Waymoついにロンドンで自動運転テスト、日本は遅れ続けるのか

世界展開において重要な一歩



出典:Waymoプレスリリース

ロンドンの公道で、見慣れない車が走り始めた。屋根にLiDARセンサーを搭載したJaguar I-PACE。それがWaymo(ウェイモ)の自動運転車だ。Google(グーグル)の親会社・Alphabetが出資する自動運転の世界的リーダーが、2026年4月にロンドンで公道テストを開始した。

ロンドンは自動運転にとってハードルの高い都市だ。数百年の歴史が刻まれた入り組んだ街路、バスレーン、自転車専用道、世界最多規模 of 交通カメラネットワーク。そして右ハンドル・左側通行という米国と正反対の道路環境。そのロンドンでWaymoが動き始めたことは、自動運転の世界展開において重要な一歩となる。


そしてこの動きは、東京とも無関係ではない。右ハンドル・左側通行という共通の道路環境でWaymoが実績を積むことは、そのまま日本展開への技術的・規制的な布石になりうる。日本は世界に遅れを取っているのか。その問いに答えるために、ロンドンで起きていることを丁寧に読み解く。

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■ロンドンで約100台のJaguar I-PACEが走る

2026年4月14日、Waymo(ウェイモ)はロンドンでJaguar I-PACEを使った公道テストを開始した。。投入台数は約100台で、テスト範囲はロンドン市内の約100平方マイル(約260平方キロメートル)に及ぶ。現時点では安全担当者がハンドルの後ろに座る有人走行だが、これはWaymoが新しい都市に展開する際に毎回踏む「定石」のステップだ。

Waymoの共同CEOであるドミトリ・ドルゴフ氏はLinkedInへの投稿で「コアとなるドライビングAIは非常によく汎化している。自動運転テストはスペシャリスト同乗のもとで進行中で、ローカルのニュアンスを習得しUK道路でのパフォーマンスを検証しているライダーのみでの展開に向けた重要なステップだ」と語った。


Waymoは今回の公道テストに先立ち、社員が手動で走行して都市の地図データを収集する「マッピングフェーズ」を先行させていた。テスト対象エリアにはロンドン中心部のウェストミンスターやカムデン、東部のハックニーやニューアム、南西部のハマースミス、南東部のルイシャムなど広域の行政区が含まれ、サービス開始時には専用アプリで配車できる仕組みを想定している。

【参考】関連記事としては「Googleの自動運転、またバスを無視!直らない「欠陥」」も参照。

Waymoは英国で複数のAVサービスセンターを設立し、地元採用も進めており、緊急サービス機関との連携も構築中だ。

商用化の前提条件は英国政府の規制最終化

ただし2026年内の商用サービス開始には条件がある。英国政府が自動運転の試験運行に関する規制を最終化する必要がある点だ。英国では2024年に自動運転車に関する法律(Automated Vehicles Act)が成立しており、監督当局が商用運行のルールを策定中だ。Waymoのロンドン商用サービス開始はその承認プロセス完了を前提としている。


フリート運営はWaymoが米国・フェニックスでも起用している車両管理スタートアップのMooveが担当する。Mooveは車両の充電・清掃・整備を受け持ち、Waymoは自動運転システムの監視と技術運営を担う分業体制だ。これはWaymoがオースティンやアトランタでUberと組んだ共同運営モデルと同じアプローチで、Waymoが新市場に参入する際の標準的な座組みになっている。

■英国発のAIスタートアップWayveとUber・日産連合

Waymoがロンドンで直面するのは空白地帯ではない。すでに強力な競合が存在する。その中心がWayve(ウェイブ)だ。ケンブリッジ大学出身のAlex Kendall(アレックス・ケンダル)CEOが2017年に設立した英国発の自動運転AIスタートアップで、本社はロンドンに置く。

Wayveの特徴は「エンドツーエンドAI」アプローチだ。センサーデータから直接操舵・アクセル・ブレーキを出力するモデルで、伝統的な自動運転システムが持つ認知・判断・制御の分離モジュールを一つのニューラルネットワークに統合する。NVIDIAのDRIVE Hyperionプラットフォームを採用しており、同社は2024年までにMicrosoftを含む投資家から約10億ドルを調達した。

Wayve+Uber+日産がロンドンと東京の両方に布陣

2026年3月12日、Wayve・Uber・日産は三社間でMOU(基本合意書)を締結し、ロンドンに続いて東京でも2026年後半にロボタクシーのパイロット展開を目指すことを発表した。東京では日産リーフ(LEAF)をベース車両に採用し、WayveのAIドライバーを搭載してUberアプリから配車する仕組みを計画している。これはUberにとって日本初の自動運転パートナーシップとなる。

