「テスラ出身」な創業者一覧(2022年最新版) 自動運転やEV領域で活躍

Auroraの共同創業者やあの新興EVメーカーも?



テスラのイーロン・マスクCEO=出典:Flickr / Public Domain

依然としてスタートアップの躍進が続く自動運転業界。先進技術を武器に次々と頭角を現し、業界に新たな息を吹き込んでいる。

こうしたスタートアップの創業者は、テクノロジー企業で技術や知識を積み重ねたエンジニアが多い。自らが保有する高度な技術を社会実装するには、自ら創業するのが効果的だからだ。







自動運転分野では、同分野の開発が盛んな米グーグルや中国の百度(バイドゥ)出身者が多い印象だが、意外と目立つのが「テスラ出身者」だ。EV(電気自動車)メーカーとして時代を先取りした研究開発を進めてきた同社には、従来の自動車メーカーではなくIT・テクノロジー企業体質のエンジニアが多いのかもしれない。

この記事では、自動運転開発を中心にテスラ出身者が設立した新興企業を紹介していく。

■テスラ出身者が設立した新興企業
Aurora Innovation:共同創業者の1人がテスラ出身

自動運転開発を手掛ける米オーロラ・イノベーションの共同創業者の1人、スターリング・アンダーソン氏は、テスラで「Autopilot」の開発などに携わっていた経歴の持ち主だ。

アンダーソン氏は、マサチューセッツ工科大学の研究員や産業機械製造企業の設立などを経て、2014年にテスラに入社した。テスラでは、「Model X」のチーフプロダクトマネージャーやADAS「Autopilot」の開発ディレクターなどを務めた。

そして2年後の2016年、クリス・アームソン氏、ドリュー・バグネル氏とともにオーロラを立ち上げた。オーロラでは、アンダーソン氏はチーフプロダクトオフィサーを担っている。

なお、CEO(最高経営責任者)を務めるアームソン氏は、グーグルの自動運転開発プロジェクトでCTO(最高技術責任者)を務めた経歴を持ち、バグネル氏はUberで自動運転開発リーダーを務めるなど、そうそうたるメンバーがオーロラを率いている。

オーロラはUberの自動運転開発子会社を買収し、トヨタと自動運転開発で協業するなど、勢いに乗っている。2021年には米ナスダック市場への株式公開も果たしており、今後の躍進に期待大だ。

▼Aurora Innovation公式サイト
https://aurora.tech/

【参考】Aurora Innovationについては「Aurora Innovation、自動運転の年表!トヨタやボルボとの協業も具体化」も参照。

Monarch Tractor:「RAV4 EV」開発経験者がEVトラクター開発へ

自動運転トラクターの開発を進める米Monarch Tractorの共同創業者兼社長のマーク・シュワッガー氏もテスラ出身のエンジニアだ。

シュワッガー氏は2011年から4年間テスラに在籍し、当時テスラと協業していたトヨタの「RAV4 EV」の開発をはじめ、ギガファクトリーの責任者、オペレーションプランニングやサプライチェーンプログラムのマネージャーなど、さまざまな業務を遂行していたようだ。その後、Zooxなどを経て2018年から現職となっている。

同社は10時間稼働可能なEVトラクター「MK-V」の開発を進めている。当初予定では2021年秋にも納品を開始するとしており、すでに生産段階まで達しているようだ。

バッテリー交換式で24時間連続稼働も可能なほか、自動運転機能により、最大8台のフリートを管理・操作することができるようだ。

国内関連では、トランスミッション開発などに高い実績を誇る武蔵精密工業がモナークに出資し、協業を進めている。

▼Monarch Tractor公式サイト
https://www.monarchtractor.com/

Lucid Motors:創業者や現CEOがともにテスラ出身

新興EVメーカー・ルーシッドは、創業者のバーナード・ツェ氏、及びCEO、CTOを兼任するピーター・ローリンソン氏がともにテスラ出身者だ。

ツェ氏はテスラで副社長を務めていた重鎮で、2007年に「Atieva」名でバッテリー開発を手掛けるスタートアップを設立した。その後、2013年にローリンソン氏をCTOに迎え、EV開発に本格着手したようだ。2016年に現在のルーシッド・モーターズに改名している。

ローリンソン氏は、ロータスやジャガーなどでエンジニアを務めた後、2009年にテスラに入社し、Model Sの開発などを手掛けた。自動車業界で30年以上のキャリアを誇るベテランだ。創業者のツェ氏、現CEOのローリンソン氏ともにテスラなしでは語れない人物と言える。

