自動運転車やEV(電気自動車)の進展で、2019年は185億ドル(約1兆9,000億円)規模と評価されていた世界の自動車用ソフトウェア市場が、2027年までに435億ドル(約4兆5,000億円)まで拡大するという推計が明らかになった。
調査レポートの販売事業を手掛ける米Reportocean.comが新たに発売する「自動車ソフトウェア市場調査レポート」の中で触れられている。
ここでいう自動車ソフトウェアとは、ADAS(先進運転支援システム)や通信、テレマティクスやインフォテインメント、パワートレインなどに関するソフトウェアのことだ。
2019年から2027年に市場規模が約2.3倍になるという計算となり、2020年から2027年までに年平均成長率(CAGR)は14.5%に上るという。
■ADAS機能やコネクテッドサービスの採用が市場拡大に寄与
新たに発売する「自動車ソフトウェア市場調査レポート」では、市場規模の推進要因などが解説されている。
市場成長の要因の1つが、新型車でADAS機能やコネクテッドサービスの採用が加速していることで、自動運転車の実用化に向けたソフトウェア開発も将来的な市場規模の拡大に大きく寄与するようだ。
また、走行中に通信を伴うコネクテッドカーや自動運転車では、高いセキュリティを実現するソフトウェアの重要度も増しているほか、インフォテインメントシステムもさらに進化するとみられ、市場成長を後押ししていきそうだ。
■トヨタやティアフォー、ACCESSなどの日本企業にも注目
この市場レポートでは、車載ソフトウェアの開発に力を入れているカナダのBlackBerryや、クラウドサービス「Azure(アジュール)」をモビリティ向けにも提供する米Microsoft、自動運転システムの開発に力を入れる米Wind River Systemsなどがキープレイヤーとして紹介されている。
ただ自動運転の領域では日本企業も負けておらず、高度安全運転支援技術「ガーディアン」を開発するトヨタや、オープンソースの自動運転OS「Autoware」を開発するティアフォー、車載インフォテインメントシステムを手掛けるACCESSなどにも注目していきたいところだ。
自動車の自動運転が実現すれば、クルマを運転する必要が無くなった人向けにさまざまなサービスが車内で提供されることになる。そうなれば一層さまざまなソフトウェアが自動車業界で活用されることになり、市場規模の拡大は今回の推計を上回るスピードで進む可能性もありそうだ。
【参考】関連記事としては「テスラ、完全自動運転ソフトウェア「FSD」のサブスクスタートへ」も参照。