中国・北京市内の高速道路において、まもなく自動運転車の試験走行が可能になることが、2021年8月1日までに明らかになった。すでに一般道での試験走行が行われてきた北京で、高速道路での試験を解禁する格好だ。
国内の多くの都市で自動運転車のテスト走行が行われる中国だが、その中でも特に活発な動きを見せるのが北京だ。今回の高速道路開放の裏にはどんな動きがあるのか。
■高速道路内、全7エリアで順次試験運転が可能に
自動運転車の試験走行のため、北京市内の高速道路がまもなく開放される。2021年7月29日、北京市のモビリティ・インテリジェンスを監督するワークグループが明らかにした。
試験走行は、北京市内を走る高速道路の特定エリアで行われるといい、今回開放されることが発表されたのは、第5環状道路と第6環状道路間を結ぶ約10キロの区間だ。この他、さらに6区間が順次テスト走行用に開放される予定で、これにより総距離143キロに及ぶ高速道路で自動運転車の試験走行が可能になる。
これは2021年4月10日に北京市が承認した実施案にのっとったもので、高速道路の開放以外にも、北京市内に自動運転走行に適した高度モデル地区を数カ所設置することで、自動運転開発企業にとって優れたビジネス環境を整えることを目的としている。
高度モデル地区内では、デバイスを装備した試験運転車両がクラウドプラットフォームに接続されるよう整備されており、安全な自動運転走行のための環境づくりがなされている。
■200ルート以上の公道で試験運転が行われてきた北京
北京市の第三者機関である「北京モビリティー・インテリジェント・イノベーション・センター」(BICMI)によると、同市では2020年末までに200ルートを超える公道で自動運転のテスト走行が行われてきた。試験運転を行ってきたのは、中国の百度(バイドゥ)、米Pony.ai、独ダイムラー、日本のトヨタ自動車などだ。
北京市はすでに百度やPony.aiのほか、ライドシェア大手DiDi Chuxingを含む15社99車両に試験走行を許可し、試験走行用のナンバープレートも発行している。百度やPony.aiには、実際に乗客を乗せた状態での自動運転テスト走行も許可されている。
中国国内では、北京以外にも多くの都市で自動運転車のテスト走行が認められているが、BICMIによると、自動走行試験を行う企業数や車両数、走行距離などの面から見て、中国国内で最も活発に試験走行が行われているのが北京だという。
ちなみに、中国以外で高速道路での自動運転車の試験走行が行われてきた国としては、アメリカ、ドイツ、イギリス、韓国、シンガポール、日本などが挙げられる。
■【まとめ】常に積極的な動きを見せる企業がリーディング企業に
ちなみに試験走行が認められている百度は、2020年8月に北京市内で一般市民を対象とした自動運転テスト走行体験を実施するなど、積極的な取り組みを行ってきた。
またDiDiは、2021年4月に北京市内に設けられた「スマートコネクテッドカー政策先行エリア」での自動運転試験エリアでのテスト走行許可を、他企業に先駆けていち早く取得したことで注目を集めた。
シリコンバレーを拠点とするPony.aiは2021年6月、カリフォルニア州の公道で完全無人運転車両の定期試験運転を開始し、同時期、中国の広州でも完全無人運転の試験運転をスタートしている。
このように、他企業と差別化を図るべく常に積極的な動きを見せる企業こそが、今後の中国の自動運転業界、そして世界の自動運転業界をリードする存在となっていきそうだ。
【参考】関連記事としては「北京、上海、深セン・・・中国の自動運転タクシー最新事情まとめ」も参照。