日本政府、税金で「ロボタクシー乗り場」整備か

モビリティハブの取り組みが加速



出典:首相官邸

自動運転タクシーをはじめとした自動運転サービスの乗降場所となるモビリティハブの設置が、今後各地に広がるかもしれない。

すでに一部では国の補助金を活用してモビリティハブ設置を進める動きも出ている。こうした取り組みが加速すれば、今後望ましい土地を税金で買い上げ新設する動きなども出てくるかもしれない。


次世代交通において、モビリティハブにはどのような役割・機能が求められているのか。その動向に迫る。

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■モビリティハブとは?

さまざまな交通手段の結節点

モビリティハブは、電車やバスなど複数の交通手段の拠点・乗降場所などを同一カ所に集約した交通結節点を指す。わかりやすい例は、駅前に設置されたバス乗り場やタクシープール、駐輪場などだ。多くの場合、まちは鉄道駅を中心に発展してきた経緯を有する。

バスやタクシーなどで駅へ向かい、あるいは駅からバスやタクシーで自宅などへ向かう。各モビリティの乗り換えをスムーズに行う拠点がモビリティハブだ。ただ、こうした従来のモビリティハブの多くは、単なる交通拠点として限定的に機能するに留まっている。

時代とともにさまざまなモビリティは登場し、シェアサービスも浸透してきた。今後、自動運転技術が確立されれば、モビリティはさらに多様化していくことが予想されるが、こうした未来を見据えてモビリティハブの在り方を見直す議論が活発化している。


人口減少時代を迎え、大都市への集約と地方の過疎化が進行する中、自動運転技術によりどのようなサービスが提供されれば利便性が増すのか。こうした点も踏まえ、モビリティハブを人が集まる拠点として都市計画と明確に結びつけ、単純な交通結節点としての機能に留まらずいかに利便性や公共性、商業性などを高めていくかが重要視されているのだ。

■モビリティハブに関する国の取り組み

デジタルライフライン全国総合整備計画でモビリティハブの整備を位置付け

国は、2024年6月策定のデジタルライフライン全国総合整備計画において、デジタル技術を活用して人口減少地域におけるインフラ維持を可能としながら、物流最適化のためのルート選定などを行い、各地域・事業者間の連携を図るため、人的プロセスを可能な限り省力化・自動化しつつヒト・モノの乗換・積替、モビリティの充電・駐車などに係るハブとして、モビリティハブの整備を必要とする方針を示した。

▼デジタルライフライン全国総合整備計画概要
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/digital_architecture/lifeline/keikakugaiyou.pdf

施設の新規創設は行わず、既存施設への機能追加を行うことを基本とし、新たなモビリティの移動に関する機能を追加する。その際、人的プロセスを可能な限り省力化・自動化することを目指すほか、個別の事業者のみの利用を前提としない協調的な利用が可能となるような整備・運営方法などを検討するとしている。


国交省らも早くに議論着手

一方、国土交通省は、2020年発行の道路政策ビジョン「2040年、道路の景色が変わる〜人々の幸せにつながる道路 〜」の中で、さまざまな交通モードの接続・乗換拠点となるモビリティハブが道路ネットワークに階層的に整備され、自動運転バス・タクシーや小型モビリティ、シェアサイクルなどのシームレスな利用が実現する未来に触れるなど、モビリティハブの再定義・再整備に向けた動きを見せている。

出典:国交省公開資料

▼2040年、道路の景色が変わる
https://www.mlit.go.jp/road/vision/pdf/01.pdf

同時期、スマートシティモデルプロジェクトにおいて、さいたま市が次世代シェア型マルチモビリティサービスとモビリティハブ実証に着手するなど、自治体の取り組みも出ている。その後のスマートモビリティチャレンジ事業においても同様だ。

また、国土交通省は並行して「まちづくりにおける駐車場政策のあり方検討会 需給マネジメントWG/施設デザインWG」をはじめ、「都市交通施策の再整理に関する検討会」「都市交通における自動運転技術の活用方策に関する検討会」「都市交通軸WG」「拠点エリアWG」など、さまざまな観点から都市交通の在り方について検討を進めてきた。

