【取材レポート】日本のDiDiアプリ「AIだけで配車完了」 タクシー配車の新技術、菅野副社長が語る DiDiモビリティジャパンが記者発表会

東京と京都でサービス提供を開始



撮影:自動運転ラボ

タクシー配車アプリ「DiDi」が2019年4月24日に東京と京都でもサービスを開始した。発表は東京都内のホテルで行われ、ソフトバンクと中国DiDiの共同出資で設立された「DiDiモビリティジャパン」の菅野圭吾副社長(ソフトバンク常務執行役員)が、サービスの詳細を発表した。

速報は既に「【速報】DiDiとソフトバンクのAIタクシーアプリ、東京へ進出 PayPayと5月から連携」で報じたが、東京と京都でのサービス開始に関すること以外の同社の取り組みについてや質疑応答なども行われたので、その様子を詳しくお伝えする。


■「東京ではずっと実証実験を行ってきた」

菅野氏は記者発表で「本日(2019年4月24日)からDiDiは新たに東京と京都の2つのエリアに対応します。東京ではずっと実証実験を行ってきており、準備が整ったのでサービスを開始したという形」と語った。

その上で2019年度中には大阪や東京、京都に加え、北海道や兵庫など全国10都市への展開を計画して準備していることにも触れ、「2019年度中とは言っていますが、かなり早い段階でサービスを開始できるのではないかなと考えています」と強調した。

協業するタクシー会社の社数については「タクシーの数が少なすぎるとユーザー様にご迷惑がかかることは理解していますので、ある程度のタクシーをご提供できる目途が立ったためサービスを開始した次第です」と説明した。

撮影:自動運転ラボ
■「色々なサービスパートナーと連携していく」

同日はDiDiのアプリが「Yahoo!乗換案内」と連携を開始したことも発表されたほか、PayPayでの支払いに5月末から対応することも明らかにされた。記者発表ではPayPay株式会社の中山一郎社長も登壇し、連携キャンペーンの実施を計画していることにも触れた。詳しい内容は後日発表される予定だとう。


菅野氏はPayPay以外との連携については「色々なサービスパートナーと連携していく用意がある」と説明。その上で「我々はもともとオープンプラットフォームという形で、異業種も含めて連携しながらサービス拡大を目指しています。我々と先方様の準備が整えば、いろいろな会社様と連携してくことを考えています」と語った。

DiDiモビリティジャパンの菅野副社長(左)とPayPayの中山社長(右)。がっちりと握手を交わす場面もあった=撮影:自動運転ラボ
■「AIを活用し、人の手を介さずに配車を完了」

DiDiの配車アプリの優れている点については「従来の配車アプリは裏方で人間が配車をおこなっているのに対し、DiDiアプリはAI(人工知能)を活用して、人の手を介さずに配車を完了させている」と説明。AIによる効率的な配車で、大阪ではタクシー到着時間が平均で5分以内だという。

また「5000人以上在籍するエンジニアという強みを活かし、スピード感のある開発が行えるのも我々の強み」と述べ、「さらなる技術革新によって、現在も秒単位での短縮を目指し、サービスに磨きをかけています」と話した。

撮影:自動運転ラボ
■「DiDiの導入によって実車率を60%まで向上させる」

配車実績について菅野氏は「サービス開始から半年間で配車回数が10倍に成長しています」と語った。


その上で日本では平均42%だというタクシーの実車率についても触れ、大阪ではDiDiの導入後にタクシーの実車率が5%アップし、営業収入も10%向上したという実績を説明した。最終的にはDiDiの導入によって実車率を60%まで向上させるのが目標だという。

撮影:自動運転ラボ
■「自動運転と将来的には連携していくことも」

政府が検討している「相乗り型タクシー」の解禁については、「まだはっきりしたガイドラインが出ていないので正確なことは言えませんが」と前置きした上で、「例えば過疎地域などで病院に行く方や普段の買い物をする方が、我々のサービスを必要とするようなケースがあれば、対応していきたい」と説明した。

「自動運転」と「タクシー配車アプリ事業」との関わりについては、「DiDiは元々自動運転の研究も進めています。将来的な展望としては、自動運転があと1、2年ですぐに普及することはないと思っていますが、将来的には連携していくことも考えています」と説明した。

さらに「その際は自動運転と従来のタクシーの良い所を合わせたハイブリッドでの運用になるのではないか」と延べ、「1カ所だけを目的として移動する場合や、何カ所か寄り道しながら移動する場合など、それぞれに合わせて共存していく形になるのではないか」と説明した。

撮影:自動運転ラボ
■【取材を終えて】DiDiの今後の動きが楽しみ

DiDiは、ユーザーとタクシー会社の双方に対して配慮しているという点が印象的だった。タクシー配車ビジネスはユーザーとタクシーの両方があってこその物だ。その両者の橋渡し的な役割を果たすのがDiDiであると言えよう。

他業種との積極的な連携も掲げており、今後発表されるであろうコラボレーションの具体的な内容も楽しみだ。


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