国産の自動運転車、5年間「発売ゼロ」に

レジェンドに続くレベル3なし



自動運転レベル3を搭載したホンダ・レジェンドの発売からちょうど5年が経過した。この間、自動運転技術は大きな進歩を果たしているが、レジェンド以降日本勢から自家用自動運転車が市販化されることはなかった。


欧州勢もレベル3開発は一息のようで、世界的にレベル3市場は停滞しているようだ。なぜレベル3熱は高まらないのか。その要因に迫る。

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■自家用車における自動運転技術

レベル3は本格的な自動運転への通過点

現在、市販されている自家用車に搭載されている技術の多くはADAS(先進運転支援システム)だ。自動運転レベル1~2にあたり、人間のドライバーの責任のもと、運転を支援する機能に留まる。自動運転技術の一端ではあるものの、自動運転機能ではない。

レベル3以降が自動運転機能となり、一定条件下で人間のドライバーの監視や存在を必要としない自律走行を実現する。

レベル3は、高速道路で一定速度を上限とするなど特定の条件下(ODD/運行設計領域)で自動運転が可能になるが、何らかの理由でシステムが自律走行継続困難と判断した場合、ODD内であっても人間のドライバーに運転交代を要請することがある。要請が出された場合、ドライバーは速やかに運転操作を行わなければならない。


レベル4は、一定条件下で自動運転を可能にする点はレベル3と同様だが、コンピュータが責任をもって自律走行を完遂する点が大きく異なる。ODD内では原則自動運転が継続されるのだ。

自動車メーカー各社にとって自動運転は未知の領域であるため、まずレベル3を実装して安全性をしっかり検証してからレベル4へ――と考えるのが一般的と言える。それゆえ、レベル3は本格的な自動運転に向けた通過点とも言える位置づけだ。

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ホンダに続いたのはメルセデスとBMWだけ

自動車メーカー各社が自動運転技術の開発を進めるのは、利便性と安全性を高めるためだ。アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストがスタンダード化したように、将来は自動運転技術がスタンダード化する可能性が高く、競争面からも手を抜くことはできない。


少なからず、自動運転開発に意欲的なメーカーは、レベル3の開発・実用化に前向きだったはずだ。

ホンダは2021年3月、世界に先駆けて自家用量産車として初となるレベル3システムを新型レジェンドに搭載し、100台限定でリース販売した。

高速道路渋滞に自動運転を可能とする「トラフィックジャムパイロット」を搭載しており、当時の国際基準にのっとり、時速50キロを超えるとODDを外れる仕様となっていた。具体的には、システム作動開始前は、渋滞により時速30キロ未満であることなどを作動要件としており、作動後、渋滞が解消されて時速50キロを超えるとODDを外れる仕様だ。

後述するが、この高速道路におけるレベル3の国際基準は、制定された2020年当初、高速道路で低速走行時、乗用車のみとされていた。2年後の改定では、上限速度の引き上げや車線変更機能の追加が行われている。

リース限定100台としたのは、おそらく全車両を管理下に置きやすいよう配慮したためと思われる。実用実証の意味合いが強い導入だったのではないだろうか。

ただ、世界初の自家用自動運転車を実用化した功績は大きく、当時としては自家用自動運転の道を切り拓く重要な存在だった。各社がレジェンドに続きレベル3搭載モデルを続々市場投入していく――という予測も強かったように感じる。

しかし、その後の5年間でホンダに続きレベル3を実用化したのは、メルセデス・ベンツとBMWの2社にとどまった。ボルボ・カーズやステランティスなどもレベル3を発表しているものの、実装には至っていない。

日本勢も同様だ。ホンダは、レジェンドに続く動きに期待されているものの、レベル3に新たな動きは見られない。トヨタ日産も、レベル3実用化に向けた計画やロードマップすら発表されていない状況だ。

「新型クラウンに実装か?」「新型レクサスに……」といった期待の声もむなしく、レベル3の国内市場は一向に広がっていない。このままでは、レベル3レジェンドが言葉通り「伝説」になってしまいそうだ。

欧州勢はレベル3開発を一時ストップ?

