Argo AI、自動運転の年表!米有力スタートアップ、VWとFordが出資

2021年中に自動運転サービス開始予定、IPOの噂も



出典:背景画像はArgo AI公式サイト/プレスリリース

自動運転開発を手掛ける有力スタートアップのArgo AI。米フォード、独フォルクスワーゲンという2つの巨大なバックボーンのもと、まもなく本格的なサービス実証に着手する見込みだ。

この記事では、Argo AIのこれまでの取り組みをピックアップし、順を追って解説していく。







■Argo AIの概要

Argo AIの中心人物は、現CEO(最高経営責任者)のブライアン・サレスキー氏と現社長のピーター・ランダー氏だ。サレスキー氏は国防高等研究計画局(DARPA)主催の自動運転技術を競う大会「DARPAアーバンチャレンジ(DARPAグランドチャレンジ)」で優勝した実績や、グーグルの自動運転開発部門で活躍した経歴を誇る。

一方、ランダー氏はUber Technologiesの自動運転開発部門でリーダーを務めていた。また、両者は米カーネギーメロン大学のロボティクス技術センター(NREC)で研究を進めていた間柄でもある。実績豊富な2人のエンジニアが同社をけん引しているのだ。

2人は、2021年に自動運転を実現する目標のもと、2016年にArgo AIを設立した。設立からわずか数カ月後にフォードから巨額出資を受けるなど、業界からの注目度は非常に高かったようだ。

出典:Argo AI公式サイト

同社の自動運転システムは「Argo Self-Driving System(SDS)」と名付けられ、現在第4世代まで改良が進んでいる。技術レベルは実用域に達しているものと思われ、まもなく本格生産とサービス実証が始まる見込みだ。

以下、同社の取り組みを時系列で紹介していく。

■2017年2月:フォードから10億ドルの巨額出資

米自動車大手フォードは2017年2月、Argo AIに対し今後5年間で10億ドル(約1,100億円)を投資すると発表した。2021年に商用モビリティサービス向けのレベル4車両実用化に向け、フォードの自動運転車開発の専門知識とArgo AIのロボット工学やAIソフトウェア技術を組み合わせ、自動運転開発分野におけるリーダーシップを強化するとしている。

この投資により、フォードはArgo AIの発行株式の過半数を握る利害関係者となったが、厳密に子会社化せず独立して活動できるようにした。将来的には、他社へ自動運転システムをライセンス供与する戦略も想定しているようだ。

■2017年10月:LiDAR開発企業を買収

Argo AIは2017年10月、LiDAR開発を進める米Princeton Lightwaveの買収を発表した。2000年創業のPrinceton Lightwaveはすでに商用マッピングや防衛産業などの分野でサービスを提供していた。

Argo AIは、この買収によってセンサーのハードウェアとソフトウェア間のインターフェースに革新をもたらし、他の方法では不可能だったパフォーマンスの向上を実現できるとしている。

また、Princeton Lightwaveのテクノロジーは、悪天候などの困難なシナリオでオブジェクトを的確に検出・処理し、動的環境で高速かつ安全に動作する仮想ドライバーシステムを支援する新機能の開発に役立つと評価している。

■2019年6月:データセット「Argoverse」リリース

Argo AIは2019年6月、知覚アルゴリズムや機械学習のトレーニングを促進する高解像度マップ向けのデータセット「Argoverse」を公開した。

学術研究者は、Argoverseを利用することで道路上のオブジェクトの識別や追跡、オブジェクトが数秒後に移動する場所の予測など、主要な知覚・予測タスクに対するHDマップの影響を研究することができるという。

【参考】データセットの公開については「フォード傘下の米Argo AI、自動運転向け高精度マップを無償公開」も参照。

■2019年6月:カーネギーメロン大学に自動運転研究センター設立

Argo AIは2019年6月、カーネギーメロン大学に自動運転車研究に向けた「アルゴAIセンター」の設立を発表した。研究費用として5年間で1,500万ドル(約16億ドル)を提供し、研究促進とともに次世代のエンジニアの育成を図るとした。

同センターの設立は、同大及びジョージア工科大学との提携に基づいたもので、Argo AIのエンジニアらが教員リーダーを務め、メカトロニクスやシステムエンジニアリング、コンピュータービジョン、知覚、強化学習などについて学術的関与を行う。

■2019年7月:フォルクスワーゲンが26億ドルを出資

独フォルクスワーゲングループは2019年7月、Argo AIに計26億ドル(約2,800億円)を出資すると発表した。フォードとの提携拡大に伴う取り組みで、開発コストや投資の効率化を図りながら米国・欧州への自動運転導入を促進する狙いだ。

