
ホリエモンが「8文字」で称賛したビジネスとは──。YouTube番組「REAL VALUE」の一幕で、メインのAI交通警備システムから派生する形で自動運転関連ビジネスが紹介され、実業家の堀江貴文氏が称賛する場面があった。
AI交通警備システムからどのような流れで自動運転の話が飛び出し、堀江氏はどのような内容について価値を見出したのか。REAL VALUEの中身に触れていこう。(記事監修:自動運転ビジネス専門家 下山哲平)
記事の目次
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■REAL VALUEにおけるAI交通警備システムプレゼンの概要
警備業関連システム開発のKB-eyeが登場
YouTube番組「REAL VALUE」は、堀江氏と三崎優太氏、溝口勇児氏を中心とするバリバリの経営者らが、起業や成長を目指す経営者のプレゼンを公開審査する経営エンタメ番組だ。番組は堀江氏、三崎氏、溝口氏それぞれのYouTubeチャンネルで公開されている。
「『これ以上人が死ぬのを見たくないんです』AIで交通事故0を目指す熱き想いと突きつけられた現実」――と題された33回目の放送には、警備業関連システムの開発を手掛けるKB-eye代表取締役の橘田孝一がプレゼンターとして登場した。
橘田氏は、「交通誘導警備員の人手不足を解決し、公共工事の遅れをなくす」「人が警備する時代を終わらせたい」「交通誘導における事故をゼロにしたい」といった思いのもと、AI導入により交通誘導人員の省人化・無人化を図るシステム「KB-eye」を紹介した。
現場に設置したAIカメラがクルマや人の動きを読み取って判断し、適切に誘導することで、例えば従来警備員を4人配置していた現場で、警備員2人+KB-eyeで業務を行うことができる、AIと人のハイブリッド方式が可能になるという。
道路の種別や現場などにより人員配置に関する規制は異なるが、現場によってはゼロ人も可能という。交通誘導警備の市場規模は9,000億円に上り、KB-eyeは今後6年で3%を取りにいくという。
代表自ら現場に入り、データを蓄積
同社の圧倒的な強みがデータで、橘田氏自ら7年間現場に入り続け、安全なシーンや危険なシーン、渋滞が起こりやすいシーンなどを分析し、アルゴリズムを書きまくった結果、交通誘導に特化して学習した唯一のAIを開発した。賛同してくれる全国の警備会社140社と協同してDX化を進めているという。
番組では、橘田氏がプレゼン下手な面もあって前半は評価が低く、REAL VALUE マフィアたちから厳しい質問や意見などが寄せられたが、転機が訪れる。
自動運転開発事業者へのデータ提供に価値あり?
「海外勢がいろんな交通データを無料公開する可能性もあるのでは」といった質問から、そもそも海外の多くは交通誘導警備員を配置しないことが多く、日本特有の問題である点を強調。堀江氏は「そもそもグーグルに対抗しようとか1ミリも思ってない。グーグルも市場が小さ過ぎて来ない」とコメントした。
また、マフィアの一人が「自動運転なら一撃で行けるのでは」と言及したところで堀江氏のボルテージが上がり始め、「全然違う。安全検知は一緒だけど、こっちは交通制御に特化している」などと返した。
ここで橘田氏は「実はWaymoの技術者と話をしていて、自動運転車は工事現場を異物と捉える。片側交互通行の制御ができない。だからルート上工事現場を避けると言っていた。だから、こちらでAPI化して、例えば点群データをこちらから送る」――と発言したところで、堀江氏が「(自動運転車が)すんなり工事現場を抜けられるようデータを提供するってことですよね。それってすごく社会的に意義がある」「工事現場が関所になって、すごい迂回ルートを通らされる。自動運転車はたぶんめちゃくちゃその制御が苦手だと思う。それを克服するようになるまで特殊な労力が必要なる。そこにAPIか何かを提供することでボトルネックをなくそうということは、ある意味チャンス。Waymoとか、それをやる会社に対してビジネスになるかもしれない」と評価した。
突発的に自動運転の話題に移ったことで派生ビジネスへの注目が高まり、堀江氏の口から「ある意味チャンス」との言葉が発されたのだ。
