自動運転タクシー(ロボタクシー)の市場規模は、2030年までに986億ドル(約14兆8,000億円)に達するという市場調査が発表された。2023〜2030年のCAGR(年平均成長率)は65%と、驚異的な伸びを見せるようだ。
このレポートを発表したのは、市場分析を行いエビデンスに基づいた成長戦略を提供する民間市場調査会社SNS Insiderだ。インドに本社を置く同社は、今回ロボタクシーの市場規模のほか、シェアや自動化レベル、推進力、コンポーネント、各地域においての分析を行い、その結果を報告している。
■ロボタクシー市場は2030年に986億ドル規模に
調査によると、ロボタクシーの市場規模は2022年の17億6,000万ドル(約2650億円)から、2030年には985億9,000万ドルに達すると予測されている。この分野は、技術革新や高度な機能に対する消費者需要の増加、世界的な自動車産業の拡大により、継続的な成長が見込まれているという。
ロボタクシーは、ラストワンマイルの課題解決や交通事故削減、輸送効率の最適化などを目的に、近年開発が進んでいる分野だ。この市場は、急速な都市化や交通渋滞の増加、持続可能な代替交通手段への世界的なシフトなどにより、著しく成長しており、自動車メーカーのほかテクノロジー企業や自動運転ソリューションの開発企業など、幅広い企業が参入している。
■ロボタクシー業界を牽引する10社は?
このダイナミックな成長を先導する主要プレーヤーとして、10社挙げられている。まずはGoogle系Waymo、GM傘下Cruise、EV(電気自動車)大手テスラ、ライドシェア大手Lyft、Uber Technologies、自動車メーカー大手フォードといった米国勢だ。
そのほか、ドイツの自動車メーカー大手ダイムラー、フォルクスワーゲン、スウェーデンに本拠を置くボルボ・グループ、そして日本からは日産自動車がキーとなる企業として並んでいる。トヨタが含まれていないのは、やや気になる点だ。
この10社のうち、WaymoとCruiseはすでにロボタクシーを実用化済みだ。UberはWaymoと組んで、ロボタクシーの配車が可能になったことを2023年10月に発表した。またテスラのADAS(先進運転支援システム)である「Autopilot(オートパイロット)」は、いずれ自動運転を実現するためにソフトウェアアップデートを何度も行っている。
■開発速度は地域によって異なる
ロボタクシーの導入状況は、規制やインフラなどの整備、ユーザーとなる市民の受け入れ体制などによって、国や地域で大きく異なる。米国では、Waymoやテスラなどが市場をリードしている。欧州では、持続可能な交通手段のソリューションの1つとしてロボタクシーを推進する傾向があり、自動車メーカーと新興テクノロジー企業のコラボレーションが進んでいるという。
またアジア太平洋地域においては、特に中国や日本などで技術革新と政府の前向きな取り組みが急速な成長を後押ししている。
■日本でも自動運転タクシーサービスが始動予定
レポートではロボタクシー市場は、自動運転車に対する社会受容性の高まりと効率的な都市交通ソリューションの必要性により、今後数年間で大きく成長するとしている。この市場における主要企業は、高度なセンサーや機械学習アルゴリズム、リアルタイム通信技術といった自動運転システムの研究開発に多額の投資を行っている段階にある。
米国や中国ではすでに街なかを走っているロボタクシーだが、今後世界各地で見られるようになるのだろうか。日本でも、GMやCruiseと協業するホンダが、3社で共同開発した自動運転専用車両「クルーズ・オリジン」を用いた自動運転タクシーサービスを2026年にも東京都心部で開始することを発表済みだ。
ロボタクシー分野はレポート通り今後急成長していくのか。引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転車の市場調査・レポート一覧」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)