フォルクスワーゲンは、Argo AIにフォードと同額となる10億ドルを出資し、Argo AI株を均等に所有する。また、自動運転開発を手掛けるグループ子会社「Autonomous Intelligent Driving(AID)」をArgo AIに統合し、Argo AIの欧州進出を支援する。この投資により、同社の企業価値は70億ドル(約7,700億円)に達するとしている。

翌2020年6月、フォルクスワーゲンからの投資が完了し、独ミュンヘンに新たな拠点を設立したことを発表した。グローバル本社の米ピッツバーグ、研究開発拠点のデトロイト、パロアルト、クランベリーに次ぐ5カ所目のエンジニアリングセンターとなっている。

なお、同月にはフォードとフォルクスワーゲンが商用車、EV(電気自動車)、自動運転に関する共同プロジェクトの合意に正式に署名したことも発表されている。自動運転関連では、Argo AIの革新的な自動運転技術に基づき、独自の高性能な自動運転ビジネスを形成するとしている。

【参考】フォルクスワーゲンからの出資については「VWとフォード、自動運転などの領域で提携拡大 Argo AIへの出資を対等に」も参照。

■2021年5月:新型LiDAR「Argo LiDAR」発表

Argo AIは2021年5月、新型LiDAR「Argo LiDAR」の開発を発表した。昼夜を問わず360度の認識が可能で、400メートル先の物体を検知可能という。

Argo LiDARは、独自のガイガーモードセンシング技術で光の最小粒子を検出する機能を備えており、反射率の低いオブジェクトも検出可能という。これを1,400ナノメートル超の高波長動作と組み合わせることで、長距離かつ高解像度、低反射率のオブジェクト検出、360度の視野確保を1基のセンサーで可能にしている。

最初のバッチはすでにテストフリートの公道実証に用いられており、委託製造業者のもと大量生産に向けた準備も進んでいるようだ。フォードとフォルクスワーゲングループの自動運転フリートに導入し、無人配送や配車サービスの商業化を実現するとしている。

出典:Argo AI公式サイト
■2021年7月:Lyftの配車ネットワークに自動運転車導入

フォードとArgo AIは2021年7月、自動運転によるライドシェアサービスの実現に向けLyftと提携したと発表した。2021年末から導入を開始し、5年間で少なくとも1,000台の自動運転車を展開する計画としている。

自動運転車両は2021年後半にマイアミで導入し、2022年にはオースティンに拡大していく。Lyftユーザーは利用の際、通常車両とフォードの自動運転車両を選択可能になる。当面はセーフティドライバーが同乗する。

Lyftは、韓国ヒュンダイと米Aptivの合弁Motionalと2023年に自動運転を導入する計画を打ち出しているほか、2021年4月には自動運転開発部門「Level 5」をトヨタ子会社のウーブン・プラネット・ホールディングスに売却することが発表されている。Lyftの配車網をめぐる競争にも今後要注目だ。

■2021年7月:IPOのうわさも?

米メディアによると、Argo AIがIPO(新規株式公開)を模索しているという。ブルームバーグが関係者筋の話として2021年内の公開を検討していると報じる一方、ロイターは、自動運転関連のサミットの席上、ブライアン氏が2022年中に上場する予定と語ったと報じている。公式発表は出されていないものの、信ぴょう性は高そうだ。

自動運転の実用化とともに満を持して上場する格好になれば、業界における同社の存在感も飛躍的に高まることになる。ライバルのGM CruiseやAurora Innovationなどとの競争にも注目したい。

■【まとめ】自動運転サービスめぐる激動の時代スタート!!

Lyftの配車ネットワークを活用した自動運転がまもなくサービスインする予定のほか、IPOの話題も持ち上がっている。また、CruiseやAuroraといったライバル企業との関係やフォルクスワーゲンとの欧州での展開など、話題が尽きることはない。今後しばらく同社の取り組みから目を離せない状況が続きそうだ。

特にGM系のCruiseとは絶対的なライバル関係にあり、自動車メーカーとしての威信をかけた競争が激化する可能性がある。先行するWaymoとともに今後どのような競争を展開していくのか、自動運転の実用化をめぐる激動の時代がまもなく幕を開けるのだ。

▼Argo AI公式サイト
https://www.argo.ai/

※自動運転関連企業の取り組みを年表化した記事は「タグ:年表」よりまとめて閲覧頂けます。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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