国交省としては、将来的な自動運転社会について、駐車場や待機スペースなどの空間を賑わい空間などの人中心の空間に転換していくなど都市を変えていく大きな契機と捉え、従来の交通結節点・交通拠点の在り方の検討を進めている。

多様な移動手段の結節点としての機能に加え、地域の居場所や賑わいを創出する拠点へと進化させ、ヒト中心の利便性の高い空間創出を図っていく方針だ。

超重要!自動運転技術を生かす都市構造、ガイドライン作成へ

小規模拠点を点在させる案なども

さまざまな考え方が錯綜しているが、拠点エリアWGでは、拠点エリアにおけるアクセス性や移動環境の向上の観点から、さまざまなモビリティにスムーズに乗り継ぎが可能な小規模拠点(モビリティハブ)がエリア内部や外縁部に点在していることが重要で、今後モビリティハブの重要性が高まっていくとしている。

▼第2回施設デザインWG事務局資料
https://www.mlit.go.jp/toshi/content/001718591.pdf

また、早稲田大学交通・都市研究室と公益社団法人日本交通計画協会、建設技術研究所による研究会は、日本版モビリティハブ「J-Hub」を提案している。マルチモーダルの強化、ノードの強化、都市の魅力づくりへの貢献を視野に、多様な交通手段の利用や乗り換え機能をはじめ交流・滞在、地域のコミュニティ形成、災害対応、生活サービスなどの機能を備えたパブリックスペースとして、都市内の適所にネットワーク化されたシステムを配置していく考え方だ。

将来、自動運転社会が到来した際、レベル4の交通手段が次世代公共交通と安全に接続したり、自動運転技術を用いた交通手段をシェアリングサービスに配置したりするなど、モビリティハブがその機能を発揮するとし、また、 住宅地側においても、個人の駐車場の代わりに共有の自動運転車両を待機させる場所が必要となり、それらは一定の生活圏域の中で分散して配置されることが望まれるとしている。

▼都市交通施策の再整理に係る論点整理と取組の方向性
https://www.mlit.go.jp/toshi/content/001992983.pdf
▼日本版モビリティ・ハブ「J-Hub」関連資料
https://www.jtpa.or.jp/custom_contents/cms/linkfile/mobihub_251226.pdf

正解なきモビリティハブ、自動運転時代を見据えた議論を

都市交通施策において、モビリティハブがどのような機能を有し、どのような課題解決が期待されるかなど基本的な事項が十分に整理されていない状況となっているようだが、さまざまなモビリティをスムーズに結節・連携させられる機能は絶対条件となる。

これまでは、鉄道網を中心に駅前でバスとタクシーが結節するハブが中心だったが、時代とともにレンタカーやレンタサイクル、カーシェアなどさまざまなサービスがスタンダード化している。賛否はあれども、電動キックボードシェアサービスも登場した。

自動運転技術が確立し量産効果などで運行コスト削減が進めば、無人化技術を背景にデマンド交通のようにきめ細かくルート設定可能な自動運転バスが増加し、自動運転タクシーもスタンダードなサービスとして実装エリアを拡大していくことが予想される。

徐々に自家用車は減少し、パーソナルな移動も自動運転サービスが担っていく時代が訪れるのだ。その際、さまざまなモビリティの乗り降りや乗り換え、待機などを行うモビリティハブが駅前などに限らずまちの至るところに設けられることが望ましい。

まちの中に複数の移動拠点が設定され、その各拠点を中心ににぎわいが創出される仕掛けがあればなお良しだ。移動サービスが充実すれば、駅前などに集中しがちな生活・商業空間を各モビリティハブ周辺に適度に分散・集約させることも可能になる。

土地を伴う再整備、あるいは新規整備となるため簡単ではないが、今後、議論の進展とともに時間をかけて各都市に新たなモビリティハブが設置されていくことになりそうだ。

国交省の最新事業でもモビリティハブ関連実証を募集

国土交通省は、「令和8年度 道路に関する新たな取組の現地実証実験(社会実験)」を2026年5月まで公募している。

社会的に影響を与える可能性のある道路施策の導入に先立ち、場所や期間を限定して当該施策を試行・評価し、新たな施策展開と円滑な事業執行を目的とするもので、同省道路局は「道路局指定型」として①脱炭素社会に向けたネットワーク型モビリティハブ構築に関する社会実験②道路空間の時間的・空間的な役割分担による有効活用に関する社会実験――など5つの取り組みを募集している。

