調査も並行実施
3つの実証と並行して、ビジネスモデル調査も実施される。それぞれにおける安全性・リスクの分析と事業性の分析、社会的受容性の分析、法的課題の分析、実装に向けたビジネススキームの作成のほか、実装に向けてのチーム案づくりも行うという。
2016年から長年自動運転の実証実験に取り組む愛知県。今年度はビジネスモデルとして再現できるかどうかに焦点を当て、より実運用を意識した実証実験が実施されることになるのか、注目だ。
【参考】関連記事としては「愛知県の「ステーションAi」、将来的に自動運転バスの拠点に?スタートアップ支援拠点」も参照。