
自動運転の実用化が大きく前進した2025年。先行開発勢の動向を見ていると、黎明期を抜け拡大フェーズに入った印象を強く受ける一年となった。
拡大フェーズにおいては、さまざまな自動運転関連ビジネスも成長を遂げ始める。自動運転ラボが2025年に業界内を見渡し、「秀逸!」と感じたアイデアを「自動運転ビジネス アイデア賞2025」として、5つ紹介していこう。(記事監修:自動運転ビジネス専門家 下山哲平)
記事の目次
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■「土地活用」で稼ぐ
自動運転タクシーには待機場所が必須?

自動運転車、とりわけ自動運転タクシーには必須となるインフラがある。待機場所となる駐車場だ。ドライバーレスの自動運転タクシーは流し営業ができず、柔軟に駐停車して時間をつぶすことが難しい。
次から次へと配車依頼が殺到して待ち時間がなければ問題ないが、通常は待機時間が発生する。有人タクシーのように流し営業を行ったり、駅前のタクシープールで客を待ったり……といった行為を無人車両は行うことができず、待機中の行き場がないのだ。
これが一台や二台程度ならばどうにでもなりそうだが、タクシーとしての性質上、数十台、大都市部では数百台規模のフリートを用意することも珍しくない。数十台クラスの自動運転タクシーが行き場を失い、まちなかに溢れかえるのは渋滞や事故の要因となるため、好ましくない。
そのため、サービス提供エリア内に待機場所となる駐車場が必要になるのだ。できれば複数カ所に分散していることが望ましい。待機中は専用駐車場内で停車しており、配車依頼があれば即座に出動するイメージだ。なるべく早く利用者のもとに駆け付けられるよう、サービス提供エリア内に分散する形で駐車場があるのが望ましい。充電設備も備わっていれば、待機中にエネルギーも補給できる。
こうした駐車場が自動運転タクシーには求められる。米国では、Waymoが数百台規模のフリートを運行しているサンフランシスコにおいて、住宅建設予定地などに次々とWaymoの駐車場・充電ステーションが建設されているという。
東京をはじめとする日本でも、近い将来こうした動きが活発化する可能性がある。まとまった駐車場ではなくとも、ホテルやショッピングスーパー駐車場の一角でも良い。こうした需要を見越し、土地活用で自動運転にアプローチするのも面白そうだ。
【参考】関連記事「自動運転車向け「充電基地」、サンフランシスコの土地運用で人気化」も参照。
■「情報提供」で稼ぐ
AI学習用データがビジネス化?

自動運転開発企業に情報・データを提供するビジネスも今後注目が高まりそうだ。最もわかりやすいのは、AI学習用の走行データだ。
自動運転開発においては、公道走行をこれでもか……というほど繰り返し、あらゆる走行環境データを収集する必要がある。走行環境は、同じ道路、時間帯でも周囲の交通参加者や天候などさまざまな要素により大きく異なる。二度と同じ場面は存在しないのだ。それゆえ、シミュレーション環境を含め、あらゆるシチュエーションに対応できるよう走行を積み重ね、データを収集し続けるのだ。
こうしたデータセットは、すでに有料公開されるなどビジネス化が始まっている。また、開発企業自らが業界全体の開発を促進するため無料公開することもある。
一般的な走行データの価値はもはやそれほど高くないとも言えるが、海外進出するケースなど、異なる交通環境下におけるデータに価値が見出されることもあるだろう。
レアケースのデータは価値が高い?
特に、滅多にないシチュエーション=レアケースのデータは高い価値が認められる可能性がある。例えば、動物の飛び出しや落下物、飛んできたビニール袋、緊急車両、雹、馬車との遭遇、珍しい形状の信号機、特殊な踏切、交差点などだ。
こうしたレアケースは遭遇することは少ないためデータが集まらず、自動運転システムが苦手としていることも珍しくない。滅多に遭遇しないからといって放置していれば、いざという時に対応できず、事故・トラブルの要因となる。その都度手動介入するようではレベル4として不完全となる。質の高いレベル4を目指す開発事業者であれば、高値でもこうしたデータを欲するかもしれない。
すでに面白い動きも出ているようだ。AIを活用した警備業関連システムの開発を手掛けるKB-eyeは、交通誘導の人員を無人化するため、道路交通現場など警備・誘導が必要なシーンのデータを収集している。このデータを自動運転開発事業者に提供する用意ができているという。YouTube番組「REAL VALUE」で、ホリエモンこと堀江貴文氏も絶賛していた。
希少性の高いレアケースほどデータの価値は高まる。こうした点に着目したビジネス展開も興味深いところだ。
【参考】関連記事「ホリエモンが「8文字」で称賛した自動運転ビジネスとは?」も参照。
■「配車」で稼ぐ
サービス浸透後は配車プラットフォームが重要に