ルーシッドは2021年に米ナスダック市場に上場し、第1弾モデル「Lucid Air」の納入を開始するなど、事業を本格化させている。

車両にはカメラやレーダー、LiDARなどが搭載され、包括的なADAS「DreamDrive」を提供している。将来、OTA(無線アップデート)によってレベル3を実現にする「DreamDrive Pro」も利用可能になる予定という。

▼Lucid Motors公式サイト
https://www.lucidmotors.com/

Sila Nanotechnologies:次世代電池技術実現へ

次世代電池素材の開発を手掛けるシラは、共同創業者兼CEOのジーン・ベルディチェフスキー氏と共同創設者兼エンジニアリング担当副社長のアレックス・ジェイコブズ氏の2人がテスラ出身者だ。

ベルディチェフスキー氏は、テスラ「ロードスター」のバッテリー開発においてプリンシパルエンジニアを務めた経歴を持つ。42の特許を保有するという。一方のジェイコブズ氏も、テスラでバッテリーパックの設計や開発を担っていた。

バッテリー技術に特化した彼らが設立したシラは、限界に達したと思われる現在のリチウムイオン電池に対し、独自のシリコン技術でその上限を打ち破り性能を大幅に向上させる次世代リチウムイオンの開発を進めている。

▼Sila Nanotechnologies公式サイト
https://www.silanano.com/

Redwood Materials:リチウムイオンのリサイクルなどに着目

バッテリー技術開発を手掛けるレッドウッド・マテリアルズの創業者ジェフリー・ブライアン・ストラウベル氏は、テスラで長くCTOを務めた経歴の持ち主だ。

ストラウベル氏は、創業間もないころのテスラに5人目の社員として招かれ、共同創業者に指名されたようだ。CTOとしてテスラに15年間在籍し、セル設計やサプライチェーンをはじめ、最初のギガファクトリーコンセプトなどを主導したという。

レッドウッドは、リチウムイオン電池のリサイクルやEV向けバッテリーの製造などを事業化している。

▼Redwood Materials公式サイト
https://www.redwoodmaterials.com/

Tekion:自動車業界向けSaaSソフトウェアを開発

テスラからは、CTOにとどまらずCIO(最高情報責任者)も独立を果たしている。テスラでCIOを務めた経歴を持つジェイ・ヴィジャヤン氏は2016年、自動車向けのSaaSを手掛けるテキオンを設立した。同氏は、IT起業のVMwareを経て2012年にテスラに入社している。

テキオンは、顧客が自身の好みに合った自動車を注文したり、自動車ディーラーが在庫やサービス予約を把握・管理したりするのに適したクラウドプラットフォーム「Automotive Retail Cloud」など、SaaSを中心に事業化を進めているようだ。

▼Tekion公式サイト
https://tekion.com/

■創業者の出身企業で多いのは?

自動運転開発スタートアップ創業者の経歴において、最も多く名前が挙がるのはやはりグーグルではないだろうか。

オーロラのクリス・アームソン氏をはじめ、Argo AIのブライアン・サレスキーCEO、Nuroのデイブ・ファーガソン社長やジアジュン・ジウCEO、Pony.aiのジェームス・ペンCEOやティエンチェン・ルーCTO、Kodiak Roboticsのドン・バーネットCEOなど、有力どころの創業者の多くはグーグル出身者だ。

真っ先に自動運転分野に着目し、優秀なエンジニアを集めて世界に先駆けた開発を進めてきた証とも言える。

また、WeRideのトニー・ハンCEOのように、中国勢では百度出身者も目立つ。自動運転分野は、IT系・テクノロジー系で培った技術を発揮する最適解の1つとなっているようだ。

■【まとめ】テスラはEVメーカーと言うよりテクノロジー企業?

創業者に限らず、開発各社によるエンジニアの争奪戦は依然として白熱している。争奪戦でよく名前が挙がるのは、グーグル、アップル、そしてテスラだ。エンジニアの宝庫であるグーグルやアップルなどとEVメーカーのテスラが肩を並べているのは面白い構図だが、それだけテスラが先端技術開発に力を入れている証左と言える。

現状、テスラの武器としてはEV関連技術に注目が集まりそうだが、デジタルツイン技術やOTA技術など、業界で最先端を歩むテクノロジーも有している。AI信者のイーロン・マスクCEOの構想実現に向け、同社には山ほど優秀なエンジニアが集結しているのだろう。

他方、野心のかたまりであるマスクCEOの影響かは定かではないが、自ら事業を成すため袂を分かつエンジニアが多いのも事実だ。

まだまだステルス状態のスタートアップも多く、今後もグーグルやテスラ出身者による新興勢が次々と顔を出すことが予想されるが、こうしたスタートアップの創業者の経歴に注目してみるのも一興だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









関連記事