このあたりからKB-eyeへの評価が高まり、最終的に同社はREAL VALUE CLUBに認定された。
■交通誘導×自動運転の状況
警察庁ヒアリングでも課題トップは「人による誘導」
実際、自動運転車はこうした工事現場や交通誘導・交通整理にどこまで対応できるのか。
警察庁所管の自動運転の拡大に向けた 調査検討委員会が国内外の自動車メーカーや実証主体などを対象に2024年に実施したヒアリング調査では、回答があった35主体のうち、技術的な対応(車両やソフトウェアの高度化、路車協調技術の活用など)による解決が困難な場面として23主体が「人による誘導」を挙げた。
▼書面ヒアリング結果概要|警察庁(※PDF41枚目で上記について触れられています)
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/r6_4_03_shiryo-1.pdf

周囲の違反行為(19主体)、歩行者横断(14主体)、二輪車のすり抜け(13主体)、標識(13主体)――といった状況で、シーン別では人の誘導が最多だった。
自車両との位置関係による見え方の違いにより指示が把握しにくいケースや、複数の誘導員が現場に存在する場合どの指示に従えばよいのか判断しにくいケース、指示誘導の内容の理解、駐車場への誘導なのか事故による交通規制なのか判別しにくい点、誘導ジェスチャーが定型化されておらず理解が困難な点、指示誘導者が、従うべき警察官であるか否かの判別、誘導の内容を認知できない場合における再発進の判断――などが要因・課題として挙げられている。
交通誘導現場は定型性に乏しい
多くの開発事業者が人による誘導を弱点としていることは確かなようだ。こうした現場は定型性に乏しく、異なる服装で異なる装備をした誘導員が、異なるジェスチャーで指示を出す。規制区間の停車位置や通行方法などもさまざまで、自動運転車としては一律の制御で対応できないのだ。
場合によっては迂回を余儀なくされるが、運行ルートが異常なほど遠回りになることや、設計上の運行可能領域を逸脱する恐れなどもある。
対応策としては、誘導が必要な場所や内容を事前に共有することや、交通整理におけるジェスチャーの標準化、交通誘導員を視覚的に明確な特徴を規定し、システムが識別できるようにすること、二次元コードなど指示を認識しやすい表示やデジタル表示化すること、V2X通信などインフラを活用して指示誘導を電子的に自動運転車に送ること、人による誘導をなくし、簡易信号など自動運転システムが画一的に判断できる機材での交通整理を行うこと、車両が一旦停止し、遠隔監視員からの支援に従って走行を継続すること、誘導員と遠隔操作者が連携して自動運転車を操作すること――などが挙げられている。
【参考】関連記事「交通誘導のジェスチャー、自動運転車向けに「QRコード化」か 警察庁検討委が案」も参照。
遠隔助言で対応するケースも
自動運転システムの開発者サイドから見ると、現状において自動運転システムが対応できないケースと、対応が不可能ではないものの判断に迷いがあるケース、柔軟に対応可能なケースが考えられる。
対応できないケースでは、自動運転車が交通誘導に遭遇した際、運行を停止し、遠隔制御や指示を求める。オペレーターが遠隔操作などで対応する、手動介入を要するケースだ。
自動運転システムが対応不可能ではないものの判断に迷いがあるケースでは、システムが遠隔オペレーターに助言を求める仕組みもあるという。オペレーターが一定の判断基準を提言すると、システムはその判断を追加情報として踏まえた上で自律走行を継続する仕組みだ。
Waymoや日産など多くの開発事業者がこうした仕組みを採用している。助言があってもなくても自動運転システムは一応自律走行を継続するため、手動介入にはあたらないのかもしれない。
柔軟に対応可能とする自動運転システムも恐らく存在するが、前述したように交通誘導現場は定型化されていないため、現在主流のルールベースに基づく自動運転システムにおいては、あらゆるケースをAIに学習させて対応力を磨くほかない。