出典:wayveプレスリリース

つまりロンドンでは「Waymo対Wayve+Uber+日産」という構図が形成され、その対立構造は東京にも持ち込まれる。Wayveは2025年初頭からすでに日本国内でAIドライバーのテストを続けており、日産とも自動運転支援システムの共同開発で先行している。この英国発連合とAlphabet資本のWaymoが同じ都市で競合することで、自動運転の世界展開における実質的な「国際決戦」の場がロンドンと東京に同時に形成されつつある

■なぜロンドンが重要?右ハンドル・左側通行という「東京の先行実験場」

Waymoにとってロンドンが重要な理由のひとつは、道路環境の共通性にある。英国と日本は世界の中でも少数派に属する「右ハンドル・左側通行」の国だ。米国で鍛えたWaymoの自動運転システムは左ハンドル・右側通行を前提に設計されており、その設計を全面的に反転させる必要がある。ロンドンでその反転適応を成功させれば、同じ道路環境を持つ東京への展開に直接流用できる。

ロンドンの道路環境はそれ自体が高難度の試験場だ。歴史的に積み重なった入り組んだ街路、バスレーン、自転車専用「スーパーハイウェイ」、渋滞課金ゾーン、横断歩道のルールの違いなど米国の整然とした格子状道路とは根本的に異なる複雑さを持つ。WaymoのAIがこれらの「ローカルなニュアンス」をどこまで習得できるかが、英国・日本の両市場展開を左右する。

Waymoの英国拠点はオックスフォード

Waymoは今回が英国での初めての活動ではない。2019年にオックスフォード大学のコンピュータサイエンス学科発スタートアップ「Latent Logic」を買収し、英国に工学ハブを設立している。Latent Logicは模倣学習(イミテーション・ラーニング)を用いた自動運転シミュレーションの高精度化を専門とする企業で、この技術がWaymoの新都市適応能力の核となっている。7年間の英国拠点準備が、今回のロンドンテスト開始の基盤になっている。

■Waymoには米国11都市・1,400万回超の実績がある

WaymoはGoogleの自動運転プロジェクトとして2009年に発足し、2016年に独立した。Alphabetが筆頭株主で、2024年には56億ドルの資金調達を行い、2026年2月には160億ドルの追加調達を完了したと報じられた。現在、米国11都市でサービスを展開し、年間の有料乗車回数は1,400万回超、商用フリートは3,000台超に達する。

同社の展開戦略は一貫して「慎重な段階的展開」だ。新都市に入る際は手動マッピング→有人自動走行テスト→社員向け試乗→一般向け招待制→一般開放という段階を踏み、各ステップで数カ月〜数年をかける。アリゾナ州チャンドラーの限定エリアから始まりフェニックス都市圏全体へ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、オースティン、アトランタへと拡大してきた軌跡がそれを物語る。ロンドンで有人テストを始めた現在の段階は、この「定石」の第2ステップに当たる

■東京はどこまで来ているか

国内でも動きはある。Waymoは2024年12月に日本交通・GOと提携し、2025年4月から都内7区でマッピング走行を開始した。Wayve・Uber・日産の三社連合も2026年末の東京パイロット展開を目標に掲げている。

ただし現状はいずれも「データ収集フェーズ」にとどまり、乗客向けサービスの開始時期は未定だ。英国はすでに自動運転専用法(Automated Vehicles Act)を成立させ規制の枠組みが整っているのに対し、日本は2023年の改正道路交通法でレベル4走行を解禁したものの、ロボタクシーの商用展開に向けた許可スキームの整備はこれからの部分が多い。ロンドンの動向と比べれば、日本は一歩遅れていると見られても仕方がない。

■ロンドンとWaymoの挑戦が示す自動運転の「次の10年」

Waymoのロンドン進出は、ロボタクシーが特定地域のニッチサービスから、世界的な都市交通の選択肢へと変わろうとしていることを示す象徴的な出来事だ。米国以外で初めて、しかも右ハンドル・左側通行という異なる交通環境での展開は、Waymoの自動運転技術が「場所を選ばない汎用性」に向かって着実に進化していることを意味する。

東京でも2025年4月から公道マッピングが始まり、Wayve・Uber・日産の三社連合も2026年末のパイロット展開を目標に動いている。ロンドンの実績が東京展開の判断材料となる可能性は高く、ロンドンの状況から目が離せない。「日本は世界に遅れを取り続けるのか」というタイトルの問いへの答えは、2026年から2027年にかけての動向がはっきりと示してくれるだろう。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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