ドイツの高級自動車メーカーであるポルシェと、米インテル傘下で自動運転の技術開発を行っているイスラエル企業Mobileye(モービルアイ)は、戦略的提携に関する契約を締結した。2023年5月17日にまでに明らかになった。
この提携は、プレミアムADAS(先進運転支援システム)ソリューションの量産に向けたもので、ポルシェは今後、Mobileyeの最新ADAS「Mobileye SuperVision」による自動アシスト機能とナビゲート・オン・パイロット機能の提供を行う予定だという。
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■ポルシェとMobileyeの提携内容とは
ポルシェは、将来発表するモデルにMobileye SuperVisionを完全に統合するために、主導的な役割を果たしていく。なお、このシステムはポルシェのエンジニアにより統合され、調整されるという。ドライバーアテンションモニタリングシステムも、カスタマイズされるようだ。
Mobileye SuperVisionは、360度の視界を確保するサラウンドカメラやナビゲーションテクノロジーなどを備えており、「自動運転レベル2+」に相当するハンズオフ運転を可能にするシステムだ。
【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?(2023年最新版)」も参照。
ポルシェの研究開発担当取締役であるミヒャエル・シュタイナー氏は「ほとんどの状況において、ドライバーは今後もポルシェを運転したいと思うだろうし、いつでもそうできるようになるだろう」とした上で、「とは言え部分的な自動運転には、我々が関心を持ついくつかの側面がある。Mobileye SuperVisionのようなシステムは、例えば渋滞の時にずっとハンドルを握っていなくてもよいなど、日常の走行においてドライバーを支援することができる」と語った。
この発言は、手動運転にこだわるポルシェが自動運転にも興味を示している証左と言えそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転、高級車メーカーのアプローチ」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) March 29, 2022
■Mobileyeへの注目度が急上昇
いま自動車業界並びに自動運転業界では、優れた技術力を有しているMobileyeへの注目度が非常に高い。どんな企業か、基本的な知識を紹介しておこう。
1999年創業、インテル買収後に再上場
Mobileyeは、エルサレムのヘブライ大学でコンピューターサイエンスを教えていたアムノン・シャシュア氏が1999年にイスラエルで設立した。2017年3月に米インテルに買収され、それに伴い上場廃止したが、2022年10月に再上場を果たしている。
2004年に同社初のシステムオンチップ(SoC)を発表した。現在につながるデバイス「EyeQ」シリーズの第1世代の誕生で、最新版は2022年5月に発表した「EyeQ6」となっている。
2020年9月には、ドバイでの自動運転MaaS計画を発表した。また2021年4月にレベル4を可能にするフルスタックの自動運転システム「MobileyeDrive」の概要を発表した。13台のカメラをはじめ、3つの長距離LiDAR、6つの短距離LiDAR、6基のミリ波レーダーを搭載しているシステムとなる。
日本含むASEAN各国での事業展開にも積極的
日本企業とも関係が深く、日本や台湾、ASEAN各国におけるロボタクシーソリューションの提供に向け、移動サービスや移動ソリューション開発を手掛けるWILLERとパートナーシップを結んだことを2020年7月に発表している。また2021年5月には、トヨタの複数のプラットフォーム向けのADAS開発ベンダーに独自動車部品大手ZFとともに選ばれた。
今年に入り、米国の調査会社が発表した世界の自動運転開発企業ランキングで1位にランクするなど、いま最も有力な自動運転・ADAS開発企業と言える。また今年3月には中国・上海市の郊外に自動運転専用のテストセンターを開設、今後は中国市場向けの製品開発を行っていくという。
■「世界トップレベルの運転体験をさらに向上」
今回の提携についてシャシュア氏は「ポルシェと協力し、次世代のドライビングテクノロジーを世界中の顧客に届けられることを大変嬉しく思う。ポルシェと同様、我々も技術革新を利用して世界トップレベルの運転体験をさらに向上させるという目標に突き動かされている」とコメントしている。
大手高級自動車メーカーからも信頼されるMobileye。今後さらに採用する企業が増えていきそうだ。
▼Mobileye公式サイト
https://www.mobileye.com/
【参考】関連記事としては「Mobileye(モービルアイ)と自動運転(2023年最新版)」も参照。