
日本初のレベル4自動運転サービスとして知られる福井県永平寺町の「ZEN drive」が、2026年度から当面の間サービスを停止すると発表した。
開発企業の一部が事業から撤退し、2025年度末で車両やシステムの保証・保守期間が満了することに伴う措置という。
ZEN driveの開発プロジェクトやサービスに何が起こったのか。こうした事案は他所の事業でも発生し得るものなのか。ZEN driveの取り組みを振り返ってみよう。
記事の目次
| 編集部おすすめサービス<PR> | |
| 車業界への転職はパソナで!(転職エージェント) 転職後の平均年収837〜1,015万円!今すぐ無料登録を | ![]() |
| タクシーアプリは「DiDi」(配車アプリ) クーポン超充実!「無料」のチャンスも! | ![]() |
| 新車に定額で乗ろう!MOTA(車のカーリース) お好きな車が月1万円台!頭金・初期費用なし! | ![]() |
| 自動車保険 スクエアbang!(一括見積もり) 「最も安い」自動車保険を選べる!見直すなら今! | ![]() |
| 編集部おすすめサービス<PR> | |
| パソナキャリア | ![]() |
| 転職後の平均年収837〜1,015万円 | |
| タクシーアプリDiDi | ![]() |
| クーポンが充実!「乗車無料」チャンス | |
| MOTAカーリース | ![]() |
| お好きな車が月々1万円台から! | |
| スクエアbang! | ![]() |
| 「最も安い」自動車保険を提案! | |
■ZEN driveサービス停止の概要
プロジェクトから一部企業が撤退
永平寺町によると、2026年3月末をもって自動運転車両とシステムなどの保証と保守の期間が満了することに伴い、4月1日以降の運行については当面の間運休するという。詳細や代替交通などについては触れていない。
福井新聞によると、車両を共同開発した一部のメーカーがレベル4プロジェクトから撤退することが背景にあるとしており、再開の目途はたっていないという。車両は産業技術総合研究所から町に無償貸与されていたが、開発メーカー数社の撤退により、車両やシステムの保証・保守を受けられる期間が2025年度末で切れるようだ。
これまで、冬期間の休止や無人駐車された自転車への接触などにより運行を中止したことはあったが、先を見通せない本格的な運休は初だ。どの企業がどういった理由で撤退するのか現時点で明らかにされていないが、他エリアにも影響が波及する恐れがある。
同じモデルの車両を使用している沖縄県北谷町の取り組み(美浜シャトルカート)を調べてみたところ、2025年度にヤマハ発動機製EVバスからマイクロバス・小型バスに切り替えられており、同エリアの無料周遊バスサービスは2025年度末で終了するようだ。

国の事業のもと産総研らが開発を進め、国内初のレベル4サービスとして名を馳せた事業に、何らかの異変が起こっていることは間違いなさそうだ。
■ZEN driveの概要
2016年度に実証スタート
永平寺町における自動運転の取り組みは、2017年(2016年度)にさかのぼる。産総研は経済産業省と国土交通省の平成28年度「スマートモビリティシステム研究開発・実証事業」の一環として「専用空間における自動走行等を活用した端末交通システムの社会実装に向けた実証」を行うこととし、石川県輪島市、福井県永平寺町、沖縄県北谷町の3エリアで小型電動カートの応用・開発事業に着手した。
2017年11月には、福井県と永平寺町、パナソニックの3者が「永平寺参ろーど」を活用した自動運転車両走行の実証に着手した。
パナソニックは、これまで社内の車両試験場などで自動運転技術の検証を重ねており、今回初めて公道に準じる環境で実証を行う運びとなった。

参ろーどは、えちぜん鉄道の永平寺口駅と大本山永平寺を結ぶ全長約6キロの町道で、京福電気鉄道永平寺線の廃線跡を町が遊歩道として整備したもの。自動運転実証実験用のオープンラボと位置付け、整備を進めている。
2018年3月からは、産総研が小型電動カートを用いて遠隔監視・操作技術と自動走行技術を組み合わせた遠隔型自動走行システムとなる端末交通システムの社会実装に向けた技術実証を行っており、4月には1人の遠隔ドライバーが1台の自動運転車両を運用する遠隔型自動走行の実証に着手した。
この時点での協力企業・団体は、ヤマハ発動機、日立製作所、慶應義塾大学SFC研究所、豊田通商などで、端末交通システムの研究開発と実証を進めてきたようだ。同年11月には、遠隔ドライバー1人による2台の車両の遠隔型自動運転実証に着手している。運行には、地元のまちづくり会社ZENコネクトも関わっている。
2021年3月にレベル3運行を開始
2020年12月には、遠隔型自動運転システムによる無人自動運転移動サービスの試験運行を開始した。レベル2相当の3台の無人自動走行車両を常時監視・操作する移動サービスだ。
翌2021年3月には、遠隔監視・操作型の自動運行装置を備えたレベル3車両として国内で初めて国土交通省から認可を受け、本格運行を開始すると発表した。
センサー類を改修・追加するなど車両の高度化を図り、遠隔監視・操作型の自動運行装置を備えた車両として認可された。公道走行に必要な手続きを経て運行体制を整え、3月25日にレベル3による本格運行を開始した。作動継続困難な場合を除き、遠隔監視センターの運転者が常時監視することなく運行することを可能にしている。
