チームみらい、テスラに「自動運転分野」で支援要請か

安野氏が「5年後にどこでも」方針



出典:チームみらい公式サイト/出典:Dunk / flickr (CC BY-SA 2.0 DEED)

チームみらいを率いる安野貴博党首が海外メディア向けの会見で自動運転施策に言及し、「5年以内に日本中どこでも自動運転で行くことができる社会の実現」を目指す方針を掲げた。

これまでの政府目標を上回る野心的な目標と言えるが、実現のハードルは相当高い。「どこでも」ということは、エンドツーエンド(E2E)の自動運転を念頭に置いている可能性が考えられるが、実現には米テスラのようなアプローチが必要だ。


テスラでさえ5年で実現できていないことを踏まえると、一から開発を推進するのでは間に合わない。それこそ、テスラの手を借りるくらいのロケットスタートを切らなければならないように感じる。

安野氏はどのような絵を描いているのだろうか。会見内容を紹介しつつ、E2E開発の国内動向に迫る。

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■チームみらい・安野氏の会見概要

AIやロボット、自動運転といった先端産業に積極的に投資

安野氏は2026年3月5日、日本外国特派員協会で会見し、チームみらいの施策などについて説明・質疑を行った。

この中で安野氏は「未来のために大胆に投資する。限られたパイの再分配ではなく、パイ自体を大きくする取り組み、すなわち日本経済を再び成長の軌道に乗せるため大胆な投資を進めていく。今の日本は広大な国土や天然資源はなく、人口を増やしていくことを原動力に成長していく国ではないが、世界に誇る科学技術の蓄積とそれを支えてきた教育機関の実績がある」とし、「これから急速に発展していくだろうAIやロボット、自動運転といった先端産業に積極的に投資をしたり、規制緩和をしたりすることを通じて日本の経済成長を実現する」と方向性を示した。


5年以内に自動運転でどこでも行くことができる社会に

続けて、「特に自動運転については、5年以内に日本中どこでも自動運転で行くことができる社会を目指している。自動運転は単なる便利な技術ではなく、過疎地域の交通問題や高齢者の移動の制約、ドライバー不足といった問題の解決、物流の危機といった日本が直面する課題を同時に解決し得るような国家戦略的な技術」と評し、「サンフランシスコや深センなどではすでにロボタクシーの事業者が営業開始している。技術的に実現可能なものであり、かつ日本をけん引してきた屋台骨でもある自動車産業をさらに発展させる機会としても全力で取り組むべきと考えている」と自動運転産業の推進に意欲を見せた。

「19世紀には鉄道の線路、20世紀には全国に広がるアスファルトの道路を整備してきた。21世紀の今、国として自動運転で国内どこでも移動できるようなインフラを整備すること、これが国がやるべきこと。また、大学への運営費交付金の拡充をはじめとする科学技術投資への強化も強く訴えていく。科学技術への投資をしっかりと進め、先端産業の成長を促進していく」と話した。

「どこでも」はやはりE2Eモデル?

社会課題の解決や新産業創出の観点から、自動運転に期待を寄せているようだ。民間ではなく政府目標として捉えると、「5年以内に日本中どこでも自動運転で行くことができる社会」の実現は非常に野心的となるが、AIに精通している安野氏だけに勝算もなく口にするとは思えない。


具体策は明示しておらず、頭の中にどのようなロードマップを描いているのか、非常に気になるところだ。

「どこでも」をどう解釈するかで方向性は異なってくる。例えば、従来のルールベースを念頭に、高精度3次元地図を一般道を網羅する形でくまなく作製する――というのも、デジタルインフラによってどこでも自動運転を可能にする下地を整えると言えなくもない。ただ、整備にかかるコストや手間、そして将来性を踏まえると、現実的な路線とは言えない。

そう考えると、やはりエンドツーエンド(E2E)の社会実装が有力視される。詳細は後述するが、E2Eであれば高精度3次元地図の整備は不要で、車載カメラなどの映像をもとにAIが自ら判断を下すため、「どこでも」自律走行を可能にする。「どこでも」=E2Eと考える方が自然だ。

ポイントは、国として民間のE2E開発をどのように推進するのか――という点だ。国内でもE2E開発は加速の一途をたどっているが、目標達成に向け国として開発事業をどのように支援し、どのように実装に結び付けていくかが重要となる。

