Microsoft、自動車市場に本格参入!提携網拡大、「空」も視野

Cruiseの自動運転タクシーにも貢献



出典:Microsoftプレスリリース

米Microsoftは、中国コネクテッドカーブランドLynk & Coやカメラベースの自動運転システムを開発している英Wavye(ウェイブ)、米ゼネラル・モーターズ傘下のCruiseeVTOL(電動垂直離着陸機)を手がける米Supernalなど、自動車分野での提携を次々と実現している。

これだけ多くの提携をしていることから、Microsoftは自動車ビジネスに本格参入したと言えそうだ。


■Lynk & CoやWavyeとの協業

MicrosoftとLynk & Coは2022年10月に、Lynk & CoのプラグインハイブリッドSUV「01」のインフォティンメントシステム用に、独自のミーティングアプリを開発したことを発表している。

このアプリは、Microsoftのクラウドベースの通信サービス「Azure Communication Services」とコラボレーションプラットフォーム「Microsoft Teams」により構築されており、ユーザーは外出先でもTeamsミーティングに参加できるようになったという。

Wavyeとは2020年から協業しているが、2022年5月にそれを強化し、Wavyeの自動運転技術開発を加速させるため、クラウドサービス「Microsoft Azure」を用いることを発表している。

出典:Microsoftプレスリリース
■Cruiseの無人タクシーサービスに貢献

2021年1月、Microsoftは米ゼネラル・モーターズ(GM)と子会社のCruiseとともに長期的な戦略的提携を結んだことを発表している。Microsoft AzureをCruiseが採用し、自動運転タクシー事業を推進する目的だ。


クラウドサービスの活用は自動運転タクシーにおいて必要不可欠であり、Cruiseの自動運転タクシーの商用サービス開始に大きく弾みをつけたと言えるかもしれない。

Cruiseは2019年当初、2019年中に自動運転タクシー事業に着手する予定だったが、安全性を重視して計画を先延ばしにした経緯を持つ。しかし、その後米サンフランシスコで一般向けの自動運転タクシーを開始した。

2023年1月には、GMと提携し新しいソフトウェア定義型自動車サービスを展開することを発表している。GMは新プラットフォーム「Ultifi(アルティファイ)」を2023年に展開予定で、Microsoft AzureのクラウドとAI(人工知能)サービスを利用して、ソフトウェア開発を簡素化する目的のようだ。

【参考】関連記事としては「WaymoとGM Cruise、自動運転タクシーでガチンコ勝負」も参照。


空飛ぶクルマの商業化までの時間を短縮

2023年1月には、韓国自動車メーカー大手のヒョンデ傘下であるSupernalとの協業も発表している。Microsoft Cloudプラットフォームにおいて、航空業界の自律性やデジタルオペレーション、クラウドインテグレーションテクノロジーの高度化に取り組むようだ。

Microsoft Azureを使用することで、安全な大規模シミュレーションを実行する際に必要な柔軟性やクラウドコンピューティグパワーを活用して、商業化までを迅速化することができるという。

■自動車市場でどう存在感を見せるか

自動車メーカーや自動運転システムを開発する企業、空飛ぶクルマ開発企業など、幅広くさまざまな企業と連携を進めているMicrosoft。資本力や技術力、製品リソースを背景に。こうしたパートナーシップを今後も増やしていく可能性が高そうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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