海外では、2022年にメルセデス・ベンツがレベル3システム「DRIVE PILOT」をSクラスとSクラスのEV版「EQS」に有料オプションとして設定し、ドイツや米国の一部の州で実用化している。

また、ドイツ連邦自動車交通局からDRIVE PILOTの最高速度を時速95キロに引き上げる承認を2024年末に受けており、2025年春に実装すると発表している。

BMWは、2024年春に新型「7シリーズ」にレベル3システム「BMW Personal Pilot L3」をオプション設定し、ドイツ国内で販売を開始した。

レベル3システムは欧州勢が牽引していくかに思われたが、近々で状況に変化があったようだ。メルセデス、BMWともレベル3開発を一時中止すると一部メディアが報じている。両社とも当面はレベル2+に力を入れていく方針のようだ。

ステランティスも2025年春にレベル3システム「STLA AutoDrive 1.0」を発表したものの、実装計画は棚上げ状態となっている。

代わって、中国ではレベル3実証が加速傾向にあり、中国政府もまもなく正式に解禁する可能性が高そうだ。世界的にレベル3熱が冷める中、世界最大の市場である中国が独自の動きを見せており、今後レベル3はどのような方向に向かっていくのか、注目が集まるところだ。

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■レベル3が停滞する要因

費用対効果が悪い

中国は例外として、なぜ世界でレベル3熱が冷めてしまったのか。要因について考察してみる。

一つ目は、費用対効果だ。レベル3車両にはLiDARをはじめとするセンサーが複数搭載されており、車両の周囲360度を認識可能としている。これらのセンサーデータを処理する高性能コンピュータも必要で、ハードウェアだけでも相当高額となる。

そこに開発コストを上乗せすると、車両価格に転嫁される費用は相当なものとなる。レベル3搭載車の多くはフラッグシップモデルのため、一部の富裕層しか乗れない傾向がより強くなる。ベースとなる販売台数も少ないため、量産効果はあまり発揮されない。

そんな超高級機能にもかかわらず、メルセデス以外は高速道路渋滞時しか使用できず、オーナー側にとってはいまいち利便性に欠け、需要が伸びない。

レベル3単体での採算性は乏しく、ビジネス性を見出しにくいのだ。後のレベル4に繋がる先行投資として位置付けなければ、サービスを継続できない中途半端なシステムとなっているのかもしれない。

運転交代に関わるリスクが内在する

また、自動運転であるにもかかわらず、システムが運転交代を要請した際は人間のドライバーがただちに運転を引き継がなければならないという面も厄介だ。

ODD内であっても、いつ運転交代要請が発されるかわからないため、ドライバーは運転席を離れることはできず、睡眠などすぐに反応できないセカンダリアクティビティも許されない。スマホをいじるか、パンをかじるか程度の自由しか許されないのだ。

それにもかかわらず、自動運転技術を過信・誤認するドライバーが必ず出てくる。運転席を離れたり、睡眠したりしてしまうのだ。基本的には、ドライバーモニタリングシステムで不審な挙動を検知し、ルールを守らなければ警告の後自動運転が解除されることになるが、必ずしも安全に停車できるとは限らない。

ドライバーモニタリングシステムが違反と検知しない場合でも、ドライバーがすぐにハンドルを握らなければ車両は停車しようとする。また、運転交代要請に応じて慌ててハンドルを握っても、即座に周囲の状況を把握できるとは限らず、交代した瞬間に危険に見舞われる可能性もある。

自家用車における自動運転としては、この点の不確定要素が大きい。レベル4に進化すれば解消される面だが、レベル4に至らないからこそのレベル3であり、その技術の差が不確実性となってドライバーのアクティビティに関わってくるのだ。

E2E開発へのシフトでレベル3はお預け状態に?

もう一点挙げるとすれば、自動運転開発のトレンドの変化が影響している可能性もある。自動運転開発の主流は、これまでのルールベースからエンドツーエンド(E2E)に移行しつつある。

E2Eの実用化のハードルは高いが、この開発に軸を移すのであれば、まずは走行エリアを選ばないレベル2+の実装を目指した方が利点が大きいものと思われる。

ドライバーの過信や誤認による危険性は高いが、高速道路、一般道を問わず広く運転を支援してくれるシステムの方がドライバーにとって恩恵が大きく、かつ道路交通全体の事故削減への貢献度も高いものと思われる。

自動車メーカーとしては、レベル2+を自家用車に広く搭載し、そこから収集できる膨大なデータで自動運転開発を加速する――といった戦略の方が現実的ではないだろうか。需要が高いほうが当然ビジネスの観点から有利であり、開発も促進できる。

そして、レベル3を飛び越えてレベル4、ひいてはレベル5の実現を目指すのだ。

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■【まとめ】レベル3は各社のビジネスモデルとマッチしづらい?

実際のところ、各社の戦略は現在進行形で揺れ動いているものと思われ、今後も紆余曲折する可能性が高い。E2E実現に向けても、レベル2、レベル2+、レベル3……と順を追って向上させていった方が安全で、社会受容性も高まりやすい。

いずれにしろ、現時点におけるレベル3は各社が思い描くビジネスモデルとなかなかマッチしていないのは確かだろう。動きがありそうな中国以外で、改めてレベル3事業に着手する自動車メーカーが現れるのか。各社の動向に注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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