自動運転サービスの多くは、各ソリューションを利用者(エンドユーザー)に提供することによって成り立つ。この領域に関しては、自動運転開発事業者よりも専門事業者の方がUI・UXを高められるケースが多い。
自動運転開発事業者の専門はあくまで自動運転開発であり、こうした点に長けているとは限らない。配車アプリなども作れるが、ユーザーサイド側の視点に立って利便性の高いものを作れるとは限らない。
また、バスやタクシーなどの交通サービスの内情に精通しているとも限らない。どの場所、どの時間帯に需要が高まるかなどの予測も一から積み重ねていく必要がある。
Waymoの「Waymo One」、百度の「Apollo Go」のように、自動運転開発事業者の多くは自社ブランドとして自動運転配車サービスを手掛けているが、これは黎明期特有のものと言える。自動運転サービスは特殊な存在であり、開発事業者の意向で独占することができるためだ。競合も多くなく、それゆえ直営サービスとして成立するのだ。
しかし、業界の成長とともにそのサービスは希少性を失い、サービスそのものに質が求められることとなる。
そこで注目度が高まるのが既存の配車プラットフォーマーだ。すでに多くの顧客を有し、UI・UXも優れている。自動運転配車サービス、つまり自動運転タクシー系との相性が非常に高いのだ。かつてUber TechnologiesやLyftが自動運転技術の自社開発を進めていたのも、こうした未来を見据えていたからだ。
Uber Technologiesは自動運転開発事業者とのパートナーシップにかじを切り、WaymoやAvride、Aurora Innovation、Motional、Nuroなどとビジネスを進めている。Waymoの自動運転タクシーは、2025年にサービスインしたアトランタとオースティンにおいてUber Technologiesのプラットフォームを採用している。今後、自社プラットフォームからの転換を加速していく可能性が考えられる。
Nuroとのパートナーシップでは、進行EVメーカーのLucid Motorsの車両にNuroの自動運転システムを統合し、自動運転タクシーとして導入する計画を発表している。
各社の自動運転技術が一定水準に達し、当たり前のようにレベル4サービスを提供可能な時代が到来した際、そのサービスの良し悪しを左右するのはこうしたプラットフォーマーだ。日本国内の配車サービスは「GO」が圧倒的強さを誇っているが、自動運転時代、Uber TechnologiesやDiDiなどとの競争がいっそう加速するのかもしれない。
■「清掃」で稼ぐ
無人ゆえの盲点?清掃需要が増すことに?

ナイジェリア発スタートアップのMooveは2024年12月、Waymoとのパートナーシップを発表した。Waymoの自動運転フリートのシームレスな運用を保証し、車両運行や施設、充電インフラの管理を行うとしている。
この提携には、円滑な運行サポートのほか車両の清掃などの業務も含んでいるという。自動運転車においては、この車両の清掃需要が大きく増す可能性が高い。
ドライバーレスの自動運転車は、車内を随時管理する人がいなくなる。不特定多数が乗車するサービス車両であれば、言い方は悪いが車内は汚れ放題となる。明らかな汚れを取り除く人も、徐々に溜まっていく埃を取り除く人もいないためだ。客の忘れ物も放置状態となる。
車外も、タイヤに異物が挟まっていないかなど確認する必要がある。ドライバーがいれば走行中の異変で気付くことができるが、自動運転車では客が不快な思いをするだけだ。ボディの汚れも蓄積していくと印象が悪くなる。
自動運転車は、既存のサービス車両同様日常的に管理・メンテナンスする必要があるが、その管理をこまめに行う人がいない。そのため、清掃などの需要が増すのだ。
クルマのクリーニングを専門とする事業者は既に存在し、出張車両清掃などの事業展開も行っているが、自動運転時代にはクリーニング需要が増し、業績アップのチャンスが訪れるかもしれない。
【参考】関連記事「Googleのロボタクシー、アフリカ企業が「清掃業務」の契約獲得」も参照。
■「広告」で稼ぐ
車内広告ビジネスもブラッシュアップ

