香港からの「黒船」、自律走行ロボ「RICE」が国内上陸!どんなロボット?

ソフトバンク系アスラテックが国内導入を強力プッシュ



出典:アスラテック「RICE」紹介ページ

実用化を見据えた取り組みが大きく進展し始めた自動走行ロボット。特に屋外を走行する宅配ロボットの注目度は高く、国内でも一足早く開発に着手していたZMPをはじめ、パナソニックやティアフォーといった有力企業も参戦し、開発に力を入れている。

一方、ホテルなどで導入が進む屋内向けの配送ロボットも、応用を効かせたさまざまな活用に取り組む事例が増加し始めている。日本郵便は、香港スタートアップのRice Roboticsが開発した配送ロボット「RICE」を採用し、複数台の配送ロボットを活用したマンション内配送の実証に2021年2月から取り組んでいる。







この記事では、日本郵便の実証で用いられている「RICE」にスポットを当て、概要を紹介する。

■「RICE」の概要:香港のRice Roboticsが開発

RICEはロボット開発を手掛ける香港のRice Roboticsが開発を進めている屋内配送向けの自律走行ロボットだ。創業者兼CEOのVictor Lee氏は2019年ごろから香港で試験運用を開始しており、ホテルや飲食店などで徐々に導入する動きが広がっているようだ。

ロボットは外寸約76×54×50センチ、積載容量27×36×22センチの小型モデルで、LiDARや深度カメラ、超音波センサーを利用しSLAM技術を活用して走行する。エレベーターや入場ゲートなどと協調することも可能だ。

使用例として、ホテルでは宿泊者がオーダーした食事などをコンパートメントに入れ、部屋番号と携帯電話番号を入力するだけでRICEが自動で走行を開始する。部屋の前に到着すると、SMSで宿泊者にテキストメッセージとワンタイムパスコードが送信されるので、宿泊者はコードをロボットのマルチメディアディスプレイに入力すれば商品を受け取ることができる仕組みだ。

パソコンやスマートフォンからロボットの監視や制御を行うことができるクラウドサービス「RiceCore」も提供している。各ロボットの位置やバッテリー残量、その他重要なデータをリアルタイムで追跡することが可能で、ロボットの移動や緊急停止など、RiceCore上でタスクを割り当てることもできる。

ソフトウェアもカスタマイズ可能で、既存アプリのほか、APIを使用することでビル管理システムやデジタルサイネージとの連携やカスタムアプリの構築など、導入先の環境に合わせたソリューションを構築することができる。

■RICEの国内展開
アスラテックが国内展開をサポート

歴史の浅い新進気鋭のスタートアップだが、ソフトバンクグループのアスラテックが国内代理店として日本における展開をサポートしており、すでに複数の実証実験などで活用されている。

2020年12月には、JR東日本が高輪ゲートウェイ駅で実施したロボットの実証実験に参加した。駅構内施設「Partner Base Takanawa Gateway Station」で軽食や飲み物、小荷物を非接触で利用者に届ける実証などを行った。

2021年2月には、日本郵便が取り組む屋内におけるラストワンマイル配送の実証にRICEが採用された。マンション居住者宛ての荷物を配達員が従来通りマンションの入り口まで配送し、そこから居住者の玄関までの配送を「RICE」が行う、マンション内ラストワンマイルの取り組みだ。

受取人が不在の際は、RICEは荷物を保持したままマンション内の待機場所へ戻り、受取人から依頼があったタイミングで再配達を行うことも可能という。日本郵便はこの実証で、複数台の配送ロボットとエレベーターや運行管理システムを連携させ、オートロックシステム付きマンション内で効率的に配送を行う仕組みを検証するとしている。

出典:アスラテック社プレスリリース

このほか、セブン-イレブン・ジャパンの協力のもと、東京竹芝エリアのソフトバンクグループ本社でビル内のコンビニ店舗からオフィス従業員らへRICEで商品を配達する実証実験が2021年1月から行われている。

■屋内向け配送ロボットの導入環境
屋内向けロボットは屋外向けに比べ導入が容易

こうした屋内向けの配送ロボットは、公道などを走行する屋外配送ロボットと比べ導入が容易だ。こうした配送ロボットは、多くの場合事前に走行ルートのマッピングを行い、エリアを3次元地図化して自律走行の安全性や確実性を高めるが、屋外に比べエリアが限られ、平坦な地面が多い屋内の方が当然マッピング作業は容易だ。

また、屋外では歩行者や一般車両、自転車、散歩中の犬など不特定多数が介在し、公道においては道路交通法などの規制も関わってくるが、屋内であれば大半が私有地となるため不特定多数の制御を行いやすく、かつ独自の安全基準を策定することで導入に踏み切ることができる。こうした理由から、屋内ロボットは屋外ロボットより一足早くホテルや飲食店などで導入が進んでいるのだ。

海外製品の導入も容易に

これらのメリットは、海外製品の導入も容易にする。屋外環境は法規制含め国によって大きく異なるが、屋内環境は大差なく、個別のロボット・開発者が提供するマッピング技術などをそのまま使用できる場合が多い。言語設定などソフトウェアのローカライゼーションを図れば、国産ロボット同様抵抗なく導入することができる。

開発で先行する海外勢は多く、国内利用のハードルも低いことから、RICE以外にも米Savioke社の「Relay」など導入を図る事例は思いのほか多い。

代理店など現地サポートがカギを握る

一方、海外製品導入におけるデメリットには、サポート体制が挙げられる。たとえ優れた技術・能力を誇るロボットであっても、定期メンテナンスや故障の際の対応といった保守管理は必須だ。こうしたサポート体制が万全でなければ安心して使用することができない。

こうしたデメリットを埋めるのが、現地法人や代理店の存在だ。組織の一員として、あるいはパートナーとして、導入促進を図る営業活動から日常的な保守点検、カスタマイズなど、さまざまなサービスを提供する重要な役割果たす。

Rice Roboticsにおけるアスラテックのように、Saviokeはマクニカが代理店を務めている。国内普及のカギは、やはり現地サポートにあると言える。

■【まとめ】高まる需要を背景に海外製品の注目度もアップ

屋内向け・屋外向けのロボットそれぞれの国内開発が盛んに行われているが、競争の過程で海外製品への注目度もいっそう高まっていくことは必然だ。今後、有力な海外スタートアップなどと代理店契約を結び、国内展開を図る動きが活発化する可能性も十分考えられる。

もちろんその逆も然りで、積極的に海外展開を図っていく国内企業の登場にも期待したいところだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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