Googleの勢力急拡大で「自動運転ベンチャー」が廃業ラッシュか

展開都市増やしてチャンス奪う



2018年に世界で初めて自動運転タクシーを商用化したのが、Google系の自動運転開発企業Waymo(ウェイモ)だ。同社は現在も世界の自動運転開発を圧倒的にリードする存在である。


Waymoは現在、フェニックスやサンフランシスコ、ロサンゼルスのほか、オースティン、アトランタ、サンノゼでもサービスを提供しているほか、ニューヨークでのサービス展開を視野に入れていることも発表済みだ。そしてこのたび、さらに10都市以上での完全自動運転のロボタクシーの導入を発表した。

米国で唯一、セーフティドライバーの同乗を必要としない無人運転サービスを行っているWaymo。日本でも実用化を視野に試験走行を行っており、海外展開も間近かもしれない。次々にサービスを拡大しており、事実上、他の自動運転ベンチャーがつけいる隙が無くなりつつあると言えそうだ。

編集部おすすめサービス<PR>
車業界への転職はパソナで!(転職エージェント)
転職後の平均年収837〜1,015万円!今すぐ無料登録を
タクシーアプリは「DiDi」(配車アプリ)
クーポン超充実!「無料」のチャンスも!
新車に定額で乗ろう!MOTA(車のカーリース)
お好きな車が月1万円台!頭金・初期費用なし!
自動車保険 スクエアbang!(一括見積もり)
「最も安い」自動車保険を選べる!見直すなら今!
編集部おすすめサービス<PR>
パソナキャリア
転職後の平均年収837〜1,015万円
タクシーアプリDiDi
クーポンが充実!「乗車無料」チャンス
MOTAカーリース
お好きな車が月々1万円台から!
スクエアbang!
「最も安い」自動車保険を提案!

■11月だけで11都市へのサービス拡大を発表

出典:Waymo公式サイト

Waymoはネバダ州ラスベガス、ミシガン州デトロイト、カリフォルニア州サンディエゴでサービスを提供する計画であることを2025年11月3日に発表した。ラスベガスでは2026年夏、デトロイトではこの冬から開始予定だ。サンディエゴでは運行許可の拡大に向け、地元チームとの連携などを行っている段階のようだ。

また11月18日には、フロリダ州マイアミ、テキサス州ダラス・ヒューストン・サンアントニオ、フロリダ州オーランドで完全自動運転のロボタクシーを導入することを発表した。同日にマイアミでサービスをスタート、残りの4都市でも今後数週間のうちに順次導入していく。そして来年には一般の乗客向けサービスを開始する予定となっている。


さらに11月20日に、ミネソタ州ミネアポリスやフロリダ州タンパ、ルイジアナ州ニューオーリンズでのサービス開始も発表している。タンパでは、今後数日以内にWaymoの自動運転システムを搭載した車両を導入し、一般向けサービス開始に向けた準備を始めるようだ。11月に入り、展開都市の拡大を一気に発表したことになる。

▼Safe, Routine, Ready: Autonomous driving in five new cities|Waypoint
https://waymo.com/blog/2025/11/safe-routine-ready-autonomous-driving-in-new-cities

Google系Waymoが展開している自動運転タクシー=出典:Waymo公式ブログ

■廃業・事業展開の業界事例

自動運転業界では、すでにビジネスを廃業・転換させる例が出ている。例えば米拠点で自動運転トラック事業に取り組んでいたTuSimpleはビジネスをアニメ事業に転換した。自動運転ビジネスを事実上、廃業させた格好だ。2024年のことだ。

【参考】関連記事としては「自動運転トラック開発の米TuSimple、「AIアニメ事業」に転換 いきなりの発表」も参照。


GMの自動運転部門として機能していたGM Cruiseも、GMの撤退に伴い、解体に至った。Waymoと開発競争を繰り広げていたCruiseだが、Waymoに比べてトラブルが多く報じられたことなどがネックの一つとなり、重くのしかかる開発コストに耐えきれなくなった形だ。

このほか、「自動運転の目」として機能するLiDARを開発する企業も乱立しており、いずれは淘汰が進む可能性がある。

そして、Waymoが勢力を拡大して技術も高度化させると、自動運転タクシーの展開を計画していたベンチャーや自動運転技術そのものを開発していた企業も厳しい状況に陥る。EV大手のテスラもこの分野に参入していることから、こうした大手へのバイアウトなどができなければ、状況はさらに厳しくなるかもしれない。

自動運転トラック開発の米TuSimple、「AIアニメ事業」に転換 いきなりの発表

■Waymoの海外展開は?

これまで米国内でサービスを拡大してきたWaymoだが、2025年に入り海外進出に向けての動きが活発になっている。

2025年10月には、英国の首都ロンドンでドライバーレスでのロボタクシーサービスを2026年から開始することを発表した。ロンドンでのサービスはWaymo単独で行うのではなく、ナイジェリアに本拠を置くモビリティ系フィンテック企業「Moove(ムーブ)」と協力して実施する。今後数カ月でサービス導入に向けた基盤整備を進めるほか、商用運行に必要な許可を得るために地方自治体や政府当局との協議も継続して行っていくという。

また日本においては同年4月から、タクシー配車大手GOやタクシー最大手の日本交通と組み、Waymoの自動運転技術を日本の公道に適応させるための車両走行を行っている。トレーニングを受けた日本交通の乗務員が、東京都心の港区、新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区、江東区の7区において、Waymo車両の手動運転を行うという内容だ。

10月に中野洋昌国土交通大臣(当時)をはじめとする政府関係者が、サンフランシスコでWaymoの完全自動運転の乗車体験やオペレーションセンターを視察しており、政府との連携も順調のようだ。

■自動運転でほぼライバル不在の状態

米Amazon傘下の自動運転開発企業Zoox(ズークス)や米EV(電気自動車)大手テスラ、レベル4の自動運転に特化して開発を行う中国のWeRide(文遠知行)などもテスト走行やサービスの拡大を行っている。しかし技術水準やサービス展開規模において、Waymoに勝る企業はないだろう。

自動運転車がSFの世界から現実のものになりつつある現在、ライバル企業の出現にも期待したいところだ。

【参考】関連記事としては「Googleの自動運転車、「トヨタより先」に東京都民に浸透」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事