中国の自動運転システム開発のスタートアップ企業Momenta(モメンタ)が、上海汽車集団などから新たに2億ドル(約226億円)の出資を受けたことが2021年11月6日までに明らかになった。2021年のMomentaの調達額はおよそ12億ドル(約1,355億円)に上るようだ。
自動運転の無人搬送ロボットを開発する米Nuro(ニューロ)も最近シリーズDで6億ドル(約677億円)の資金調達を完了させたばかりで、中国Momentaと米Nuroが2022年の自動運転業界の大型IPOとして注目される可能性がありそうだ。
■順調な資金調達をみせるMomenta
2016年に北京で設立したMomentaは、自動運転レベル4の無人走行が可能な自動運転ソリューション「MSD」(Momenta Self Driving)や、自家用車向けの大量生産に対応した自動運転レベル3のソフトウェア「Mpilot」などを製品化している。
ディープラーニング(深層学習)を得意とし、センサーが得た画像を解析して高精度地図を自動作成する技術にも定評がある。
2020年には自動運転タクシーの公道実証を江蘇省でスタートさせ、北京での実証の実績も持つ。2021年に入り、米ゼネラル・モーターズから3億ドル(約340億円)の出資を受け、さらにトヨタや独自動車部品大手のボッシュなどからも出資を受けている。
順調な資金調達によりMomentaは自動運転タクシーの実用化への取り組みを加速させると見られている。
【参考】関連記事としては「中国の自動運転企業Momenta、トヨタなどから5億ドル資金調達」も参照。
中国の自動運転企業Momenta、トヨタなどから5億ドル資金調達 https://t.co/ZttiHjLaV0 @jidountenlab #Momenta #トヨタ #自動運転
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) March 19, 2021
■Nuro、自動運転配送車の開発で存在感
一方で自動配送車両を開発Nuroは、2020年に米NHTSA(米運輸省道路交通安全局)による規制クリアや、カリフォルニア州での公道走行・商用利用ライセンス取得など経て、パートナーとの連携を広げサービス実証を拡大し躍進している。
2021年に入ると、第3世代の自動運転配送車を商業展開し、車両の製造施設とテストコースの開設に4,000万ドル(約45億円)を投じる計画も発表した。
創業当時から順調な資金調達を達成しており、創業してすぐの2016年に中国で最初の資金調達により100万元(約1,700万円)を調達した。2017年6月にはアメリカで資金調達Aラウンドを完了させ、トータル約100億円を調達している。
2021年11月2日にはシリーズDの資金調達で6億ドル(約677億円)の投資を受けた。米投資ファンドのタイガー・グローバル・マネジメントやすでにNuroに出資した過去があるソフトバンク・ビジョン・ファンド、トヨタ系Woven Capital、米Google、米小売大手Kroger(クローガー)などが参加したという。
【参考】関連記事としては「ユニコーン投資1位のTiger Global、米Nuroに投資 自動運転搬送ロボの開発企業」も参照。
ユニコーン投資1位のTiger Global、米Nuroに投資 自動運転搬送ロボの開発企業 https://t.co/IOxYyGhHaC @jidountenlab #TigerGlobal #ユニコーン #Nuro #自動運転
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) November 4, 2021
■MomentaとNuroの上場発表がいつかに注目
中国Momentaも米Nuroも順調な資金繰りに成功しており、それぞれが展開する事業で躍進を続けている。どちらもいつ上場してもおかしくないと関心を集めているが、もしかしたら2021年内または2022年の年明けには上場の発表があるかもしれない。
最近は自動運転技術の実用化に伴い自動運転市場化が本格化の兆しを見せ、関連スタートアップ企業が続々と上場している。引き続き両社の動向に注目していきたい。
【参考】関連記事としては「「自動運転」銘柄まとめ 日本とアメリカ、株式上場している企業は?」も参照。