アメリカ政府は米ラスベガスで開催中の世界最大の技術見本市「CES 2020」において、アメリカにおける自動運転開発の新たなガイドラインとなる「Automated Vehicles 4.0」(AV 4.0)を発表した。米政府のチャオ運輸長官が会場でその内容を明らかにしている。
Automated Vehicles 4.0に関する英文資料は運輸省ウェブサイト内の「Ensuring American Leadership in Automated Vehicle Technologies Automated Vehicles 4.0」からダウンロードできる。PDF全56ページに及び、トランプ政権下におけるアメリカの自動運転開発の方針を打ち出した格好だ。
このAV 4.0では、自動運転車の安全性やセキュリティを開発において重点要素とすることに触れられているほか、各省庁が自動運転技術の促進のためにどのような役割を果たすのかなどについて説明されている。省庁の縦割りによって民間企業による開発に遅れがでないよう配慮する内容にもなっている。
アメリカ政府は2017年9月にAV 2.0を、2018年10月にAV 3.0を公表している。
■新たな「アメリカンドリーム」の実現と米政府
アメリカは世界における自動車業界でやや遅れを取っている感がいまのところ否めない。米最大手のGM(ゼネラル・モーターズ)は販売台数でトヨタに負けており、ドイツ勢のほか、台頭する韓国・中国勢にも脅威を少なからず感じているはずだ。
ただ昨今では電動化や自動運転技術でその遅れを取り戻しつつある印象で、テスラの電気自動車(EV)やグーグル系ウェイモが商用サービスとして世界で初めてスタートした自動運転タクシーは、その象徴であると言える。
チャオ運輸長官はCES 2020における記者発表で、民間企業の開発や実用化を阻害する規制については、積極的に改正などを行うことに意欲を示した。アメリカでは自動運転実証中に死亡事故が過去に起きており、もちろん安全に関しては厳しい目を向けるはずだが、常に「解禁」を意識した施策を打っていくだろう。
自動運転技術でアメリカが再び自動車業界の覇者になるという新たな「アメリカンドリーム」が実現するかは、米政府がどう動くのかに非常に左右される。そしてそれは日本も同じだ。
【参考】関連記事としては「アメリカ×自動運転、最新動向まとめ」も参照。