米アップルの元エンジニア、社外秘の自動運転情報盗み訴追

中国渡航直前に身柄を拘束



米アップル社の元エンジニアであったジゾン・チェン氏が、同社の社外秘だった自動運転技術を盗んで中国企業に提供しようとした疑いで、米連邦捜査局(FBI)に訴追されたことが2019年2月1日までに明らかになった。


チェン氏は2018年6月にアップル社に入社し、自動運転プロジェクトメンバーとして開発に深く関わり、機密情報へのアクセス権を持っていた。機密エリアで写真撮影している姿を同僚が見かけたことがきっかけとなって社内調査が行われ、その結果、チェン氏の私物のパソコンから機密情報のファイルが2000以上が見つかった。本社建物内を撮影した写真も100枚発見されたという。

チェン氏はアップル社と競合関係にある中国の自動運転企業の求人に応募していたことが分かっており、中国に渡航する1日前にFBIによって身柄を拘束された。

アップル社では2018年7月にも同様の事件が発生している。自動運転の開発に関わっていた中国籍のハードウエアエンジニアが企業秘密を盗み、中国へ出国する寸前で逮捕された。エンジニアは中国のスタートアップ自動車メーカー小鵬汽車に転職する予定だった。

【参考】関連記事として「アップル元エンジニア、自動運転技術盗難で逮捕 あわや転職先の中国スタートアップに」も参照。


アメリカでは自動運転に限らず、先進技術分野を中心に中国産業スパイによる情報流出事件が多発しており、米政府は2018年11月に司法省を中心とした産業スパイ対策チームを設置して対策に当たっている。日本でも2016年1月に「改正不正競争防止法」が施行され、外国企業への情報漏洩の罰則が強化されるなど対策が行われている。

情報流出を防ぐためには企業内の情報管理体制を整えることも重要だ。今回のケースのように情報漏洩は従業員が退職するタイミングで起こることが多い。退職予定の社員に対しては機密情報へのアクセスを制限するなど、情報を持ち出させない仕組みづくりが必要となる。


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