自動運転タクシー、「苦情の98%」がGM関連 米オースティン

「ニアミス」に関する苦情がトップ



出典:GM Cruise公式サイト

米テキサス州オースティンではドライバーレスの自動運転タクシーサービスが展開されているが、自動運転車に対する苦情が多く寄せられているようだ。2023年7月以降、同市の交通局には43件の苦情が寄せられているという。米メディアが報じている。

そのうちの1件を除く全ての苦情が、米GM傘下のCruiseに関するものだったという。43件中42件ということは、実に約98%の割合だ。どんな苦情が多いのだろうか。


■計3社がテスト走行もしくは商業運行

Cruiseは、自動運転タクシーサービスをオースティンでも展開することを2022年9月に発表し、2023年7月からドライバーレスの自動運転タクシーをスタートさせた。

オースティン市が2023年9月1日に公表したデータによると、現在同市で走行している自動運転車は約125台のようだ。運行企業は3社で、VW系Volkswagen ADMTとGoogle系Waymoが自動運転車のテスト走行を、Cruiseが商業運行を行っている。

43件の苦情は2023年7月〜10月16日に寄せられ、19件が一般市民からのものだった。そのほか、オースティン市消防局から14件、警察署から7件、交通局から2件、救急隊から1件の苦情が寄せられたという。

■苦情の内容は「ニアミス」が15件でトップ

苦情で一番多かったのは「ニアミス」で、15件あった。そのうちの1件は7月8日に消防局から提出されたもので、自動運転のドライバーレスカーが救急車の前を横切り、2回も衝突寸前になるという内容であった。そのほか、横断歩道で自動運転車が歩行者にぶつかりそうなるというケースもあった。2位は「交通遮断」で10件、3位は「安全性に対する懸念」で7件の苦情が寄せられた。


4位は「衝突」で5件となっている。停車中の緊急車両にドライバーレスカーが衝突したり、車線変更しようとした自動運転車が一般車両にぶつかったりという事故が起こっている。中には、相手側の車両に傷やへこみができるという軽い衝突のあと、ドライバーレスカーが停止することなく現場から立ち去った事案もあった。

また、「迷惑行為」と「警察官の指示に従わない」という苦情がそれぞれ3件寄せられた。ある警察官の証言によると、ドライバーレスカーは信号や道路標識を認識することはできるが、交通整理をしている警察官の指示に従うことはできないという。警察官による交通整理中のトラブルは、たびたび起きているようだ。

■トラブル事例や苦情を良い教訓に…

Cruiseは10月に入り、緊急車両をより的確に検知するための技術改良に取り組んだことを発表している。今後を含め、これまでのトラブル事例や苦情を受けたことを良い教訓として活かすことが重要となる。

【参考】関連記事としては「GM Cruiseの自動運転戦略(2023年最新版)」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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