将来的に大きな市場拡大が見込まれる「自動運転」や「MaaS」の分野において、ソフトバンクグループ(SBG)の存在感が日に日に高まっている。
投資事業ではソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)を通じて世界の有望な新興企業に巨額の投資を行い、通信事業では傘下のソフトバンクを通じてトラックの隊列走行や高精度3D(3次元)地図の作製などに取り組んでいる。子会社を通じたAI(人工知能)ロボットの開発にも尽力している。
特集「ソフトバンク×自動運転・MaaS」では、ソフトバンクグループの投資事業や通信事業、ロボティクス事業を包括的に解説した上で、ビジョンファンドが投資する米スタートアップ企業Nuroの動向などについても紹介していく。
記事の目次
■主力の通信・投資事業で変革!
通信事業を主力に金融決済や半導体事業、プロ野球球団の保有、投資事業など幅広い分野で活躍するソフトバンクグループ(SBG)。近年は投資事業に力を入れており、AI(人工知能)や自動運転といった次世代技術の分野でテクノロジーの発展に大きく寄与している。
モビリティ領域では、自動運転をはじめMaaS(Mobility as a Service)に本格進出し、活躍するグループ企業が出ているほか、グループの中核を担うソフトバンクもこの分野への注力を強めている印象で、将来、モビリティ事業がグループの新たな柱に成長する可能性もありそうだ。
この記事では、モビリティ分野におけるSBGの取り組みを総論として解説していく。
【記事】「主力の通信・投資事業で変革!(ソフトバンク×自動運転・MaaS 特集)」から。
■MaaS実証加速、自治体との連携も
自動運転をはじめとする次世代技術に注目し、モビリティ分野への進出を積極的に図っているソフトバンクグループ。モビリティサービスの実装や出資などを通じて同分野における影響力を高めている印象だ。
モビリティサービス関連では、世界的潮流となっているMaaS(Mobility as a Service)に関連した取り組みも盛んで、グループとして、またトヨタと共同設立した「MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)」を通じてさまざまな事業を展開している。
この記事では、ソフトバンクグループにおけるMaaS関連の取り組みを解説していく。
■ビジョンファンド、注目の投資先は!?
2021年3月期第3四半期の連結業績において、当期純利益として3兆552億円(前年同期4,766億円)を計上したソフトバンクグループ。WeWork問題に揺れた前年同期から見事なV字回復を遂げている。
こうした数字をけん引するのは、SVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)を主体とするファンド事業だ。第2号ファンドも本格化し、世界の先端テクノロジー開発を強力にバックアップしている。
この記事では、SVF、及びSVF第2号におけるモビリティ関連の投資状況を解説していく。
■莫大な投資利益の可能性!自動搬送宅配ロボットを開発するNuroの全貌
自動運転分野においてさまざまなスタートアップへ投資を行っているソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)。世界の有力企業に積極的に投資を行い、テクノロジーの発展に大きく寄与している。
中でも注目の1社が、車道を走行する配送向け自動運転車の開発を手掛ける米スタートアップのNuro(ニューロ)だ。その技術は実用化域に達しており、近い将来ソフトバンクグループに巨額の利益をもたらす可能性がありそうだ。
この記事ではNuroの概要を解説し、その有望性に迫っていく。
■強みの「通信」で隊列走行も成功!
ソフトバンクグループとして投資事業に注力する一方、グループの中核を担うソフトバンクは持ち前の通信技術をフル活用して自動運転分野にアプローチしている。
この記事では、ソフトバンクの十八番(おはこ)と言える通信技術を活用した自動運転分野における取り組みを解説していく。
■自動運転バスの実証国内最多!BOLDLYの全貌
ソフトバンクグループにおいて自動運転関連事業の最前線に立つBOLDLY(ボードリー)。2016年の設立から瞬く間に頭角を現し、グループ内のみならず自動運転業界における存在感を飛躍的に高めている。
この記事では、自動運転分野におけるBOLDLYのこれまでの取り組みを解説していく。
■Pepperに続くロボティクス事業の全貌
ロボティクス事業に力を入れるソフトバンクグループ。「ソフトバンク×ロボット」と問われると、ヒト型ロボット「Pepper(ペッパー)」をイメージする人が多いものと思われるが、現在は配送や搬送、清掃など各種サービス用途に向けたロボットの展開にも本腰を入れており、新たなライフスタイルや価値創出に向けロボティクス技術の社会実装を推進している印象だ。
この記事では、同グループの中でロボティクス事業を手掛けるソフトバンクロボティクスとアスラテックの2社にスポットを当て、各社の取り組みを解説していく。
■Armが自動運転で存在感!SBGの「救世主」になるのか
ソフトバンクグループの一セグメントを担う半導体設計企業の英Arm(アーム)。NVIDIAへの売却話は流れたものの、AIやIoT、自動運転といった成長産業のキープレイヤーとしてさらなる飛躍に高い期待が寄せられている。世界的な株安で業績が悪化しているソフトバンクグループの将来を左右する存在と言っても過言ではないはずだ。
この記事では、Armとソフトバンクグループの関係をはじめ、同社のビジネスモデルや自動運転分野における取り組みについて解説していく。
【記事】「Armが自動運転で存在感!SBGの「救世主」になるのか」から。
■【過去特集】孫正義の事業観〜ライドシェア・5G・AI自動運転
自動車業界で100年に1度とも呼ばれるパラダイムシフトが起きている。自動運転やライドシェアなどの新たな革新的技術や次世代サービスが登場し、大手自動車メーカーからスタートアップまで、世界を巻き込む熾烈な市場競争が巻き起こっている。
ソフトバンクもこの機を逃さず、通信会社というその強みを活かしてライドシェア事業に乗り出している。10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンドは次々と米ウーバー(Uber)や中国・滴滴出行(Didi Chuxing:ディディチューシン)などのライドシェア企業に出資し、地球全体を網羅した一大ライドシェアネットワークの形成を急いでいる。
いま孫正義はどのような事業観に基づいてライドシェア事業を加速させているのか——。4回連載「孫正義の事業観」でそのヒントを探る。