三菱自動車のコネクテッドサービスまとめ 次世代自動車向けにどう開発?

アライアンスの新プラットフォームにも注目



仏ルノー、日産自動車とともに世界トップを争うアライアンスを形成する三菱自動車。カルロス・ゴーン前会長の逮捕に端を発するルノーと日産の主導権争いはなかなか沈静化しないが、アライアンスのステークホルダーとして、また三菱自動車という一つの自動車メーカーとして変革の時代に立ち向かっている。


次世代技術の開発に当たっては、プラットフォームが重要となるコネクテッド技術は将来的にアライアンスで統合を図っていく見込みだが、現在同社が展開しているコネクテッドサービスはどのようなものか。

三菱自動車のコネクテッドサービスの今とこれからを探ってみた。

■三菱自動車のコネクテッド機能
スマートフォン連携

「Android Auto」と「Apple CarPlay」に対応したスマートフォン連携ディスプレイオーディオにより、ドライブに最適化された形でAndroidプラットフォームやiPhoneを車内で利用することができる。

また、マルチアラウンドモニターとしての機能や、FM・AMラジオなどの基本機能、Bluetoothによるハンズフリー通話、USBメモリー内の音楽再生、エネルギーフロー/充電料金表示(アウトランダーPHEVのみ)なども可能だ。


アプリケーションは、「TuneIn」「Stitcher」「Spotify」「Threema」「Amazon Music」に対応しているほか、周辺の充電スポットやお気に入りの充電スポットをリストと地図で表示できる三菱自動車公式アプリ「電動車両サポート」や、「マニュアル アプリ」なども利用できる。

Safeguard Services(セーフガードサービス)

セーフガードサービスは、事故にあったオーナーのサポートや車両メンテナンスを目的とした24時間年中無休のサービス。2018年に新型「エクリプスクロス」に搭載し、米国内でサービスを開始している。

具体的には、ルームミラー付近にあるSOS Switchを押してコールセンターに手動で発信できる「SOS Emergency Assistance」や、オーナーがコールセンターに連絡する際にコールセンター側で車両位置をリアルタイムに特定してロードサイドサービス業者に救援を要請する「Roadside Assistance」、車両の衝突を検知すると自動的にコールセンターに緊急発信する「Automatic Collision Notification」などの機能がある。

そのほかにも、ルームミラー付近にあるInformation Switchを押すと緊急時以外でもコールセンターを呼び出すことができる「Information Assistance」や、セキュリティ警報が起動すると「My MITSUBISHI CONNECT」アプリが自動的にオーナーに通知してくれる「Alarm Notification」、オーナーの車両が盗難被害に遭った際に車両の位置情報がコールセンターに通知される「Stolen Vehicle Assistance」、オドメーターの日々の走行距離を記録する「Mileage Tracker」の各機能を備えている。


Remote Services(リモートサービス)

リモートサービスは、オーナーがスマートフォンやスマートスピーカーから遠隔操作するためのサービス。2018年に新型「エクリプスクロス」に搭載し、米国内でサービスを開始している。

スマートフォンアプリやウェブポータル、スマートスピーカーからドアの施錠・解錠が可能な「Remote Door Lock / Unlock」、スマートフォンから半径1マイル(約1.6キロメートル)以内にある車両の位置を特定できる「Car Finder」、スマートフォンアプリやスマートスピーカーから車内の空調設定やヘッドライトの点灯が可能な「Remote Climate Control」や「Remote Lights」、車両設定のカスタマイズができる「Vehicle Settings」などがある。

これらのリモートサービスは、モバイルアプリをはじめオーナーポータルサイトやGoogle Assistant、Amazon Alexa対応機器から操作が可能だ。

■三菱自動車が描く近い将来のコネクテッドサービス

将来的には、クラウドと連携したAI(人工知能)が家や外出先などでの検索や行動を通して、乗員の興味や趣味とクラウド上の情報をマッチングし、走行中にそれらに関連する情報をAIがキャッチした際に、乗員にその情報をレコメンドし、クーポンを配信するなど、カーライフをより楽しいものにしていく。

また、走行情報を常にクラウドにつなぎ、周辺の車両情報やインフラ情報と融合することで事故の事前回避を図るほか、車両情報を分析することにより、車両の異常・故障の前兆を早期に察知し、修理や整備を促す。

万一事故が発生した際は、衝撃の度合いやエアバッグの展開有無といったセンサー情報や発生位置などを自動で通報し、迅速な救助をサポートする車両緊急通報システムが対応するなど、安心機能も充実させていくようだ。

■アライアンスの動き

ルノー・日産自動車・三菱自動車の3社連合は2018年9月、米Googleと技術提携を結び、「Android」をベースとしたインフォテインメントシステムを車両に搭載する技術開発を進めていくことを発表している。

この提携により、「Googleマップ」や「Google Playストア」上の豊富なアプリの利用をはじめ、「Googleアシスタント」を使った電話やメールへの応対、情報の検索、車両機能の効率的な管理が可能になる。

3社はこのシステムをベースに、それぞれ独自のユーザーインターフェース(UI)の開発や新たな機能の実装も進める見込みで、今後、リモートによるソフトウェアのアップグレードや車両診断もできるようにするほか、米アップル社の「iOS」などの搭載に向けても準備を進めていくという。

【参考】3社連合のグーグルとの提携については「ルノー・日産・三菱、Android搭載へ…Googleと提携、マップ機能を車両から利用可能に」も参照。

また、3社は2019年3月、コネクテッドサービスの新しいプラットフォーム「アライアンス・インテリジェント・クラウド」の立ち上げも発表している。米マイクロソフトの「Microsoft Azure」によって車両とインターネットのシームレスなアクセスが可能となり、高度な遠隔診断や無線でのソフトウェア更新など、AIやIoT技術を活用したクラウド経由の高度なコネクテッドカーサービスが利用できるようになるようだ。

【参考】3社連合の新プラットフォームについては「日産ルノー三菱、コネクテッドカー向けの新プラットフォームを立ち上げ」も参照。

■【まとめ】新プラットフォームでコネクテッドサービス本格展開か

コネクテッドサービスに関しては、スバル同様北米市場を中心に展開を進めており、今後、日本をはじめとした各市場でどのように展開していくのかが一つのターニングポイントになりそうだ。

アライアンスの新プラットフォームが発表され、2019年後半にもルノーと日産の一部モデルへの搭載が始まる予定で、三菱自動車としてもこのプラットフォームに乗っかる形で開発を進めたほうが効率的なのは明らかだ。

現在水面下で販売車両への実装を視野に開発を進めているものと思われる。新車発売のタイミングなどにも左右されそうだが、ルノー・日産に続く形で、本格的かつ新しいコネクテッドサービスの実用化が発表される日はそう遠くなさそうだ。


関連記事