中国の自動運転スタートアップ企業Momenta(モメンタ)は2021年3月19日、トヨタ自動車などから5億ドル(約550億円)の出資を受けたことを明かした。トヨタとMomentaは2020年3月に自動運転向けの高精度地図に関して提携している経緯がある。
報道によれば、今回の資金調達ラウンドで出資したのは日本のトヨタ自動車のほか、中国自動車大手の上海汽車集団や独自動車部品大手のBosch(ボッシュ)、独自動車メーカーのDaimler(ダイムラー)、シンガポールの政府系投資会社のテマセクなど。
【参考】関連記事としては「中国モメンタ、自動運転向け高精度地図で日本のトヨタと提携」も参照。
中国モメンタ、自動運転向け高精度地図で日本のトヨタと提携 https://t.co/K7E7cMqicd @jidountenlab #自動運転 #モメンタ #トヨタ
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) March 23, 2020
■Momenta、資金調達で自動運転タクシーの実用化へ前進
Momentaは2016年に中国・北京で創業した企業で、自動運転レベル3(条件付運転自動化)向けのソフトウェア「Mpilot」や、自動運転レベル4(高度運転自動化)での無人走行を可能にする「MSD」(Momenta Self Driving)というシステムの開発に取り組んできた。
センサーで得た画像をディープラーニング(深層学習)で解析し、高精度地図を自動作成する技術などでも強みがある。
今回の資金調達を受け、Momentaは自動運転タクシーの実用化の取り組みを加速するものとみられる。ちなみにMomentaは2020年に自動運転タクシーの公道試験を江蘇省で開始している。北京などでの実証実験の実績もある。
【参考】関連記事としては「中国で続々!Momenta、レベル4自動運転タクシーを10月から試験運行」も参照。
■中国での自動運転技術開発をスピードアップ
トヨタは、トヨタ本体やトヨタが出資する「未来創生ファンド」、Toyota Research Institute(TRI)のベンチャーキャピタルファンド「トヨタAIベンチャーズ」などを通じて、これまでも自動運転関連企業への出資を積極的に行っている。
中国企業への投資としては、2020年に既に提携済みの中国の自動運転スタートアップ企業Pony.ai(小馬智行)に4億ドル(約440億円)を出資し、自動運転の技術開発と移動サービスの展開で協力を強化したことで知られる。
こうした提携・出資などを通じて、トヨタは中国での自動運転技術の開発を加速させてきたが、今回のMomentaへの出資でそのスピード感がさらに増していくことになりそうだ。
【参考】関連記事としては「トヨタの自動運転領域における投資まとめ」も参照。