Waymoの未公開のプライバシーポリシーの草案を米国の研究者が発見した。「乗客の識別情報と関連付けられた車内カメラデータ」を使用し、生成AIの訓練を行っているという。その上で、「機能の向上や分析、およびお客様の関心に合わせた製品、サービス、広告、オファーを提供するためにデータを共有する場合があります。ただし、サービスの運営に不可欠な場合を除き、第三者との情報共有をオプトアウト(拒否)することができます」とされていたという。
Waymoの広報担当者は「Waymoのプライバシーポリシーに変更を加えるものではなく、むしろ乗客が『機械学習』の訓練目的でのデータ収集を拒否する機会を提供するもの」としており、乗客の意思でデータ収集を免れることもできるようだ。
乗客の識別情報を収集するのは、需要予測の観点や安全確保の観点から理解できるが、広告にも結び付けようとしている点に注目したい。グーグルの広告ビジネスとの連動など、ポテンシャルは相当大きい。
日本のタクシー業界では、キャッシュレス決済の導入とともに車内に設置されたタブレットによる広告配信がスタンダード化している。移動時間を活用した収入源の一つだ。タクシーはもともと、車外のラッピング広告や車内の紙媒体の小型広告など、古くから広告業と結びついてきた。
タブレットを活用したデジタル広告においては、ターゲットとなる客層の識別情報が増えれば増えるほど訴求効果を高めることができる。男女別や年代などだ。移動時間を活用し、移動場所や移動先に応じた広告をパーソナライズする形で提供できれば、非常に有効な広告サービスとなる。
特に重要な点は、自動運転タクシーにおいては、必ず行き先と予定到着時間がデジタルデータとしてセットされるため、全ての乗車において行き先が判明しているということだ。この点は従来の手動運転のタクシーとの決定的な違いであり、行き先や到着時間に最適化させた広告を打つという、これまでにない新しいターゲティング広告の手法が誕生する可能性を秘めている。
現在でも「今いる場所」に連動した広告は打てる。例えば、渋谷から乗った人に渋谷界隈の広告を出す……といったように。ただしその乗客は、渋谷から一定程度離れた場所にタクシーで移動するかもしれず、その場合は、その人に対して、渋谷にフォーカスした広告を出してもほとんど意味がない。
つまり「今からどこに向かうのか?」が分かるということは、これまでにない鋭いターゲティングを可能にする余地が生まれるということだ。
個人情報保護・プライバシー保護の観点から、車内カメラで顧客情報を取得したり、位置情報と紐づけたサービスを行ったりするには客の理解が必要となる点に注意が必要だが、自動運転時代、AIコンシェルジュが乗客に営業・提案する場面などが増えるかもしれない。
【参考】関連記事「Googleの自動運転車、広告最適化へ「乗客向けカメラ」設置か」も参照。
■【まとめ】日本市場も自動運転タクシー実用化で新たなフェーズに
日本では無人の自動運転バスが数台実用化された段階に過ぎないが、自動運転タクシーが実用化されれば新たなフェーズを迎えることになる。自動運転車の台数が飛躍的に増していくためだ。
いまいち情報が不鮮明な中国の動向も気になるところだが、Waymoを筆頭とする米国の動向などを参考に、数年先の日本市場を見据えたビジネスに早期着手し、商機をしっかりととらえたいところだ。
【参考】関連記事としては「自動運転ビジネス専門家・下山哲平が語る「桶屋を探せ」論 結局「自動運転」は儲かるのか」も参照。












