自動運転、トヨタが中国企業で「巨額利益」 5年前に投資

出資先Momentaが上場へ



出典:Flickr / DennisM2 (CC0 1.0 : Public Domain)

トヨタ自動車が出資する中国の自動運転技術企業「Momenta(モメンタ)」が、香港証券取引所への新規株式公開(IPO)を申請した。

報道によれば、最大58億9,000万香港ドル(約7億5,100万ドル、日本円で約1,100億円)の資金調達を目指し、7月8日に上場する予定だ。


トヨタは2021年にMomentaへ戦略出資しており、Momentaの上場によって巨額の投資収益を得る可能性がある。

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■出資のきっかけは共同開発

両社の関係は2020年までさかのぼる。中国市場向けの自動運転技術を高度化するため、高精度3次元地図(HDマップ)の共同開発で提携した。HDマップは、自動運転車が自車位置を数センチ単位で把握するために欠かせない基盤技術だ。

その翌年の2021年3月、Momentaは総額5億ドルのシリーズC資金調達を実施。このラウンドでは、中国最大手自動車メーカーの上海汽車(SAIC)がリード投資家となり、トヨタとドイツの自動車部品大手ボッシュが戦略投資家として参加した。

当時、Momentaは調達した資金を研究開発や人材採用、実証データの収集に充てる方針を示していた。


■AI時代の勝敗を左右するデータを獲得

トヨタがMomentaへ出資した背景には、自動運転開発で最も重要とされる「走行データ」の存在があるとされている。

自動運転AIは、膨大な実走行データを学習することで認識精度や判断能力を高めていく。そのため、できるだけ多くの車両からデータを集められる企業ほど技術競争で優位に立つとされる。

Momentaは量産車向け先進運転支援システム(ADAS)を各自動車メーカーへ提供しながら、その車両から日々収集されるデータをAI開発へ還元する独自のビジネスモデルを構築してきた。同社はこの仕組みを「データフライホイール」と呼び、大量の走行データがAIを進化させ、そのAIがさらに高性能な製品を生み、より多くのデータが集まるという好循環を目指している。

■ソフトは68万台超で採用

Momentaは2016年に元Microsoft Researchの研究者の曹旭東(Cao Xudong)氏が設立した。現在は自社で自動車を製造するのではなく、自動車メーカー向けにソフトウェアを提供している。


同社のADASはステアリング操作、ブレーキ、車線変更、駐車などを支援するもので、2025年末時点では同社ソフトウェアを搭載した車両が68万台を超えた。顧客・提携先にはトヨタ、メルセデス・ベンツ、GM、BYD、アウディ、上海汽車など世界の主要メーカーが並ぶ。

■調達資金はAIとロボタクシーへ

今回のIPOで調達する資金の約60%はAI関連研究開発(計算基盤の強化、データ保存設備の拡充、エンジニアの採用など)に投入され、約20%はロボタクシー事業の商業化を加速するために使用される予定だ。

また、MomentaはUberと提携し、2026年にはアラブ首長国連邦・アブダビとドイツ・ミュンヘンでレベル4自動運転ロボタクシーの商用サービス開始を目指している。

■【まとめ】先行投資が実を結ぶ可能性

トヨタは早い段階からMomentaの技術力に着目し、中国市場での協業を進めるとともに資本面でも関係を深めてきた。今回の香港上場は、その先行投資の成果が市場で評価される重要な節目となる。

MomentaはIPO時点で約90億ドル規模の企業価値が見込まれており、トヨタにとっても保有株式の価値向上につながる可能性が高い。AI・自動運転分野への投資が将来の収益源となるかどうかを占う上でも、今回の上場は自動車業界全体から大きな注目を集めそうだ。

【参考】関連記事としては「自動運転、米国株式・日本株式の投資銘柄一覧」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
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