ずらり2ケタ成長!自動運転関連市場の成長率が驚異的

画像認識や配送ロボット、車載ソフトウェアなどで比較



自動運転レベル4による移動サービスやラストワンマイル配送の実用実証が世界で加速している。一般乗用車における自動運転レベル3の市販も間もなく始まる見込みで、自動運転関連市場が本格化の兆しを見せている。

複数年にわたる市場拡大の指標として年平均成長率(CAGR)に注目し、自動運転関連各市場の今後の動向に触れていこう。







■自動運転市場:CAGR22.6~63.1%

自動運転市場全般では、レベル4移動サービスで先陣を切った米Waymoや中国開発勢などによる自動運転サービスが着々と走行エリアやサービスを拡大しており、社会受容性も徐々に高まってきているようだ。

あらかじめ定められたルートを走行する自動運転バスなどをはじめ、さまざまな自動運転車両が公道実証・サービス実証段階に突入しており、日進月歩で進化する技術とともに2020年代に大きく社会実装されることが予想される。

Report Oceanが2020年12月に発表したレポートによると、世界の自動運転車市場は2026年までに22.64%のCAGRを記録し、同年までに自動運転車両数は26万3,532台を超えると予想している。

一方、Kenneth Researchが2020年7月に発表したレポートによると、世界の自動運転車市場は2016年から2024年までのCAGRが25.7%を記録し、2024年までに200億ドル(約2兆1,200億円)に達すると予測している。

Grand View Researchが2020年4月に発表したレポートでは、2030年における世界の自動運転車需要は420万台に達し、同年までのCAGRは63.1%に上ると推計している。

開発状況や試算項目などに左右されるため推計の振り幅は大きくなりがちだが、いずれにしろ大きな成長を遂げることは間違いなさそうだ。

【参考】Grand View Researchのレポートについては「自動運転車の世界需要、2030年に420万台に 年平均成長率は63.1%」も参照。

■画像認識市場:CAGR15.1~26.9%

自動運転を構成する技術の中でもとりわけ重要性が高いのが画像認識技術だ。車載カメラなどの各種センサーが映す画像を分析し、そこに映った歩行者や周囲の車両、道路標識などを瞬時に識別する。自動運転車はこの解析結果をもとに車両を制御するため、いかに迅速かつ正確にオブジェクトを認識するかが問われる。

Report Oceanが2021年2月に発表したレポートによると、世界の画像認識市場は2019年に約227億6,000万ドル(約2兆4,000億円)で、2020年から2027年の期間におけるCAGRは15.1%と予測している。

また、Kenneth Researchが2020年7月に発表したレポートによると、世界のAI画像認識市場は2026年までに88億9,820万ドル(約9,400億円)に達し、2020年から2026年にかけ年間26.9%のCAGRを示すとしている。

一方、国内市場に限定すると、富士キメラ総研が2020年3月に発表したレポートによると、画像認識関連技術は2019年に290億円見込みで、2025年には746億円に達すると予測している。この間のCAGRは17.1%となる。

■自動バレーパーキング市場:CAGR50.6%(参考値)

V2I(路車間通信)技術などによってインフラと車両が連携し、駐車場内でレベル4の無人自動運転による駐車・入出庫を実現する自動バレーパーキング。海外ではボッシュとダイムラーのドイツ勢が開発・実用化に力を入れているほか、国内ではパナソニックやアマノ、アイシン精機、日立、デンソーなどが開発を進めている。

大型立体駐車場などを中心に2020年代に普及が始まる見込みで、車両に搭載されたADAS用センサーの活用や簡易な後付け装置などによって多くの市販車が対応可能となれば、普及が一気に進む可能性も高そうだ。

矢野経済研究所が2019年10月に発表した調査によると、自動駐車システムの世界新車搭載台数は2025年に207万台、2030年に1,606万台と予測している。

台数ベースのため参考値となるが、2025~2030年におけるCAGRは50.6%と驚異的な成長率を記録している。

■スマートパーキング市場:CAGR12.6~17.4%

駐車場関連では、スマートパーキング関連も右肩上がりの成長を遂げそうだ。スマートパーキングは、スマートフォンの活用などにより、利用者と駐車場を効率的にマッチングする機能や予約・キャッシュレス決済などを提供可能にする。駐車場運営と利用に利便性をもたらすシステムで、現在進行形で普及が進んでいる。

Report Oceanが2021年1月に発表したレポートによると、スマートパーキングシステムの世界市場規模は2019年に60億5,000万ドル(約6,400億円)、2027年までに111億3,000万ドル(約1兆1,800億円)に達し、12.6%のCAGRを記録すると予測している。