①では、道路区域を活用して複数のモビリティハブやシェアモビリティポートを面的に配置し、公共交通などの連携による移動環境の改善を試行的に実施し、多様な世代の移動利便性の向上や地域内の移動行動の変化に関する効果および課題を検証する。

シェアモビリティなどの利用状況の変化を通じ、自動車利用の代替がどの程度生じているかを確認し、脱炭素に資する可能性について検証する。

②では、市街部の歩道や路肩などにおいて、移動可能な駐輪器具や車止めを活用し、一日を通した道路空間の有効活用に関する効果検証を行う。

例えば、日中は自転車をはじめとした多様なモビリティの駐停車スペースとして、あるいはまちなかの賑わいスペースとして活用し、早朝・夜間は沿道施設への物流向けの荷捌きスペースとして活用する。

または、市街部の荷捌きなどの駐車が多い路線において、地域を面的に捉えて別路線を活用することで自転車通行空間を確保し、道路空間の有効活用に関する効果検証を行う。カーブサイドの有効活用に通じる取り組みと言えそうだ。

久留米市などがモビリティハブの機能実証に着手

なお、同事業においては、令和6年度(2024年度)に栃木県・栃木県芳賀町が「芳賀・宇都宮LRTを基軸とした公共交通の利用促進(交通結節機能の高度化)による道路ストックを有効活用する社会実験」、令和7年度(2025年度)に福岡県久留米市が「宮ノ陣地区モビリティ・ハブ機能実証」を実施している。

出典:久留米市公開資料

芳賀町では、町の公用車を土日祝日に貸し出すカーシェア実証や、移動支援モビリティを通じて農業者トレーニングセンターを中心にモビリティハブとしての機能を検証したようだ。

久留米市は、生活支援交通整備事業として補正予算350万円を計上し、宮の陣駅周辺に 「モビリティハブ」を整備する社会実験を行っている。2カ年事業で、シェアサイクルなど多様な交通モードを配置し、新たな二次交通の導入可能性を検証する。

▼令和8年度 道路に関する新たな取組の現地実証実験(社会実験) 公募要領
https://www.mlit.go.jp/road/demopro/public_offering/r8/r8_youryou.pdf

スマートモビリティチャレンジでも川崎市や堺市が実証

なお、スマートモビリティチャレンジでは、神奈川県川崎市で「モビリティハブを活用した都市部におけるMaaSプロジェクト」が行われたほか、大阪府堺市南区でも「自動車ディーラーのモビリティハブ化に向けた新しいビジネスモデル検討事業」がそれぞれ2024年度に実施されている。

おそらく、地域の実情に沿った正解を模索する取り組みは今後も各地で行われていくものと思われる。自動運転バスやタクシーの実装が今後並行して進んでいくことを踏まえれば、自動運転バス・タクシーなどの乗降機能を有するモビリティハブを自治体が整備していくことも考えられる。

大都市や地方などまちごとにモビリティハブに求められる役割や機能は異なるが、20年、30年先の本格的な自動運転社会を見据え、アップグレード可能な形で構想・整備を進めていくべきなのかもしれない。

■【まとめ】民間事業者との協議などにも注目

モビリティハブに関する議論は継続して行われている。当面、さまざまなモビリティの拠点としてどのような立地にどのような形でインフラを整備するか、そしてにぎわい創出の拠点などの価値とどのように結びつけていくかが問われることになりそうだ。

自動運転タクシーの普及を見据えるならば分散型が望ましそうだが、こうした拠点を民間事業者とどのように設置していくか……などもポイントとなりそうだ。AMANEのように、ロボットタクシー×モビリティハブ構想に取り組む企業も存在する。

2026年度、モビリティハブ実証にどのような動きが出てくるのか、必見だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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