CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)領域において、2020年はスタートアップやベンチャー企業の買収が相次ぐ年になる可能性がありそうだ。今年は「実証実験から実用化」の動きが本格化し、大手自動車メーカーによる開発競争がさらに激化するためだ。
自動運転業界はAI(人工知能)などの先端技術の知見や経験があるエンジニアを求めている。ただ期待される市場拡大に比べるとエンジニアの数は決して足りているとは言えない。そんな中、既にこの分野で研究開発をしている人材と技術は、どの企業も喉から手が出るほど欲しいのが本音だ。
自動運転ラボの調査によれば、2018年12月末時点の日本の主要6転職サイトにおける自動運転関連求人数は1万657件だったが、2019年10月末時点では1万5000件を突破し、急速に増えている状況となっている。
【参考】関連記事としては「自動運転関連求人数、2019年10月は4カ月連続増の1万5804件に」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) November 18, 2019
■買収合戦の兆候、2019年に顕在化
既に買収合戦の兆候は2019年に顕在化している。
例えば、Googleの自動運転開発を率いていた人物が創業した米オーロラ(Aurora)は5月、自動運転の「目」の役割を果たすLiDAR(ライダー)の開発企業「Blackmore(ブラックモア)」の買収を発表している。
【参考】関連記事としては「自動運転開発の米オーロラ、トヨタ出資のLiDAR企業Blackmoreを買収へ」も参照。
米Apple(アップル)に関して言えば、AI技術者が創業した米Drive.aiを買収することが6月に明らかになった。Drive.aiが資金難に陥ったことが理由とされているが、AppleにとってはDrive.aiの人材と技術を獲得できたことは大きい。
【参考】関連記事としては「資金難に陥ったDrive.ai、資金難でアップルに身売り 自動運転スタートアップ」も参照。
日本企業関連でも自動運転領域での企業買収は複数あった。
中でも注目を集めたのは、自動運転向けの地図の作製を手掛けるダイナミックマップ基盤株式会社が同業の米Ushr(アッシャー)を買収すると2月に発表したことだ。自動運転向けの地図データは「網羅性」が命だ。Ushr社の買収でアメリカの地図データの完備に向けて駒を進めた形だと考えられる。
【参考】関連記事としては「ダイナミックマップ基盤、同業である米GM出資のUshr社を買収 自動運転など向けの高精度地図を提供」も参照。
CASEの「C(コネクテッド)」領域では、コネクテッドカー向けのインフォテインメントシステムの開発を手掛ける日本のACCESS社が動いた。車載向け動画配信プラットフォームを開発するドイツ企業のNetRange社を買収し、連結子会社にしている。
■【まとめ】自動運転領域、注目の新興企業が目白押し
アメリカ国内では、LiDAR開発企業のLuminarやAeva、AI搭載型通信ドライブレコーダーを開発するNautoやADAS(先進運転支援システム)向けレーダーを開発するGhostWaveなど、大手企業が欲しがりそうな新興企業が目白押しだ。日本国内もそれは例外ではなく、自動運転ソフトウェアやLiDAR技術を開発する有力企業が複数ある。
2020年も自動運転領域で各企業のどのような思惑が顕在化するのか、引き続き注目だ。
【参考】関連記事としては「大企業が買収したくなる有望MaaS系ベンチャー10選」も参照。