一方、Grand View Researchが2020年に発表したレポートでは、同市場は2027年までに143億ドル(約約1兆5,100億円)に達し、2020年から2027年までに17.4%のCAGRを記録するとしている。

■自動車用ソフトウェア市場:CAGR14.5%

各種センサーの搭載やコネクテッド化などによりコンピュータ化が進む自動車において、ソフトウェアの重要性が増している。この流れは、ADASの高度化や自動運転化とともにさらに加速していくことが予想される。

Report Oceanが2021年1月に発表したレポートによると、世界の自動車用ソフトウェア市場は2019年の185億ドル(約1兆9,600億円)から2027年までに435億ドル(約4兆6,100億円)に増加し、CAGRは14.5%を記録するとしている。

一方、AnalystView Market Insightsが2021年2月に発表したレポートによると、2021年から2027年の期間において11.4%の成長が予測されているという。

国内マーケットでは、矢野経済研究所が2020年10月に発表した国内車載ソフトウェアに関する市場規模調査結果によると、2020年の8,298億円から2030年には1兆3,140億円に達するとしている。10年間のCAGRは4.7%となる。

【参考】Reportoceanのレポートについては「自動車ソフトウェア市場、2027年には4.5兆円規模!自動運転化で将来急拡大」も参照。

■配送ロボット市場:CAGR18.2%

ラストワンマイルを中心に世界で導入に向けた動きが加速している配送ロボット。無人で自律走行することが可能で、労働力の削減やコンタクトレス配送などの観点から注目が高まっている。

Report Oceanが2020年10月に発表したレポートによると、世界の配送ロボット市場は2019年にすでに約141億8,000万ドル(約1兆5,000億円)規模となっており、2020年から2027年の期間におけるCAGRは18.2%を超えるという。

■無人搬送車市場:CAGR16.6%

配送ロボット同様、工場や倉庫内で活躍する無人搬送車も実用化・導入が大きく進んでいる。

Report Oceanが2020年12月に発表したレポートによると、世界の無人搬送車の市場規模は2019年に52億1,000万ドル(約5,500億円)で、2020年から2027年までに16.6%のCAGRを記録し、2027年には135億2,000万ドル(約1兆4,300億円)に達すると予測している。

■コネクテッドカー市場:CAGR17.1%

自動運転車は通信技術を活用し、インフラや周囲の車両、クラウドなどと常時情報をやり取りすることで走行安全性を高める。この仕組みのベースは一般乗用車ですでに始まっており、プローブ情報などを送受信することでテレマティクス保険などの各サービスを提供したり、スマートフォンと連動したサービスを提供したりするなど、各種サービスが実用化されている。

自動運転車のみならず、一般乗用車のコネクテッド化が大きく進行しているのだ。

富士経済が2020年6月に発表したレポートでは、2035年におけるコネクテッドカーの新車販売台数は、2019年比で3倍となる9,420万台に達すると予測している。

一方、Report Oceanが2020年10月に発表したレポートによると、コネクテッドカー市場は2027年までに2251億6,000万ドル(約23兆9,000億円)に達し、17.1%のCAGRを記録するとしている。

■車載センサー市場:CAGR8.1%

自動運転で必須となるカメラやLiDARといった各種センサーも大きな伸びが予測されている。一般乗用車においても、ADASの高度化やレベル3の実装に伴い、最新のカメラやLiDARを搭載する車種が増加していく見込みだ。

富士キメラ総研が2019年9月に発表したレポート「2019 次世代カーテクノロジーの本命予測と未来自動車像」によると、世界の新車搭載ベースにおける車載カメラは2019年見込み2,526万台から2040年には1億1,104万台、LiDARは同18万台から4,236万台、レーダーは同1,854万台から6,890万台にそれぞれ増加すると予測している。

一方、Report Oceanが2021年2月に発表したレポートによると、世界の自動車用センサー市場は2030年までに509億2,000万ドル(約5兆4,000億円)に達し、2020年から2030年までのCAGRは8.1%と予測している。

■【まとめ】自動運転関連市場の2ケタ成長はしばらく続く

推計期間や項目などにばらつきがあるため単純比較はできないが、自動運転関連市場の大半が2ケタの高い成長率を示しており、2030年代にかけて市場規模を拡大していくことが分かった。

自動運転技術が一定程度確立し、普及した段階で伸び率は鈍化する可能性が高いが、引き続き自動運転レベル5を目指す技術革新が新たな競争と市場を育んでいくものと思われる。有望市場としての立ち位置はまだまだ続き、世界経済をけん引する新たな産業に成長していくのだ。

【参考】関連記事としては「AI自動運転やMaaS、ライドシェアなどの将来市場規模予測10選」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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