Google系wamo(ウェイモ)が「自動運転タクシー」の商用サービスを世界で初めて開始してもうすぐ2年。アメリカのほか中国などでも商用サービスの提供に向けてさまざまな企業が実証実験に取り組んでいるが、それは日本も例外ではない。
最近では東京都の西新宿で2020年11月5〜8日にかけ、5G自動運転タクシーの実証実験が実施された。一般人を乗せて走行するという商用サービスさながらの取り組みだ。日本でも自動運転タクシーの商用サービスが始まる日が、刻一刻と近づいている印象だ。
この記事では商用サービスか実証実験かに関わらず、一般人を乗せて提供されている世界の自動運転タクシーの一部を紹介していこう。
■アメリカ:WaymoやMotionalなどが先行組
前述の通り、アメリカにおける自動運転タクシーといえばWaymoが有名だ。2018年にアリゾナ州で自動運転タクシー「Waymo One」の提供を開始し、2019年からセーフティドライバーすら乗せない形でのサービス提供も一部で開始している。
Waymo Oneは24時間365日利用できるほか、料金は目的地までの距離や時間を元にアプリに料金が表示される仕組みとなっている。まだ完全無人の車両は一部となっているが、明らかにこの分野で先行しているのはWaymoと言える。
ライドシェア大手と組んで自動運転タクシーを実現させているのが、韓国の自動車メーカー現代(ヒュンダイ)と米自動車部品大手Aptiv(アプティブ)の合弁会社であるMotional(モーショナル)だ。
2018年からライドシェア準大手の米Lyftと組んで、ラスベガスで自動運転タクシーの実証実験を実施している。ラスベガスではLyftのアプリから配車を依頼すると、運が良ければ自動運転の車両に当たる仕組みとなっており、一般人も利用できる形で運行されている。
【参考】関連記事としては「口コミ評価、驚きの4.97!Lyftの自動運転タクシーが超優良 乗車回数が5万回超え」も参照。
■中国:百度やAutoXなどが続々と一般客も対象に
中国でも自動運転タクシーサービスの実証実験が加速化している。例えばインターネット大手の百度(バイドゥ)は中国の湖南省長沙市で、一般向けの自動運転タクシーの提供をパイロットプロジェクト的に行っている。
百度は2019年からこの取り組みを一部ユーザー向けに実施していたが、2020年4月から一般にもサービス提供を開始し、現在は希望者は無料でこの自動運転タクシーを利用できる。無料であるだけにまだ「商用」とは言えないが、商用サービスとしての提供も近そうだ。
スタートアップ企業のAutoXも自動運転タクシーサービスを試験的に提供しており、2020年8月からは上海市内で一般客も乗せて試験に取り組んでいる。2020年中に「アジアのシリコンバレー」と呼ばれる深センも提供エリアに含める計画のようだ。
【参考】関連記事としては「自動運転タクシー、AutoXが上海で一般客にもサービス拡大 米中を股に掛けるスタートアップ」も参照。
■【まとめ】2021年もこうした自動運転タクシーのニュースが続々!?
話を日本に戻そう。西新宿で実施された実証実験では、自動運転ソフトウェアを開発するティアフォー、タクシー配車アプリを提供するMobility Technologiesのほか、損害保険ジャパン、KDDI、アイサンテクノジー、新宿副都心エリア環境改善委員会の6者により、遠隔型自動運転システムを用いた自動運転タクシーの実証実験が行われた。
今回の実証実験では高速通信が可能な5G回線を使うことにより、遠隔管理・監視の下、一部ルートでセーフティドライバーも乗らない「運転席無人」を実現していることが大きなポイントだ。2020年11月5~8日の短期間とはいえ、都心で車内無人の自動運転タクシーが走行したというインパクトは大きい。
アメリカ、中国、日本…。このほか、欧州や中東、ロシアなどでも一般客を乗せる自動運転タクシーが続々登場している。2021年もこうした自動運転タクシーのニュースが世界で続々と報じられる1年となりそうだ。
【参考】関連記事としては「無人タクシー(ロボットタクシー)完全解説!自動運転技術で走行」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)