エンドツーエンドの自動運転システムにおいても、経験値が絶対的に必要となる。しかし、交通誘導現場に遭遇することは稀で、レアケース扱いとなる。ゆえに、KB-eyeが蓄積してきたデータは大きな価値を持つかもしれないのだ。
Waymoはどこまで対応しているのか
開発競争で世界のトップを走るWaymoは、どこまで交通誘導などに対応できるのか。Waymoが2019年に公開した動画には、警察官と思われる誘導員が信号が故障した交差点の真ん中に立ち、交通整理を行っている様子が収められている。
Waymoの車両は交差点手前で停止し、警察官の進入許可の合図・ジェスチャーを受けて走行再開している。ジェスチャーは、一瞬こちら側に身体を向けて手招きしただけだ。遠隔介入していないとすれば、自動運転システムがこのわずかのジェスチャーを認識したということになる。
また、Autonomy Centralのチャンネルにも、警察官の指示に従うWaymoがアップロードされている。「Driverless Waymo vs Traffic Cop – Can It Understand Hand Signals?(無人運転の Waymo VS. 交通警官 – 手信号を理解できるか?)」と題された動画だ。
混雑する交差点でWaymoの車両は左折(日本で言う右折)レーンに並んでいるが、ちょうどWaymoが曲がる順番で警察官からストップがかかる。その後、警察官の指示のもと交差道路の車両の通行や、直進する隣接レーンの進行などが行われ、警察官が「ここまで前進して」と合図を送ると、Waymo車はこれにしっかりと反応する。
一度停車した後、警察官が対向車線の進行を止め、Waymo車の方をチラ見しながらチョイチョイと手招きすると、Waymo車は左折を開始した。人間でなければ分からないレベルのジェスチャーに対応しているのだ。
Waymo公式のInstagramには、Waymo車が工事現場に差し掛かった動画などもアップロードされている。工事区間の手前で警備員が「STOP」の看板を掲げており、Waymo車はこれに従って停止する。警備員がこの看板を裏返すと、発進する内容だ。発信後、工事区間を低速で安全を確保しながら通り抜けていく。
▼Waymo公式Instagramの動画はこちら
https://www.instagram.com/reel/CiLJWgQr0nj/
一方、redditには、Waymo車が工事現場に進入し、進行を諦める様子を収めた動画もアップされている。左折後に工事現場に直面したWaymo車は、道路上に置かれたカラーコーンを認識して一旦停止する。作業員がカラーコーンをどけ、Waymoに進むよう促すが、Waymo車は道が狭いためか躊躇し、反転して道を引き返した。何が原因か不明だが、対応できないケースもやはりあるようだ。
▼redditの動画はこちら
https://www.reddit.com/r/SelfDrivingCars/comments/1hoaik8/waymo_barges_into_a_construction_zone_jjricks/?tl=ja
重ね重ねになるが、こうした交通誘導などに遭遇するのはレアケースであり、経験を積みたくてもさまざまなパターンのデータを集めることは容易ではない。だからこそ、堀江氏はKB-eyeが蓄積してきたデータに大きな価値を認めたのだろう。
■【まとめ】レアケースのデータは価値が高い?
世界トップ水準の自動運転システムを誇るWaymoは、ある程度交通誘導に対応しているようだが、やはり完全ではなく課題は残されているものと思われる。エンドツーエンドで汎用性の高い自動運転システムを構築しようと思っても、おそらくデータ収集が困難で開発に相当の時間を要するものと思われる。
自動運転開発においてレアケースの克服は重要課題と言えるが、レアケースゆえなかなかデータを集められないのだ。そう考えると、例えば緊急車両が通過する様子を集めたデータや、特殊な交差点構造を集めたデータなど、レアケースなものほど価値が見出され、ビジネスにつながるかもしれない。
【参考】関連記事としては「自動運転で「周回遅れ」の日本、原因は「国民性」と判明」も参照。












