ドイツ自動車部品メーカー大手のContinental(コンチネンタル)は2020年7月8日までに、8月1日付でフランク・ペッツニック氏がADAS(先進運転支援システム)事業部長に就任することを発表した。
ペッツニック氏は、同じく自動車部品メーカーの独ヘラーで自動運転プロジェクトを手掛けた経験があるなど、自動車業界での経験が豊富であり、コンチネンタルとしては自動運転を見据えた人事であると言える。
■フランク・ペッツニック氏の経歴
前述の通り、ペッツニック氏は自動車・自動車サプライヤーで実績豊富な人物だ。1998年に独フォルクスワーゲンでプロジェクトマネジャーとしてキャリアをスタートし、その後、電子制御システムのプロジェクトリーダーを務めた。
2003年にはエンジニアリング企業の独Bertrandtに移り、さまざまな役職を経験している。2008年からヘラーでグローバルレベルで管理職を務め、直近では取締役として、自動運転プロダクトセンターのグローバル事業を担当していた。
コンチネンタルのフランク・ヨーダン取締役会メンバーは「先進運転者支援システム、そして、自動運転の分野で経験豊富なペッツニック氏の入社を嬉しく思います」とコメントした。
ちなみに、ペッツニック氏が担当する「ADAS」は「Advanced Driver-Assistance Systems」の略称で、先進運転支援システムのことを指す。事故を未然に防いだり運転の負荷を軽減したりするための機能の総称で、「自動運転レベル」ではレベル1〜2に相当する。
現在の自動車業界における車両販売の主戦場はADAS搭載車であると言え、ペッツニック氏はこのADAS分野で貢献しながら、その延長線上の自動運転も見据えて事業に取り組むと考えられる。
【参考】関連記事としては「【最新版】ADASとは? 基礎知識や読み方などを徹底まとめ!」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) August 20, 2019
■「コンチネンタル×自動運転」の取り組み
コンチネンタル社は自動運転領域において、積極的に技術開発や企業買収に取り組んでいる。
2016年には、3DフラッシュLiDAR開発を手掛ける米Advanced Scientific Concepts(ASC)、2017年にはネットワーク型ナビゲーション開発などを手掛けるシンガポールのQuantum Inventionsを買収している。
2019年9月にはドイツで開催された「フランクフルトモーターショー」で、ホイールやタイヤに関する次世代技術「Conti C.A.R.E.」(コンチ・ケア)を発表した。センサーによってタイヤの温度や溝の深さ、空気圧などを検知でき、自動運転タクシーでの使用を想定しているようだ。
【参考】関連記事としては「独大手コンチネンタル、センサー内蔵の次世代タイヤ技術を発表 自動運転タクシー向けも想定」も参照。
2020年5月には、パイオニアと自動運転車に搭載されることを想定した「統合コックピット」の開発で、戦略的パートナーシップを締結することを発表している。自動運転時代の車内空間の見据えた開発で、日本では2024年の実用化を目指すという。
【参考】関連記事としては「パイオニア、独コンチネンタルと「統合コックピット」で提携 自動運転時代見据え」も参照。
■【まとめ】自動運転領域に力を入れていることは明白
コンチネンタル社のこれまでの取り組みや今回発表された新たな人事を考えると、自動運転領域に力を入れていることは明白だ。今後も関連企業との連携や優秀な人材採用を加速させていくだろう。ペッツニック氏の手腕に期待したい。
【参考】関連記事としては「いざCASE対応!自動運転などメガサプライヤーの戦略まとめ」も参照。