【参考】関連記事「誘導線を使う自動運転レベル3で移動サービス!福井県永平寺町でスタート」も参照。
2023年5月にレベル4へ移行
産総研は2022年度、経済産業省・国土交通省の「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業(自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実証プロジェクト」を幹事機関として受託し、ヤマハ発動機、三菱電機、ソリトンシステムズとともに研究開発を進めた。
遠隔型自動運転システムはさらなる高度化を果たし、2023年3月に遠隔監視のみのレベル4の自動運行装置を備えた車両として国内で初めて認可を受けた。
同年5月には、道路交通法に基づく特定自動運行に係る許可を福井県公安委員会から受け、国内初となるレベル4サービスへの道を拓いた。車内にも遠隔地にも運転者がいない状態での運行だ。
特定自動運行主任者が3台を運行する計画で、常時遠隔監視をする必要がなく、車両が不具合などで自動停止した後に対応を行う形となる。有事の際などは、現場措置業務実施者が現場に駆け付ける体制となっている。
【参考】関連記事「自動運転、日本でのレベル4初認可は「誘導型」 米中勢に遅れ」も参照。
低コスト型自動運転システムを構築
永平寺町で使用されている自動運転車両は、ヤマハ発動機の7人乗りグリーンスローモビリティをベースに改造したモデルだ。LiDARは非搭載で、障害物を検知するステレオカメラやミリ波レーダー、超音波ソナーのほか、路面に埋設した電磁誘導線を利用している点がポイントだ。
自動運転を可能とするODD(運行設計領域)は、参ろーどの南側一部区間(永平寺町荒谷~志比門前間の約2キロ)で、時速12キロ以下、周辺の歩行者などを検知できない強い雨や降雪による悪天候、濃霧、夜間などでないこと、路面が凍結するなど不安定な状態でないこと、自車が電磁誘導線上にあり検知可能な磁気が存在すること――などを条件としている。
低コストでレベル4を実現することに特化した仕様と言える。安価な車両に最低限の構成で自動運転を実現するスペックにより、低速限定でレベル4走行を可能にしている。
過去には自転車接触事案も
レベル4サービス開始から約5か月後の10月に、駐輪中の自転車と接触する事案が発生している。対向車とのすれ違い待避所付近で、車両左前のバンパーと駐輪していた自転車の右ペダルが接触したという。
無人の自転車を認識するための事前学習データが不十分で、前方カメラでは自転車の真後ろしか見えず、認識するための面積が小さかったため認識できなかったとしている。
厳しい言い方になるが、この水準では一般車道を走行するのは厳しい。同サイズ、もしくはそれ以下の別の障害物があった場合、認識できない可能性を示唆しているためだ。
開発勢はこの事案を受け、検知の難しい向きを含めた無人の自転車の画像を追加学習するなど前方カメラの認識性能向上を図ったとしているが、そもそもこうした学習は日常的・継続的に行っていなければならず、手を抜いていればそのうち他社に淘汰される。継続的な進化に向け、どのような開発体制が敷かれていたのか気になるところだ。
【参考】関連記事「自動運転、一気に事故リスク露呈 日本初レベル4が運行中止、米国でもGMに停止命令」も参照。
継続性ある開発体制がカギ
開発体制に言及したのは、この永平寺町における自動運転サービスがほぼ国策プロジェクト化していたためだ。国の事業(補助)と産総研のもと、長きにわたり研究開発を続けてサービスに辿り着いたが、サービス開始後、いつまでも国の補助が付くとは限らない。
国の支援があるうちに汎用性を高め、ビジネスとして自立できる体制を構築すべきところだが、そうした取り組みとなっていたのか。
一部企業が撤退した今回のケースの要因は不明だが、国内の多くの取り組みが国の補助ありきとなってはいないか。
単体黒字化はしばらくの間厳しいのも事実だが、ビジネス性を見出せず永平寺町のように事業撤退……といった動きがほかに出ないとも限らない。
また、実証時は複数企業が関連することは珍しくないが、その体制のままサービス化すると、何らかの理由で一社が抜けた場合に代替を利かせにくいケースが必ず出てくる。永平寺町のケースはまさにこうしたものと思われる。
自動運転バスは、自動運転タクシーと比べ規模のメリットを発揮しにくく、事業が完全に軌道に乗った後も黒字化を図りにくい点がある。自治体を交え、10年20年先を見据えた体制作りが肝要となりそうだ。
■【まとめ】継続的な開発・サービス体制の構築が重要に
今のところ、どの企業がどういった理由で撤退したかは公表されておらず、続報を待つほかない。今後、他の企業の新規参加などでリカバーできるのかなど、非常に気になるところだ。
要因によっては、今後他所の取り組みでも発生し得る課題として捉えなければならない。やっとの思いで実現したレベル4が休止に追い込まれるのはいたたまれない。関係各社、自治体、そして国も、継続的な開発・サービス体制の構築に今以上に留意して取り組むことが求められることになりそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転、日本政府の実現目標・ロードマップ一覧|実用化の現状解説」も参照。