民間の開発力に依存する面が大きいため、場合によってはテスラのような国外先行勢に頼らざるを得なくなる……といった可能性も否定できない。

目標達成に向け、どのようなアプローチを図っていくのか、安野氏の施策に注目したいところだ。

【参考】関連記事「チームみらい、公約で「自動運転特区」掲げる」も参照。

チームみらい、公約で「自動運転特区」掲げる

■E2Eの概要と国内動向

ルールベースはマニュアルありき

従来のレベル4相当の自動運転車は、カメラやLiDARなどの車載センサー情報や事前に作製した高精度3次元地図など、あらゆる情報を統合して自律走行の精度を高めている。

道路交通ルールや注意点、周囲の歩行者や車両の特徴など、「○○の場合は××せよ」といった形で、自律走行に必要となる要素を一つひとつ細かくプログラムしていく手法だ。一般的に、周囲の物体検知・認識や高精度3次元地図、判断、ルートプランニングなど、それぞれ独立したAIを使用し、これらを統合して自動運転を実現する。

いわばAI向けに分厚いマニュアルを作成し、マニュアルに従って走行することで安全性を確保する仕組みと言える。マニュアルに従う限り正確な走行を行うことができる反面、想定外のシチュエーションへの対応は苦手で、新規エリアでは、高精度3次元地図の作製や固有の道路状況の把握・学習などを改めて行う必要がある。

E2Eは自ら体験して学ぶ

一方、E2EはAIがセンサー取得情報をもとに直接認識・判断を行うシンプルな構成となる。人間にマニュアルを用意してもらうのではなく、自らの判断が正しかったかどうかを採点してもらい、試行錯誤を続けて改善していく手法だ。判断が正しければ+1点などの報酬を与え、この報酬を最大化するようAIが取り組むことで正しい判断を学んでいくのだ。

ルールベースに比べ人間が関与する部分が少なく、AIが自力で精度を高めていくのを待つことになるため、完成までに相当な時間と経験を要する。しかし、自ら学んでいるため応用力が身につき、初見のシチュエーションでも類推能力を働かせて対応する。

つまり、初めて走行する道路でも自動運転が可能となるため、「どこでも」自律走行を行うことができるのだ。開発難易度は非常に高く、2020年以前は「実現は無理」「実現は2040年以降」などと言われていたが、生成AIに代表される著しいAI高度化により道が拓かれたようで、開発各社の多くがE2E開発に移行している。

自動運転モデル「ルールベース」「E2Eモデル」とは?

Turingやティアフォーが意欲示す

国内では、Turingを筆頭に、ティアフォーや自動車メーカーらもE2E開発に着手している。Turingは2021年の設立時からE2E開発を進めており、「テスラ超え」をスローガンに掲げ2030年までに完全自動運転の実現を目指している。安野氏の目標とも一致するため、動向に注目が集まるところだ。

ティアフォーもE2E開発にシフトしつつあるようだ。ルールベースでレベル4相当の技術を確立済みだが、2024年に生成AI開発に着手し、実世界の運転行動の常識を模倣できる大規模世界モデルを構築することでE2Eを実現するとしている。

自動車メーカーでは、トヨタ中国市場において、提携するMOMENTAと共同開発したE2E AI方式のADASの実装を開始している。レベル2相当のNOA(Navigation On Autopilot)となっているようだ。

ホンダは、教師なし学習を活用したE2E開発を手掛ける米Helm.aiとパートナーシップを結んでおり、同技術を活用した次世代ADASを2027年ごろに展開する計画を発表している。

日産と提携する英WayveもE2E開発に専念しており、日産は2027年度に同社のAIを採用した次世代「プロパイロット」搭載モデルの国内販売を開始する予定としている。

トヨタやホンダ、日産の取り組みはあくまでADASだが、E2Eを採用することで一般道を含む広範囲でレベル2+を実現することができる。現在のテスラの水準だ。

この「どこでもレベル2+」の実現は、「どこでも自動運転」の行方を占う上で重要なマイルストーンとなり得る。計画通り2027年ごろにどこでもレベル2+が実装されれば、2030年のどこでも自動運転も現実味を帯びてくるはずだ。

国内各社の開発動向に改めて注目したいところだ。

ついに自動運転に「巨額の孫マネー」流入か!英Wayveに大興奮

■【まとめ】まずはE2Eレベル2+の動向に注目

安野氏がどのような絵を描いているのかが気になるところだが、足元では自動車メーカーによるE2E ADASの開発が進められており、この開発状況から5年後のE2E自動運転の実現可能性を占うことができそうだ。

まずは、各社がマイルストーンに設定する2027年に一般道におけるレベル2+が実現するかに注目したい。また、政府としてどのような支援ができるのか、施策面の動向にも引き続き注目だ。

【参考】関連記事としては「自動運転レベルの定義【0・1・2・3・4・5の解説表付き】」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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