自動運転関連企業のシェア争いの動きがますます加熱し、上場を通じた資金調達の動きが2021年は活発化した。
SPAC(特別買収目的会社)を使ったSPAC上場を果たした企業としては、LiDAR企業のVelodyne Lidar、Luminar Technologies、Aeva、Innoviz Technologiesが挙げられ、自動運転トラックを開発するTuSimpleは通常のIPO(新規株式公開)で上場した。
そしてこうした企業のほかにも、2021年度後半に上場を予定している自動運転関連企業がある。その6社を紹介していこう。
記事の目次
■Aurora Innovation:2021年下半期の上場を予定
Aurora Innovation(オーロラ・イノベーション)は2021年下半期の上場を予定している。SPACのReinvent Technologies Partners Yと合併・上場予定だ。報道によると、この合併により、同社の時価総額の評価は約130億ドル(約1兆4,300億円)となる見込みで、新たに20億ドル(約2,200億円)の新規キャッシュの調達を計画しているという。
自動運転ソフトウェア開発を手掛けるAuroraは、自動運転業界のベテラン3人が2016年に共同で創業した。同社が開発している技術は、ロボットタクシーや自動運転トラックなどですでに活用されている。
2021年2月には、トヨタとデンソーと戦略的パートナーシップを交わしたことを発表した。
▼Aurora Innovation公式サイト
https://aurora.tech/
【参考】関連記事としては「Aurora Innovation、自動運転の年表!トヨタやボルボとの協業も具体化」も参照。
Aurora Innovation、自動運転の年表!トヨタやボルボとの協業も具体化 https://t.co/BxJjiiqHHX @jidountenlab #Aurora #トヨタ #年表 #自動運転
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) July 29, 2021
■AEye:2021年第3四半期中の上場を予定
AEye(エーアイ)はLiDAR開発企業で、2021年第3四半期中の上場を予定している。上場による評価額は約20億ドル(約2,200億円)となる見込みで、4億5,500万ドル(約500億円)を調達する予定である。
AEyeは2013年にカリフォルニア州ダブリンで創業した。創業者は戦闘機のシステム設計で経験があるLuis Dussan(ルイス・デュッサン)氏。2020年11月に自動車部品大手の独コンチネンタルから出資を受けている。
▼AEye公式サイト
https://www.aeye.ai/
【参考】関連記事としては「コンチネンタル、自動運転向けLiDARの開発企業AEyeに出資!その思惑は?」も参照。
コンチネンタル、自動運転向けLiDARの開発企業AEyeに出資!その思惑は? https://t.co/R5FnibDc6a @jidountenlab #コンチネンタル #自動運転 #LiDAR
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) November 17, 2020
■Embark Trucks:2021年下半期の上場を目指す
Embark Trucksは、2021年下半期の上場を目指している。上場で評価額は51億6,000万ドル(約5,700億円)となる見込みで、上場により新たに6億1,400万ドル(約670億円)を調達予定である。
Embark Trucksは、2016年に設立したカリフォルニア州サンフランシスコを本拠地とするスタートアップ企業だ。当初から長距離トラックの自動運転に焦点を絞ってソフトウェア開発を行ってきた。
ソフトウェア提供においては、自動運転ソフトウェアの使用量を利用距離に応じた課金制にするビジネスモデルを提唱している。今回の上場ではSPACであるNorthern Genesis Acquisition Corp. Ⅱと合併する。
▼Embark Trucks公式サイト
https://embarktrucks.com/
【参考】関連記事としては「米EmbarkがSPAC上場へ!天才2人が自動運転トラック向け技術を開発」も参照。
米EmbarkがSPAC上場へ!天才2人が自動運転トラック向け技術を開発 https://t.co/sx8FZj5zb4 @jidountenlab #Embark #自動運転 #トラック #SPAC上場
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) June 28, 2021
■Plus:2021年下半期の上場を予定
Plus(プラス)は2021年下半期にナスダック市場に上場予定だ。SPACのHennessy Capital Investment Corp. Vとの合併に合意しており、上場による時価総額の評価は33億ドル(約3,600億円)、資金調達で得る額は5億ドル(約550億円)に達する見込みである。
2016年設立のPlusは、米シリコンバレーに本社機能、中国に開発拠点を持つ中国系スタートアップ企業だ。米国と中国で自動運転長距離トラックの走行試験を行っており、今後ヨーロッパでも行う予定である。
最近、米AmazonがPlusに車両1,000台分の自動運転システムを発注したことと、Plusの発行済み株式の最大20%を取得することが報道された。
▼Plus公式サイト
https://plus.ai/
【参考】関連記事としては「Amazonを虜にする自動運転トラックベンチャー「Plus」とは?」も参照。
Amazonを虜にする自動運転トラックベンチャー「Plus」とは? https://t.co/k6iajbr9u2 @jidountenlab #Plus #自動運転 #トラック #Amazon
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) July 5, 2021
■Quanergy Systems:2021年下半期の上場を予定
Quanergy Systems(クアナジー・システムズ)も2021年下半期の上場を予定している。上場に際しての時価総額評価額は11億ドル(約1,210億円)となる見込みで、2億7,800万ドル(約305億円)を資金調達する予定である。
Quanergyは2012年に設立された米カリフォルニア拠点のLiDAR開発企業だ。SPACのCITIC Capital Acquisition Corp.と合併することで上場を果たすことになる。設立以来、世界中で顧客を増やしており、独ダイムラーや韓国サムスンなどがすでにQuanergyに出資している。
▼Quanergy Systems公式サイト
https://quanergy.com/
【参考】関連記事としては「LiDAR企業Quanergy、評価額1,550億円でSPAC上場へ!自動運転の目を開発」も参照。
またLiDAR企業がSPAC上場へ!Quanergy Systems、自動運転の目を開発 https://t.co/OazeYQ1dTf @jidountenlab #LiDAR #自動運転 #QuanergySystems
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) July 1, 2021
■Argo AI:2021年下半期に上場予定
自動運転ベンチャーの米Argo AIも、2021年下半期にアメリカ市場で上場する計画を立てているようだ。同社は自動車メーカーの米Fordと独VWから出資を受けていることで知られる。上場時の評価額が70億ドル(約7,700億円)となることを目指しているという。
Argo AIは、自動運転レベル4を想定した独自システムとして「Argo Self-Driving System(SDS)」を開発しており、これまでにアメリカの公道で走行実証を実施している。欧州においても近く実証実験を開始する予定だとしている。
▼Argo AI公式サイト
https://www.argo.ai/
【参考】関連記事としては「Argo AI、自動運転の年表!米有力スタートアップ、VWとFordが出資」も参照。
Argo AI、自動運転の年表!米有力スタートアップ、VWとFordが出資 https://t.co/bAQDxudANS @jidountenlab #ArgoAI #自動運転 #スタートアップ
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) July 24, 2021
■【まとめ】投資家からの期待感は非常に高い
ここ最近過熱気味であるSPAC上場に関して懸念する声も市場からは聞こえる。だが社会の課題を解決に導く自動運転開発企業に対して、長期的な価値を見出そうとする投資家の期待は非常に高く、今後の動きから目が離せない。
【参考】関連記事としては「自動運転ベンチャー、日本でのSPAC解禁で「上場ラッシュ」も」も参照。